「幸福なラザロ」「夏をゆく人々」などで高く評価されるイタリアのアリーチェ・ロルバケルが監督・脚本を手がけ、愛の幻想にとらわれた墓泥棒の数奇な運命を描いたドラマ。
1980年代、イタリア・トスカーナ地方の田舎町。忘れられない恋人の影を追う考古学愛好家の青年アーサーには、紀元前に繁栄した古代エトルリア人の遺跡を発見できるという不思議な力があった。アーサーはその能力を利用して墓泥棒の仲間たちと埋葬品を掘り起こしては売りさばいて日銭を稼いでいる。そんなある日、アーサーたちは希少価値を持つ美しい女神像を発見するが、事態は闇のアート市場をも巻き込んだ騒動へと発展していく。
「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーがアーサー役で主演を務め、「ブルーベルベット」のイザベラ・ロッセリーニ、「ハングリー・ハーツ」のアルバ・ロルバケルが共演。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。(映画.comより)
<2024年8月12日 劇場鑑賞>
「幸福なラザロ」は録画したかな?と思うのですが、見てません。都会へ出る機会があり、この日は3本、都会でしか上映されていない映画をチョイスして鑑賞しました。まずは「墓泥棒と失われた女神」です。少しわかりづらい映画でした。主人公アーサーはケチな墓荒らしなんですが、冒頭からある女性の幻影を追っています。それはしかし、ばんやりした映像であったり、背中を向けている映像であったりして、女性の顔が鮮明に写ることはなかったと思うのですが、ともかく行方不明なのか、あるいは亡くなっているのか、そんな、そばにいない女性を求め続けて追っているようです。
そして、その彼女の母親がイザベラ・ロッセリーニ演じる大女優です。今は引退してお弟子さんを取っているようなのですが、その邸宅には、娘なのかお弟子さんなのかよくわからない女性たちが、わらわらといるのです。この辺がよくわかりません。で、彼女たちは「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最後の愛人」の娘たちみたいに文句ばっかり言ってるんです、イザベラに。なんかよくわかりません。大女優の愛を独り占めでもしたいのでしょうか。また、イザベラ・ロッセリーニも、アーサーがいつか娘を見つけてくれるかもしれないと思っているので、彼に親切にしています。
で、墓泥棒にも、仲間と、発掘したものを買い取ってくれる仲買人がいて、この仲買人も当たり前なのですが、したたかだったりします。そんな中、ある”すごいもの”を発掘してしまったアーサーたちは、揉め事に巻き込まれていくのです。
ここで、アーサーは”遺跡を発見できる”という才能がある、と描かれてましたが、少し前に見た昔の映画、確か「エル・スール」だったと思うのですが、その映画の主人公(いや主人公の父親と言った方がいいかも)にも同じ才能がありました。そちらの映画を持た時は「なに、その才能。そんなのあるの」と疑っていたのですが、他でもこんなふうに普通に描かれるということは、実際にわりとあるのでしょうね。どんな才能でしょうね。ピピッとくるのかしらん。
<ここからネタバレ>
冒頭から追い求めている女性の影は、ラストシーンとつながります。これはハッピーエンドなのかどうか、見る人によるかもしれません。私はハッピーエンドなんじゃないかな、と思いました。ここの描写は、私は気づかなかったのですが、「彼女も自分(アーサー)も死んでいるということではないのか」という人もいるようです。あるいはそうなのかもしれません。
<ネタバレ終わり>
どちらにしても、墓荒らしはいけません。若くて元気なんだから、まともに働きましょう。