「母の残像」「テルマ」などで注目されるデンマークのヨアキム・トリアー監督が手がけ、2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で女優賞を受賞、2022年・第94回アカデミー賞では国際長編映画賞と脚本賞の2部門にノミネートされた異色の恋愛ドラマ。30歳という節目を迎えたユリヤ。これまでもいくつもの才能を無駄にしてきた彼女は、いまだ人生の方向性が定まらずにいた。年上の恋人アクセルはグラフィックノベル作家として成功し、最近しきりに身を固めたがっている。ある夜、招待されていないパーティに紛れ込んだユリヤは、そこで若く魅力的なアイヴィンに出会う。ほどなくしてアクセルと別れ、新しい恋愛に身をゆだねたユリヤは、そこに人生の新たな展望を見いだそうとするが……。トリアー監督の「オスロ、8月31日」などに出演してきたレナーテ・レインスベがユリヤ役を演じ、カンヌ映画祭で女優賞を受賞。(映画.comより)
<2022年8月14日 劇場鑑賞>
本当に”最悪”な感じでした。なにもかも。要するに、若い女性の「自分探し」なのですが、なまじいろんな能力があるがために、また顔がかわいくて、どこへ行っても優しくしてもらえる経験を豊富に持つがために、方向性を見失ってしまうのですね。世間はブスにはもっと厳しいのよ、と言いたい(笑)。
主人公のユリヤは、お勉強もできた故、冒頭では某医学部に在籍しています。「勉強ができるのなら、まず医学部かなと思った」のだそうですが、なんとなく学校がつまらなく、「これはじぶんがやりたかったことではない」と思うようになります。人間の身体ではなくて内面を勉強したかったのだ、とハタと気が付き、医学部をやめて心理学の学校へ。母親も「あら、そうなの?」くらいで反対しません。お金持ち?私の母なら「ここまで来るのにお前にいくら使ったと思ってる!」とまずお金の面から怒り狂ったでしょう。いや、医学部なんかじゃないですけどね(笑)。とにかく貧乏でしたから。
で、「ここにいる同級生たちは、未来を背負う人材」などと意気揚々と通い始めるも「やっぱりここでも詰め込み教育」だったとして、すぐに幻滅。でも、かわいいから講師の先生に目を付けられて、男女の関係に。ここはちゃっかりしています。でも結果的に続かなかった彼女は、次はカメラの勉強を始めます。モデルになってくれた男性(ハンサム)との新しい出会い。それはそれで人生うまく回りそうな感じだったのですが、とあるパーティで知的な作家先生と出会います。彼は既に漫画家として成功していて、年齢もだいぶ上。一緒に来ていたモデル男性が戸惑うのを尻目に、彼とベッタリ話し込みます。彼女は頭がいいから、どんな話題にもついてゆけるのですね。だから男性側も飽きないわけです。
漫画家の彼とは、割と長く続きました。でも、彼と一緒に暮らすようになってみると「やっぱり違う気がする」症候群が出て来るわけです。彼が年上なので、身を固めることを考え始めたってこともあるでしょうけれど。女性には「結婚は?」とか「子供は?」とか、一番言われたくない年頃って、ありますからね。すっごく願望の強い女性は別にして。ユリヤは、このころになるとカメラマンをやめて書店の店員になっています。
で、またまた何らかの出会いがあって、新しい男を見つけるわけです。もちろん、今度の彼もいい人なんですけど、自分の価値観があまりにふらついていて、ああだ、こうだ、と言ってるとキリがないですからね、やっぱりうまく行かなくなってくるわけです。ま、私だって確固とした価値観があるわけじゃないし、彼女ほど賢くないから迷えなかっただけで、この道がよかったのかどうかなんてわからないですから、偉そうなことは言えないですけど。
で、自分でも「私って最悪~」って思う。わかるんです、その気持ち。女性なら、誰しも理解できるんじゃないでしょうか。でも、私個人的には、彼女は人生を男に左右され過ぎと思いますね。人生を迷うにしても、その柱が「男」になっちゃってるじゃないですか。そうじゃなくて、もっと自分を中心に置いていたなら、最終的には肯定できたかもです。もちろん、優秀な女性ですから、これから確立できるんでしょうけれど。
以上、モテなかった女からのやっかみでした!(笑)