「Mommy マミー」「トム・アット・ザ・ファーム」などの監督作で注目を集めるカナダの若き俊英グザビエ・ドランが俳優として主演し、精神科病棟で繰り広げられる心理劇を描いたサスペンスドラマ。ある日、精神科医が失踪し、患者のマイケルという青年だけが手がかりを知っていた。院長のグリーンはマイケルから事情を聞こうとするが、マイケルは巧みな話術でグリーンを罠に取り込み、翻弄していく。共演は「スター・トレック」のブルース・グリーンウッド、「カポーティ」のキャサリン・キーナー。(映画.comより)
今回のグザビエ・ドランは見栄えがしませんね(笑)。小動物の様に目をぎょろつかせて人を翻弄し(実際、ブルース・グリーンウッドと並ぶと本当に小さかった)、次々とあることないことをまことしやかに語り始める、頭の良すぎる青年。そんな感じに仕上がってました。グザビエって、もっとハンサムだと思っていたんだけどなぁ・・・そうでもなかった(笑)。
とにかく、舞台は精神科病院の院長室で、ワンシチュエイション・ムービーのようです。登場人物は主にブルース演ずる院長、患者のグザビエ、そして看護師長のキャサリン・キーナー、この3人です。
ある日、この病院に勤務するベテラン精神科医が突然姿を消します。患者だったグザビエが最後に彼と接していた人物だったこと、グザビエ本人もなにか知っているようなことをにおわせたことなどから、スタッフは彼から手掛かりを聞き出そうとします。しかし、そこはそれ、普段から一筋縄ではいかない患者だということで、出張していた院長を呼び戻し、ベテラン看護師長を外に待機させての尋問(?)となります。
しかし、頭はよくても素直で普通の人な院長ではなかなか太刀打ちできず、次第に彼に翻弄されてゆくことになります。この辺は、「羊たちの沈黙」のレクター博士とクラリスそのものですね。”いい人”なブルース・グリーンウッドが見ていてかわいそうでした。逆に(病気で仕方がないこともあるのでしょうが)ひねくれまくってるグザビエは「こんな患者、イヤだろうなぁ」としみじみ感じさせる熱演で、私も「こう言う人とは、多分かかわりたくない」と思いました(笑)。
そこへ微妙な過去を持つ院長と看護師長の話が絡み、ますます院長は翻弄されることに。
冒頭、(多分メキシコかどこかで)有名なオペラ歌手である母親とあまり構ってもらえない少年が映ります。この少年がグザビエなんですが、この場面は短く、すぐに舞台は精神科病院へと移ります。この母親は回顧シーンでも何度か登場します。そしてほとんど会うことがなかった父親もほんの少し登場しますが、なぜ「エレファント」なのかは父親に起因しているようです。
それから、院長の姪という少女が何度か登場します(回顧シーンではなくて現実に)。どうにもこの子がダウン症だったように思うのですが、そこに焦点があたることはなく、物語の展開からも、この設定はなくてもよかったような気もします。
そして最後は予想外の大展開に。これは衝撃でした。う・・・ん、何とも言えない映画でしたね。しかし、個人的にはこれくらいの患者やバックグラウンドを持った人はいるかな、とも思うので、「羊たち・・・」のほうがおもしろかったかも。まぁ話は全然違うんですけどね。