田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

パリに見出されたピアニスト(Au bout des doigts)

2019年11月28日 16時25分12秒 | 日記

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 夢を持たずに生きてきた不良青年と、彼の才能を見いだしピアニストに育てようとする2人の大人たちの物語を描くフランス製ヒューマンドラマ。パリ、北駅に置かれた1台のピアノ。マチューの楽しみは、自分を追う警察官の目を盗んでそのピアノを弾くことだった。そこへ通りかかった音楽学校のディレクター、ピエールはマチューの才能に強く惹かれ、ピアニストとして育て上げたいと声を掛ける。乗り気ではないマチューだったが、実刑を免れるため無償奉仕を命じられた音楽院で、ピエールや厳しいピアノ教師エリザベスの手ほどきを受けることに。生い立ちに恵まれず夢など持たずに生きてきたマチューは、周囲との格差や環境の壁に直面しながらも、本気で音楽と向き合うようになっていく。主演は「アスファルト」のジュール・ベンシェトリ。マチューを見守り導いていく2人の大人を「神々と男たち」のランベール・ウィルソンと「イングリッシュ・ペイシェント」のクリスティン・スコット・トーマスが演じる。(映画.comより)

 

 

 王道の感動ストーリー。今、これを作るのって、却って勇気が必要だったんじゃないかと思うほどの王道サクセスストーリー。男の子は貧しく、音楽の才能すらあるのかどうかもわからないまま成長し、例に漏れず不良化してます。ただ小さい頃に、狭い団地ながらも、近所にピアノを弾くおじいさんがいて、一度メロディに引き込まれて入って行き、それ以来音楽に親しみ、教えてもらえた、という環境があっただけ。主人公の青年には幼い弟もいて、シングルマザーの母親は生活に一杯いっぱいで、「ピアノを弾いてる時間があったら働きなさい」という感じです。当たり前ですよね、母親が悪いわけではありません。

 で、パリの駅には誰でも弾けるようにピアノが置いてあるんですね。日本でこういうところ、あります?私不勉強なんでよく知らないのですが、イ・ビョンホンの「それだけが、僕の世界」でもサヴァン症候群の弟が公園に置いてあるピアノを弾く場面がありましたね。誰でも・いつでも・無料で・ピアノが弾けるこういうところ、日本にもあるのでしょうか。そんなパリの駅でピアノを弾いていた青年は、行き詰まっていた高名な音楽教師の目に留まることとなり、繰り返される不良行為にほとほと困っていた母親に代わり身元引受人となった彼とともに、再生してゆくわけです。

 この教師がランベール・ウィルソン、その友人の女性教師がクリスティン・スコット・トーマスです。クリスティンの一筋縄ではいかない女性教師がハマりすぎです(笑)。まぁ素行も育ちも悪い青年に、きちんとした音楽教育がそう簡単に施せるわけがありません。また、教師たちも皆それぞれいろんなバックグラウンドがあり、事情は複雑です。そんななか、観客の予想を裏切らない美しい物語が紡がれてゆきます。ありきたりと言うなかれ。人々が疲弊している現代において、安心して見られる美しい物語がどれほどの癒し効果を持つか。またすさんだ心が、鑑賞後にどれだけ洗われホッとしているか。映画がもたらす効果は決して侮れないと思いますね。また、ピアノ演奏がすごいんです。私は音楽の素養がなくて、クラシックなんかどれがショパンでどれがモーツアルトなのか、わかりません。それでも「すごい」としか形容できないような感動に襲われる、そんな演奏なんです。言語乏しくてすみません。でも、素人の私は、涙が出るほど感動しました。

 ランベール・ウィルソンも、渋くて素敵なミドル(初老?)になりましたねぇ。もちろん元々ハンサムですけれど、歳を重ねて渋さを増し、何とも言えない”大人の男”の雰囲気を醸し出してますね。素敵です。

 ”娯楽な時間”にピッタリな映画です。その雰囲気を楽しみたいときに、是非。

 

