田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

天才スピヴェット(L'extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet)

2015年01月30日 07時43分55秒 | 日記

 

 「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督が自身初の3D映画として、ラルフ・ラーセンの冒険小説「T・S・スピヴェット君 傑作集」(早川書房刊)を映画化。気持ちがバラバラになってしまった家族を元に戻そうと奮闘する、天才少年の葛藤や成長を描いた。米モンタナに暮らす10歳の少年スピヴェットは、天才的な頭脳の持ち主。しかし、時代遅れなカウボーイの父と昆虫の研究に夢中な母、アイドルになりたい姉という家族に、その才能を理解してもらえない。さらに弟が突然死んでしまったことで、家族は皆、心にぽっかりと穴が開いていた。そんなある日、スミソニアン学術協会から権威ある科学賞がスピヴェットに授与されることになる。家族に内緒で家出をし、数々の困難を乗り越えて授賞式に出席したスピヴェットは、受賞スピーチである重大な真実を明かそうとするが……。(映画.comより)

 

 

 

 レアな作品が田舎落ちして来たので、早速行って来ました。当然ですが、通常公開はとっくに終わっていますので、感想を書く時期が人よりずれているのはご了承ください。

田舎では2Dでしか公開していなかったのですが、この映画の3Dはとっても夢いっぱいの楽しいものだったようですね。後からそう読むととても残念です。あの、スピヴェット君が夢想するホットドッグやヒトの筋肉の解剖図が3Dだったのかと思うと、想像するだけでも笑えて来ます。

さて、小さなスピヴェット君は、俗に言う「天才」です。少し前に見た「ベイマックス」の主人公みたいな感じ。賢すぎて周りから浮いちゃって、学校の先生にまで「君は優秀コンプレックスだ!」と怒鳴られる始末です。

彼のお父さんはレトロなカウボーイ、お母さんは研究熱心な昆虫博士、お姉ちゃんは女優を夢見る現代っ子です。そんな彼の家族は、両親の意向か、ぽつんとだだっ広いところの一軒家に住んでいます。

スピヴェット君には、双子の弟がいました。頭でっかちな彼と違い、弟はがっちりした体格でカウボーイ向き。父親にもかわいがられていました。そんな弟は、ある日銃を触っていて暴発し、亡くなってしまいます。傍にいて弾道を記録しようとしていたスピヴェット君も、驚きや哀しみと共に半ばトラウマになっています。

あまりの出来事に、家族は誰もその出来事に触れません。もちろん、事故だったので誰の責任でもないのでしょうが、彼は心にわだかまりを抱えたままです。

しかし、独白を始めた時のスピヴェット君は10歳。ということは、銃が暴発した時は10歳も含めそれ以下だったはず。ここに、何も言わないけれど「そんな子供に自由に銃を扱わせていた親の責任はどうなんだ」という監督の意図が見えるような気がします。

そんなある日、スピヴェット君の発明が、ワシントンのスミソニアンから表彰を受けることになり、彼のはるばる一人旅が始まります。スミソニアン側は、大人の男性研究者だと思い込んでいるから、電話ではお父さんのふりをし、理解してくれないだろう家族には説明することなくこっそりと家を出たのです。

ここから「ハンボーン」のような人情あふれたロードムービーになるかと思いきや、さほどの出逢いがあるわけでもなく、案外話はすんなりと進みます。

そして会場に就くと「お父さんは?」から始まって戸惑われるわけですが、そこは本当の天才。少し会話して機器の詳しい説明を聞くと、「小さいけれど彼なんだ」と、誰でもわかります。

そこからはパーティでスピーチをしろだの、テレビの有名番組に出ろだのと、お金に絡む依頼が殺到し始め、天才スピヴェット君はとまどうこともしばしばなんですが、そこはジュネ監督。ありきたりな展開になるわけではなく、見えづらい批判(多分)を散りばめながらも、暖かい大団円を迎えます。

ヘレム・ボナム・カーターがうまいですね!また、いつまでも旧型(?)カウボーイのパパも魅力的。最後は快哉を叫ぶ作りとなっています。

おもしろかったですね~、とっても。天才も、つらいのだ。

コメント   トラックバック (4)

ANNIE アニー(Annie)

