お話としては、あり得ないことのように見えるのですが、ほんわかしたアニメで純粋な女子大生と優しいおおかみ男の恋を描かれると、なんだか本当にあることのように思えてきます。
年子で授かったおおかみ子供たち。元気な雪とおとなしい雨。お父さんも精一杯やってくれていたのですが、雨が生まれて間もない頃、亡くなってしまいます。おおかみの姿のまま・・・。
小さな小さな子供たちを抱えて、花の奮闘が始まります。でもいかんせん、おおかみこども。夜泣きがすごかったり、夜に遠吠えをしたりして、そのうち都会の片隅では住んでいられなくなります。
一大決心をした花は、子供たちを連れて人里離れた村に引っ越します。花には慣れない田舎暮らしですが、子供たちがのびのび走り回ることができ、周りも畑や森ばかりです。
そこでやっと、ゆっくり暮らせる・・・しかし、子供たちは大きくなります。やがて学校へ上がる年齢にも、友達が出来る年齢にもなります。
子供なりにいろんな経験をして、やがて自分の道をみつけて生きてゆかねばなりません。親も、いつまでも子供のそばにいることはできません。
おおかみとして生きる・・・あるいは、人間として生きる・・・。そのどちらにも寄り添うことはできないのです。
その、子供たちが巣立っていくまでのお話です。
花はとてもがんばりやで、子供たちのお父さんのことも忘れずにいるし、子供たちのことも精一杯愛していて、彼らのために奔走するその姿は涙を誘うほどです。
とっても心温まるお話なんですが、ただひとつ、生活臭がまったくないのが不思議でした。
花は夫が死んでから、大学を休学して子育てするのですが、それからいろいろあって子供たちと田舎に移り、そこでの生活に慣れてから簡単な仕事をみつけるまで、ずっと夫の残してくれた貯金を取り崩して生活してる、って前提なんですね。
何年もまったく働かずに、それでいてさほど苦しい様子もなく、田舎で見つけた仕事も、「高校生のバイトのほうがマシ」と言われるほどの、お金にならない仕事。
田舎に移ってすぐに野菜なんかをせっせと植えているのを見て、「こんな苗も結構するんだろうな」なんて考えてしまった私。
不純な私は、「ここのお父さん、いったいどれくらいの貯金を残してあったのだろう」と考えてしまいました。ひょっとしたら、おおかみ男だから長~~く生きて来たのかもしれませんね。
ともかく、若いお母さん(人間)と子供たち(おおかみこども)の成長に的を絞ったお話です。つまらない勘繰りを入れてはいけません(笑)。
でも、こんなこと、本当にあるのかな・・・。愛した人はおおかみ男だった・・・。でも、どこか、ロマンチックな感じもしますね。私でも、やっぱり受け入れるかな。