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怒り

2019年11月23日 15時40分00秒 | 日記

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 吉田修一の原作を映画化した「悪人」で国内外で高い評価を得た李相日監督が、再び吉田原作の小説を映画化した群像ミステリードラマ。名実ともに日本を代表する名優・渡辺謙を主演に、森山未來、松山ケンイチ、広瀬すず、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡と日本映画界トップクラスの俳優たちが共演。犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄という3つの場所に、それぞれ前歴不詳の男が現れたことから巻き起こるドラマを描いた。東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。それから1年後、千葉の漁港で暮らす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れ、東京で大手企業に勤める優馬は街で直人という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉は、無人島で田中という男と遭遇するが……。(映画.comより)

<2017年7月9日 you tube鑑賞>

 

 

 

 今更ですみません。当時、公開されてまだ間がなくて、たぶんyou tubeで中国語字幕で公開されていたシロモノ。日本人だから字幕無視してタダで見れて「ラッキー!」と思った私でした。アホですみません。

 しかし、映画自体は長くて重いものでしたね。「悪人」も深く深く考えさせられましたが、個人的には今度の映画のほうがわかりづらい感じがしました。

 整形してまで逃げ回る犯人、そもそもの殺人の動機が説明通りなら、ちょっと異常な気がします。もちろん殺人自体、異常な事態だし、平凡な人間には縁のないものなのですが、それにしてもヒドすぎる。そして、物語はオムニバス調に3つ並行に描かれます。どれにもそれらしい怪しい男の存在が。私、「絶対一人の男が変装しているんやわ」と思っていました(笑)。同時期に存在することについては、今にびっくりするようなトリックが明かされるに違いないと。

 それぞれのお話、役者さんたちはうまかったですねぇ。渡辺謙は渡辺謙であってそれ以上ではなかったですけれど、他の役者さん、例えば宮崎あおいのエキセントリックさと男性に対する魅力はどう?!さすがとしか言いようがありません。あんな風に生まれたかった(笑)。この宮崎パートの”男”は松山ケンイチ。

 そして二つ目。真面目なゲイ、妻夫木聡もよかったけれど、彼に拾われる”男”綾野剛の繊細さと可愛らしさは、どう?!綾野さんがあんなに魅力的な人だって、知らなかった。映画も結構見たんだけれど。妻夫木君の病身の母親もよかった。社会的地位はなくとも、母親を一瞬でとりこにしてしまう綾野さんは少々紋切り型だとは思ったけれど、でもこの二人のお話が一番魅力的だったかな。

 もう一つのお話は、沖縄。私たちがニュースで見るような、リアルな沖縄の時事問題を取り込んで「こんなん描いていいん?」とこちらが戸惑うほどでした。このパートの”男”は森山未来。これは反則ですよね、彼だけが最初から危険な風貌じゃないですか(ファンの方、ごめんなさい)。

 人はいったん疑い始めると、物事はそうとしか見れなくなります。人間の記憶が簡単に置き換わるのと同じです。でも、それは得てして誰にでも無意識に起きることであって、責めるようなものではないのでしょうね。自分だって、きっとそうなのですから。周りの反応を見て、自己を戒めるほかありません。それでも「類は友を呼」んでますから、自覚すら難しいのかもしれません。

 映画と小説はラストの描き方が違うと聞きました。映画のラストがあんまり記憶に残ってないので、インパクト薄かったんでしょうね(笑)。機会があれば是非小説にもチャレンジしたいです。

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フリーソロ(Free Solo)