2015年01月28日 07時28分18秒 | 日記

 1982年にも映画化された名作ブロードウェイ・ミュージカル「アニー」を、「ハッシュパピー バスタブ島の少女」で史上最年少のアカデミー主演女優賞候補となったクワベンジャネ・ウォレス主演で新たに映画化。ニューヨーク、マンハッタン。1歳になる前に両親に捨てられ、横暴なハニガンが営む施設に引き取られた少女アニー。10歳になった現在も両親が迎えに来てくれると信じている彼女は、かつて自分が置き去りにされたレストランに通い続けていた。そんなある日、アニーは事故にあいそうになったところを市長候補の男スタックスに助けられる。アニーの存在が選挙戦に有利になると考えたスタックスは、彼女を引き取って一緒に暮らしはじめるが……。「ステイ・フレンズ」のウィル・グラック監督がメガホンをとり、製作を担当したウィル・スミスとジェイ・Zが「TOMORROW」などおなじみの名曲を新たにプロデュース。共演には「Ray レイ」のオスカー俳優ジェイミー・フォックス、ミュージカル初挑戦のキャメロン・ディアスら豪華キャストがそろう。(映画.comより)

 

 

 私、アニーは初めてです。聞いたことはあっても、内容などはほとんど知りませんでした。こんなに王道なわかりやすい物語だったとは!(笑)

ミュージカルや舞台はまったく知りません。なので、比較することはできないのですが、この映画単独で言うと、話が単純過ぎてどう反応していいかよくわかりませんでした。私、ヒネすぎですよね。

記憶がないほど幼いころに両親に捨てられたアニー。今はキャメロン・ディアス演じる里親ミス・ハニガンの元で他の孤児たちと共に生活しています。過去に華やかなスターだったと思われるミス・ハニガンは、里親になることで得られる収入を頼りに暮らしていますが、過去の栄光がなかなか忘れられません。

片や、ジェイミー・フォックス演じる携帯電話会社社長は、巨万の富を使って次のニューヨーク市長選挙に立候補しています。純粋に経済人な彼がどうして政治家なんて目指したんでしょう。彼曰く「ニューヨーク中を繋げてみせる」。理想家だったのですね。

しかし、現実の選挙戦なんて、本当に汚いもの。支持率調査に一喜一憂し、それを上げるためならどんな汚い手でも使います。

親の顔を知らないアニーは、それでも捨てられたイタリア料理店まで、毎金曜日にはやって来て、迎えに来るはずのない両親を待ち続けたりもします。親って、これほどまでに求められるものかと、心にじ~んと沁みて来ます。そばにいると喧嘩ばかりするだろうに、不思議なものですね。

そんなアニーが、選挙戦に有利になるようにと利用されてゆくところから、感動のラストまで、スタンダードナンバーに載せながら、映画は華やかに進んでゆきます。

それにしても、アニーの聡明なこと!こんな賢い子も珍しいんじゃないかと思います。ジェイミー・フォックスの選挙参謀があまりに非人道的なことをするので、「そこまでするか」と思うのですが、金さえ払えばそれに応じる大人たちが必ずいる(それは社会的に地位の高い人々であるにもかかわらず)ってことのほうが問題なんでしょうね。

アニーの意地悪な里親はキャメロン・ディアスが演じているのですが、彼女はこの役を演じるにはきれいすぎますね。どこかオーラがあって、絶対悪い人に見えないんですもの。案の定、最終的にはアニーを救う方に回ってしまいます。舞台ではとことん悪い人だったのでしょうか。

政治家なんて向き不向きがあると思うので、やはり起業家は、お金があっても他分野には手を出すべからずですね。

あと、ジェイミー・フォックスの豪華過ぎるマンションには閉口しました。いくらお金があるからって、不必要なものが付き過ぎ。なんでも行き過ぎるとバカみたい(笑)。

み~んな、お歌も踊りもとっても上手なんですが、まぁ普通の映画でした。

あっ!そうそう。ミラ・クニスが映画中映画でヒロインを演じていました。ノー・クレジットだし、ほんの一瞬だったんだけど、私はミラ・クニスだったと思うなぁ。

コメント   トラックバック (2)

烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE

2015年01月27日 07時35分55秒 | 日記

 

 宇宙ステーションが謎のエネルギー体に飲み込まれて地球へ落ちてきた!そこからあらわれた見たこともない怪人にはトッキュウジャーの攻撃が効かない!?そんな中、敵をやっつけたのはダイゴたちキョウリュウジャーであった。ダイゴによると、敵の正体は悪の創造主デビウスだという。紅蓮神官サラマズの力でシャドーラインと手を組んだデビウスが完全覚醒するまで、あと1日。キョウリュウジャーはそれを止めるためにやってきたのだ。協力しようとするトッキュウジャーだが、ダイゴたちにすっかりこども扱いされてしまう。しかし、キョウリュウジャーの攻撃はシャドー怪人には通用しない!さらに、シャドー怪人の能力によってトッキュウジャーは子供の姿にされてしまう!
残された時間はあとわずか!果たして地球の運命は!?
“イマジネーション”と“ブレイブ”今こそ力を合わせる時!!(東映ホームページより)

