「ハリー・ポッター」シリーズのデビッド・イェーツ監督が、エドガー・ライス・バローズの古典小説「ターザン」シリーズを原作に、ジャングル育ちの英国貴族ターザンの新たな冒険を描くアクションアドベンチャー。イギリスの貴族で実業家、美しい妻ジェーンと裕福な暮らしを送るジョンには、生後間もなくアフリカのコンゴの密林で動物に育てられた過去と、ターザンという別の名があった。ジャングル育ちの野性と貴族としてのスマートさを持ち合わせた特別な人物として、英国政府から一目置かれる存在のターザンだったが、ある時、何者かの罠にはめられて妻をさらわれ、故郷のジャングルを侵略されてしまう。妻と故郷を救うため、ターザンはジャングルへと舞い戻る決意を固める。主人公ターザン役は、映画「バトルシップ」やドラマ「トゥルーブラッド」で活躍するアレクサンダー・スカルスガルド。ジェーン役に「ウルフ・オブ・ウォールストリート」マーゴット・ロビー。(映画.comより)
カッコよすぎる!なんなんだ、このターザンは!今回の映画は、今までのイメージとは違い、親の後を継いで英国貴族として人生を送っていたグレイストーク卿が、やむを得ない理由と、欲に目がくらんだ悪意によって、「密林の王者ターザン」に戻ってゆくことを余儀なくされる、というお話です。
もう一度ジャングルに帰るつもりはなかったターザンですが、故郷の危機を知り、決心せざるを得なくなります。悪意はいつも先進国の金持ちたち。私のような貧乏人からしたら「あんなに持っているのに、なんでまだ欲しがるんだろう」と真剣に疑問に思うわけですが、多分その貪欲さゆえにお金持ちなのですね。そして現地でさらわれてしまう妻。ターザンは、なんとしても悪意に満ちた計画を暴き、妻を助け出さねばならないのです。
今回の旅にはサミュエル・L・ジャクソン扮する「博士」が同行します。彼はアメリカの博士なのですが、南北戦争時にはかなりいろいろなことをやったようです。本人は深く反省している模様ですが、ワルだったゆえ逆境にも強く、ジャングルの過酷な環境にもメゲずにターザンについてゆきます。
仲良しだった現地の部族たちと、駆ける、駆ける。走る、跳ぶ。どうやって鍛えたのかと思うほどの美しすぎる鋼の肉体を駆使して、汽車を出し抜き、船を追い越します。一方の妻ジェーンも、元はジャングルで住んでいたという設定。悪役のクリストフ・ヴァルツが「なんて女だ」とつぶやくほど、自力で脱出を図ります。
そして圧巻は、ターザンに味方する動物たち。本当に信頼を集める王者だったのですね。敵対する部族との戦いも、理由があってのこと。しかし、物語の根底はラブストーリーです。何をおいてでも彼女のために体を張るその様は、「ワイルドスピード」でミシェル・ロドリゲスをどこまでも追い求めるヴィン・ディーゼルのようです。
しかし過去、これほど絵になるターザンがあったでしょうか。北欧の俳優さんにこれほどイギリス貴族が似合うなんて。多くを語らないそのまなざしで、あれほどの愛情を表現するなんて。思わずうっとりです。アレキサンダーの映画は数あれど、最高傑作の一つではないでしょうか。
ちなみに敵対する部族の長で、久しぶりにジャイモン・フンスーを見ました。わりと好きだったので、うれしかったです。
ということで、最終的には女性向きかもです。