2019年11月23日 14時43分05秒 | 日記

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 ロープや安全装置を一切使わずに山や絶壁を登る「フリーソロ」と呼ばれるクライミングスタイルで世界的に知られるクライマー、アレックス・オノルドの緊迫感あふれるクライミングに密着したドキュメンタリー。ナショナル・ジオグラフィック誌の表紙を飾るなど、世界で著名なクライマーの1人として活躍するアレックス・オノルドには、1つの夢があった。それは、世界屈指の危険な断崖絶壁であり、これまで誰もフリーソロで登りきった者はいない、米カリフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑むこと。この前人未到のフリーソロのために幾度の失敗と練習を重ねてきたオノルドは、2017年6月3日、ついにエル・キャピタンへの挑戦を開始する。オノルドが登攀する様子を臨場感あふれるカメラワークで収め、第91回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞。監督は、山岳ドキュメンタリー「MERU メルー」も高い評価を得たエリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チン。(映画.comより)

 

 

 

 こんな珍しい映画が都会と公開時期を違わずやってたら、見るしかないでしょう(笑)。上映時間も短かったし、登山のドキュメンタリーということで、字幕でも見れるかとチビ息子を伴い鑑賞。映画は冒頭からすごいアングルでのクライミング場面。いきなりビビったチビ息子が「ぼく、高所恐怖症なんよ~」と弱音を吐くくらいでした。いや、高所恐怖症が何たるかはあんまり理解してないとは思いますけどね(こんな言葉をよく知っていたなぁとは思う)。

 しかしながら、映画全体は起伏に富まない作りでした。掴みはバッチリだっただけに、少し残念かなぁ。個人的には、主人公の彼女の出番が多すぎると思いました。ドキュメンタリーなんだから、プロの登山家がどういう感じで日々を送っているのかとか、どんなチャンスがあってどんな考え方なのかとか、まぁ要するに「プロの世界」を垣間見たかったわけです。もちろん、そういう描写もあったし、またパートナーや家族も大変なんだろうと思いますが、彼女がどれだけ懐深く彼を許しているか、とか、普通の女の子が喜ぶようなことも本当は大好きで喜ぶとか、どれだけ彼に尽くしているかとか、わりとどうでもいいことが延々と描かれることにうんざりしました。こういうことに必死になる男なんて最初から変人ってわかってるんだから、それを許してるんだってアピールする必要ないと思う。彼女のシーンを削ったら映画は半分になるんじゃないかな(笑)。シャープでよかったかもしれん。

 それにしても危険です。本当に一瞬のミスで落ちて死んでしまった仲間も何人も描かれます。まぁそのスリルが生きてる感覚なんだろうけれど、こういうスポーツは引き際も難しいですね。「しまった!」と思って落ちた時は死ぬわけですから。あんまり凡人には縁のない世界だと思いました。当たり前か・・・。オノルド君、無事でいてくださいね。

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ルストムの裁判(Rustom )

2019年11月12日 08時15分32秒 | 日記

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 1959年ボンベイ。海軍中佐が妻の不倫相手を殺した罪で逮捕され、事件は瞬く間に世間の関心を集める。無実を訴える男は愛国者か、それとも計画的殺人犯か?(netflix ウェブサイトより)

<2017年7月7日 netflix鑑賞>

 

 

 主演はアッキーことアクシャイ・クマール。最初から最後まで真っ白な軍服姿で、出ずっぱりです。一説によると、何が起きてもずっと真っ白なまま絶対に汚れないとか(笑)。そうだったかも。そこ、よく見ていなかったけれど。

 ルストム(アッキー)は、大恋愛の末、結ばれた愛妻がいます。彼はとても妻を愛していて、勤務の船が寄港するたびに花束を手に帰宅するような夫です。しかしながら、生真面目な性格ゆえ仕事熱心で、海軍中佐という地位もあり家をよく空けています。そこを金持ちの遊び人男に目を付けられるんですね。それでなくても美しい妻。遊び人はヒマなので、マメなプレゼント攻撃から優しい声かけまで、ありとあらゆる手段を使います。我々観客には「こんな遊び人・・・」という風に映るのですが、当人は寂しい気持ちと、目もくらむようなプレゼントなどに徐々に心が揺れるようになっていきます。でも、わかります。私もこんなプレゼントの数々、もらってみたいぞ(笑)。