 

 

 自分の記録用も兼ねているので、ここでちょっとチビ息子と見た子供向け作品を挿入。ごめんなさいね。

しかし、案外たくさんの人でした。子供たちは、どの子も暴れることなく鑑賞していて、日本の子供たちって賢いんだなぁ、と改めて感心。総じて70分。子供にも見やすい長さとなっています。

ストーリーは上記の通り。元来のトッキュウジャー、キョウリュウジャーだけではなく、ピンチになると誰かわからんようなキャラクターが次々現れて、結局みんな助かる、というお約束や、関根勤に代表されるようなおちゃらけキャラや「ふざけているのか」と思うような悪者が出てきたりするのも、最近の(?)トレンドです。

ちなみにちらっと出ていた次の戦隊は、「ニンニンジャー」とかいう忍者戦隊なんだそうです。あははは(笑)。

しかし、よく爆発しますね。随分な量の火薬を使っているのでしょうね。それともCGか。

それにしても、まっすぐ走って来る列車がポイントを過ぎて寄り添い、やがて立体的なロボットに変形する、と言うのは感動ものですね。最初に考えた人は天才なんじゃないでしょうか。

さて、次は3月に始まる「仮面ライダー3号」を見る予定です。3号だなんて!ちょっと楽しみ。

 

コメント   トラックバック (1)

マップ・トゥ・ザ・スターズ(Maps to the Stars)

2015年01月25日 17時02分37秒 | 日記

 「イースタン・プロミス」の鬼才デビッド・クローネンバーグが、「キッズ・オールライト」のジュリアン・ムーア、「イノセント・ガーデン」のミア・ワシコウスカ、「マルコビッチの穴」のジョン・キューザック、「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソンら実力派キャストを迎え、ハリウッドでリムジン運転手として働いていた脚本家ブルース・ワーグナーの実体験をもとにハリウッドセレブの実態をシニカルに描いた人間ドラマ。セレブ相手のセラピストとしてテレビ番組も持つ父親ワイスを筆頭に、ドラッグ問題を乗り越えて有名子役として活躍する息子ベンジー、ステージママとして息子を献身的に支える母親クリスティーナら、典型的なハリウッドのセレブ一家であるワイス家。順風満帆な暮らしを送っているかに見える一家だったが、ある問題を起こしてフロリダの施設に入れられていた長女アガサが戻ってきたことにより、これまで隠し通してきた秘密が明らかになっていく。母親役を演じたジュリアン・ムーアが第67回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞。(映画.comより)

 

 

 

 ハリウッドの裏事情を描いた映画は数あれど、こんな悪趣味な映画は少ないと思う。作品の出来の良し悪しではありません。単に女優にそこまでさせることもどうかと思うし、セレブの家庭の設定も極端すぎる。いくらなんでもそんなことってあるのかな、って思います。まぁ自分が見てないだけで、「ムービー43」なんて映画もあったようですし、有名女優に下品なことをさせるのももはや普通なのかもしれませんが。

しかし、細かい話は下の<ネタバレ>で書くとして、全体として話にしまりがないように思えます。監督は結局何を言いたかったのか。主人公たちはなんだったのか。普通ではない人たちが出てくるわりには話が上滑りしているように思いました。

さて、主人公の一人、ジュリアン・ムーアは母(これが最近よく見るサラ・ガドン!相変わらず美しい)が有名カルト女優だったという二世俳優。でも、自分自身に代表作はなく、年齢のこともあって、最近ではめっきり落ち目です。

そしてここにセレブ御用達のセラピスト、ジョン・キューザックがいます。彼はテレビで自分の番組を持つほどの有名人で、息子は有名子役と来ています。当然妻(オリヴィア・ウィリアムズ)はステージママですね。彼らは豪邸に暮らす3人家族に見えますが、実は病院か施設かに入っている娘がいたんですね。それがミア・ワシコウシカ。彼女は未成年の時に、家に火を付けたかなんかの問題児で、自身も全身にやけどの跡があります。そんな彼女が退院(退所?)を機に、世間に出て来ます。そして施設内から文通していたキャリー・フィッシャー(本人!)の紹介でジュリアンの個人秘書となるのです。

これにリムジン運転手のロバート・パティンソンも絡み、幾重にも話が展開します。

母親に性的虐待をされている幻想をしょっちゅう見るジュリアン・ムーア(これは真実なのか、彼女の思い込みなのかは最後までわからない)、彼女をなぜか下着姿にさせてからセラピーマッサージを施すジョン・キューザック、パーティ三昧の子役息子など、クセのある奴ばっかりです。

役が欲しくて必死なのに、欲しかった役を取られた若い女優にショッピングモールで遭っても「まぁ~なんてかわいい息子ちゃんなの」って愛想を言わなきゃならない現実(ジュリアンね)。いやらしいことに、すぐれた脚本(採用してもらえる脚本?)を書きたいがために、「やけどを負った子の話を書いているのよ」などと言ってミアに近づいて来る奴ら。キャリー・フィッシャーだって、それが目当てに文通してたのですから。どいつもこいつもまったくヘドが出ます。

ほとんど病的なジュリアンは、便秘でなかなか出ないトイレ中にミアを呼んで「彼氏(ロバート・パティンソンのことね)とは、どうなってるの。寝たの?」などと便器に座ったまま聞く無神経さ。しかもオナラまで2発。思わず目を背けてしまいます。

役を持って行かれた若い女優の息子ちゃんが、目を離したすきにプールで溺死などという事件が偶発的に起こり、彼女が役を降りることになったとき。マネージャーに話を聞いたジュリアンは、当然最初は驚きます。「そんなことがあるはずない。昨日会ったのに」って。「あんなかわいい子にどうしてそんなことが」って。でも、ふた呼吸くらい置いて、マネージャーが「その役はあなたにって、プロデューサーが」と言ったくらいからの「そんな。あの役は彼女がやるべきよ」と始まる会話の上っ面感ったらハンパない。思わず「ショーガール」の、階段での突き飛ばし事件を思い出しました。

最後まで否定していた彼女は、しかしマネージャーが帰った後は「ナナナ~ナ~」とリズムを取って踊り始めるのです。うれしそうな表情で、亡くなった息子ちゃんの名前まで入れた悪趣味な歌を歌いながら、「ほら、あなたも踊って」とミアに強制しながら(ミアはなにも知らなかったが)。

こうしてジュリアンは、主役を手に入れたのでした。しかも、亡くなった自分の母親の役。ドキュメンタリー調の映画らしくて。

ロバートも、「付き合っている人がいるから」と言いながら、ミアともジュリアンとも寝るいいかげんさ。例によって、脚本を書くかもしれないとか。

そして、ジョン・キューザックの家族の物語は・・・。

 

 

<ここからは話のキモのネタバレ。鑑賞前にはお読みにならないことをお勧めします>

 ジョンとオリヴィアの夫婦は、別々に育ったけれど実は兄妹だったのです。それを知らずに結婚してしまったため、ミアと弟は近親相姦の子。何かでそれを知ったミアが取り乱してしまったのですね。また、ミアには亡くなったはずの人が見えるのです。往々にして彼らは、生き人を追い詰めるため、ミアも火をつけると言う事態を招いてしまい、その結果今のようになったようです。

最近は弟にもその傾向が。有名人であることを傘に着て、重病の少女に誠意のない見舞いをしたら、死んだ後に現れたり。あるいはジュリアンのライバルだった若い女優の、溺死した男の子が見えたり。

過去、姉に殺されかけたとして「絶対会わない」とか言ってた弟ですが、幻覚のせいで人を傷つけてしまったりと、何かと行き詰まり、姉を訪ねることとなります。そして真実を知るのです。

一方、その呪縛から逃れられないジョンとオリヴィアの夫婦。最後にはオリヴィアが焼身自殺をはかり、ジョンの目の前で焼け死んでしまいます。茫然自失のジョンから、結婚指輪を盗む弟。

姉と弟は、両親の指輪をそれぞれ身につけ、子供の頃戯れでやっていたように、結婚の誓いを立てます。そして錠剤を複数服用。そのまま横になるのです。多分、死ぬってことでしょうね。そこまで描かれませんけれど。

でもね、その錠剤がなんだったのかは示されないし、単に眠るのかも、って気もせんでもないです。また、「死人が見える」能力が結局なんだったのかは最後までなんの説明もないし、ひょっとして、近親相姦で生まれた子には特殊な能力があるってことでも言いたかっただけなのかな。なんだかこの辺が宙ぶらりんです。

兄妹が夫婦って、いけないけれど、別々に育って知らずに結婚したのなら、そこは仕方がないし、なにも目の前で身体に火をつけなくても。一応、五体満足で子供が育っているのなら、巨万の富を上手に使って、もっと他に解決法もあったはず(と思う)。