 さて、急に帰宅したルストム。妻の姿がないことに動揺します。そこから話は本格的に進んでゆくのですが、この映画は不倫の話だけではありません。どうやら海軍に不正があったようで、ルストムがあまりに生真面目なので、うるさがられて急な帰宅となったようで、そこもストイックに追及してゆくルストムです。

 妻を許せない、でもヒドい目には遭わせたくないし、名誉も守りたい。何かを調べようとしても行き詰まることばかりで、遊び人も反省しないのですが、そんな中、硬い表情のアッキーは”我が道を行く”のです。

 最後はアッキーの男気満載の終わり方で、うまくまとめてありました。もちろん、その後の二人が今までと同じように行くかどうかはわからないでしょうけれど。アッキーは、元来コメディというか、アホ役も多いようなのですが、私は最初に生真面目な役いくつも見てしまったので、今「ハウスフル」シリーズとかみたら面食らうだろうなぁ、と思います。ネットで引いてもほとんど情報が出てこないような貴重な映画、見れてよかったです。

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ガーンジー島の読書会の秘密(The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society)

2019年11月12日 08時05分58秒 | 日記

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 第2次世界大戦直後のイギリスの島を舞台に、ある作家が魅了された読書会をめぐるミステリー。第2次世界大戦中、イギリスで唯一ナチスドイツに占領されたチャンネル諸島の1つであるガーンジー島。そこに暮らす人々の支えとなっていたのが、島での読書会とその創設者であるエリザベスという女性の存在だった。人と人の心を本がつないだ事実に強く興味を抱いた作家のジュリエットは、読書会に関する記事を書こうと島を訪ねるが、島にはエリザベスの姿はなかった。読書会のメンバーと交流をしていく中で、ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに気づいてしまう。ジュリエット役を「シンデレラ」のリリー・ジェームズが演じるほか、ミキール・ハースマン、トム・コートネイらが顔をそろえる。監督は「フォー・ウェディング」「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のマイク・ニューウェル。(映画.comより)

 

 

 

 リリー・ジェームズ、出ずっぱりですねぇ。つい最近も「yesterday」で見ましたし。美人ですものね、本国でも人気者なのでしょうね。

 舞台は1940年のイギリス。ガーンジー島というインド人みたいな名前の島は、実在するようで「自主政府があり高度な自治権を有しイギリス連合王国には含まれないが、主権国家ではない」という理解が難しい島みたいです。イギリスの法律や税制、欧州連合の共通政策は適用されないのに主権国家ではない、なんて私には理解できません。アホですみません。ここは地理的にもフランスに近いし、パリがナチスドイツに占領された後まもなく占領されたんでしょうね。主なものはみな召し上げられ、芋でパイを作るくらいしか食べるものもなかったであろう厳しい時代に、生き延びるために作られた読書会。戦後まもなくの時代、作家として成功している若い女性がかつて手放した本に導かれて、読書会の人々と出会い、人生を見つめ直してゆくお話です。

 お話自体はわかりやすく、話の展開も王道です。ナチスの悲惨な時代が背景になっているとはいえ、凄惨な描写はなく、「戦場のピアニスト」ばりにドイツ将校にもいい人がいたことも描かれるし、リリー・ジェームズの恋愛が主軸になっていることもあって、女性にも見やすい映画になってると思います。また、風景の美しいこと!さすがイギリスの離島!!癒されます。行ってみたいという思いに駆られます(笑)。

 辛い時代を生きながらも、心の拠り所を見つけることによって強く生き抜いてきた人々。リリーが憧れを抱き、現在のハイソな生活から抜け出し実直に生きたいと思った気持ちがよくわかります。日本ではあんまり”読書会”という風習はないと思うのですが、近くであれば行ってみたいなぁ、と思いました。最近いつも書いているような気がするのですが、こんな恋愛、もう一度してみたいですね(笑)。「ベタな展開でもいいから安心して見ていたい」という人にお勧めです。

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