他人にはわからない苦悩もあるだろうけれど、あまりに想像を絶することの連続だったので、「やりすぎじゃない?監督」と思ってしまいました。疲れている時にはお勧めしない映画です。

 

 

 

コメント (2)   トラックバック (6)

薄氷の殺人(白日烟火 Black Coal, Thin Ice)

2015年01月23日 08時05分58秒 | 日記

 2014年・第64回ベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞と男優賞をダブル受賞したクライムサスペンス。中国北部の地方都市を舞台に、元刑事の男が未解決の猟奇殺人事件の真相に迫っていく姿をスリリングかつリアルに描いた。「こころの湯」の脚本などでも知られ、これが長編監督3作目のディアオ・イーナンがメガホンをとった。1999年、中国の華北地方。ひとりの男の切断された死体が、6つの都市にまたがる15カ所の石炭工場で次々と発見されるという事件が発生。刑事のジャンが捜査を担当するが、容疑者の兄弟が逮捕時に抵抗して射殺されてしまい、真相は闇の中に葬られてしまう。それから5年、警察を辞め、しがない警備員として暮らしていたジャンは、警察が5年前と似た手口の事件を追っていると知り、独自に調査を開始。被害者はいずれも若く美しいウーという未亡人と親密な関係にあり、ジャンもまたウーにひかれていくが……。(映画.comより)

 

 

 あまりに評判がいいので、気になってしまいました。でも結論から言うと、どうなんだろうなぁ、って感じです。よく出来過ぎていて、まだまだ奥があるんじゃないか。監督はもっといろんなことを隠してあったのではないか。凡人である私はそれを見過ごしているから楽しめなかったんじゃないか・・・そんなことを考えてしまいました。

冒頭(1999年)、明らかに死体と思われる包みが石炭列車と共に運ばれて行きます。俗に言うバラバラ死体。発見された当時はあまりに広範囲に散らばっているので、警察の捜査も行き詰まりそうになりますが、同じ集配所から複数のトラックが出ていることを突きとめ、容疑者と思われる男達を拘束します。しかし、彼らは抵抗を試み、結果、容疑者たちは射殺された上、主人公の刑事も大怪我を負ってしまいます。わからなくなった事件は迷宮入り。刑事は回復しても、事務系の現場に左遷されてしまいます。

ふてくされ、自暴自棄になった主人公が描写された2004年。ここに来て、類似の事件が起こります。それも2件。よく調べると、どちらも5年前のバラバラ事件の被害者の妻と、接触があったことがわかります。すると合計3件の事件が彼女に絡んでいることになるんだな・・・飲んだくれていた元刑事に勘が戻り始めます。

どうせ最前線からは外されている・・・元同僚からの情報を得ながら、独自に捜査を始める主人公。しかし、やっぱり男の刑事なんて(といっても刑事はほとんど男だが)いけませんね。案の定、美しいその女に惹かれ始めるのです。危険とわかっていても、「自分だけは救える」と根拠なく思い込む、例のあのパターンですね。

さて、この先にどんな展開が待っているのか。

 

 

 

<ここからネタバレ>

実は、最初に亡くなっていたのは夫ではなくて、別人だった。こっそり生きている夫は、妻に近づく男を片っ端から殺めていたのだった。・・・そんな展開を見せます。そして、生きていたその夫は、最終的に警察に撃ち殺されてしまうのです。妻の告白によって。

しかしなぁ・・・。そんなありふれた話?なんて我々が思っているのと同時進行で、主人公の刑事はどんどん疑問を持って、女にのめり込んで行ってしまいます。

最終的には、こうです。実は、最初の男は女が勤めていたクリーニング店の客だった。ところが、女は高価な革ジャンの洗濯に失敗し、そのツケを体で払わされていた。我慢ならなくなった女が、実は最初の男を殺していたのだった。「すみません。私が犯人です」とうつむく女。彼女に同情し、かばおうとする男。でも、殺人は殺人。女は連行されます。ラストシーンは、まるで警察の業務を妨害するかのような大量の白昼の花火。姿は映らず終わってしまいますが、やっぱり元刑事の男が上げてたんでしょうね。

え?これで終わり?って、正直思いました。これではまるで「若くて美しい悲劇のヒロイン」なだけじゃないですか。そしてそれに翻弄されたダサい男って、いまさらそんな話?これがあの評判の映画?

納得いかないですねぇ。きっと私が肝心な所を見落としているに違いありません。残念ですね。なにか、「あっ」と思わなければいけない場面があったんでしょうね。「ここを見るべきだった」とか「こう見るべき」とかいう意見があれば、是非お聞きしたいところです。

コメント