田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ビッグ・アイズ(Big Eyes)

2017年06月25日 10時23分05秒 | 日記

Cover art

 「アリス・イン・ワンダーランド」「チャーリーとチョコレート工場」のティム・バートン監督が、1960年代アメリカのポップアート界で人気を博した「ビッグ・アイズ」シリーズをめぐり、実在の画家マーガレット&ウォルター・キーン夫妻の間に起こった出来事を描いたドラマ。悲しげで大きな目をした子どもを描いたウォルター・キーンの「ビッグ・アイズ」シリーズは、ハリウッド女優たちにも愛され、世界中で大ブームになる。作者のウォルターも美術界の寵児として脚光を浴びるが、実はその絵はウォルターの妻マーガレットが描いていたものだった。絵は飛ぶように売れていくが、内気な性格のマーガレットは、自分の感情を表すことができる唯一の手段である「ビッグ・アイズ」を守るため、真実を公表することを決意する。マーガレット役に「アメリカン・ハッスル」「魔法にかけられて」のエイミー・アダムス、ウォルター役に「イングロリアス・バスターズ」のクリストフ・ヴァルツ。(映画.comより)

 

 

 録りおき映画の感想に戻ります。随分溜まっているのですが、劇場で鑑賞したのを優先するので、ついつい溜めてしまいます。

さて、これは実話なんだそうですね。マーガレットさんは、今も存命で絵も描き続けておられるようです。1960年代、まだまだ女性の社会的地位が低かった時代、「女が描いた絵」と言うとそれだけで先入観が生じてしまうような時代に、口八丁手八丁でうまくそれを取り込んだ詐欺師まがいの男と、やがて自立して行く女性の話です。

内気なマーガレット(エイミー・アダムス)は、横暴な夫から逃れて娘とともにサンフランシスコへ。週末の公園で、似顔絵を描いたり、風景画を売ったりする画家の卵たちに混じって、自分も似顔絵を描いています。そこでウォルター(クリストフ・ヴァルツ)と出会います。パリの美術学校で勉強していたとか、とにかく話し好きで話題も豊富なウォルターにすっかり魅了され、二人はやがて結婚。

しかし、ウォルターの風景画はちっとも売れないのに、マーガレットの描いた「瞳の大きな子供」の絵、いわゆる「ビッグ・アイズ」はふとしたことから話題となり、人気が出ます。すると、ウォルターは全部「自分が描いた絵」にしてしまい、売れると見るやポスターや絵はがきなど制作し、商魂たくましく稼ぐようになります。内気なマーガレットは彼に逆らうことが出来ず、家にこもって隠れるようにして彼の言いなりに絵を描くようになります。世の中に「女性が描いた絵」が珍しく、扱いが差別的になることが予想できたということもあるでしょう。今を生きる私たちから見れば、はがゆいばかりの描写ですが、これも時代のもの。誰が悪いわけでもないのでしょう。

また、考えようによっては、口八丁手八丁のウォルターだからこそ、ここまではったりで売り込めたのであって、マーガレットだけならここまで話題にならずに終わっていたかもしれません。とにかく、彼女の「ビッグ・アイズ」はセレブにも圧倒的な人気を誇るのです。二人は郊外に豪邸を構えます。

しかし、ウォルターの化けの皮がだんだんはがれて行きます。実はパリになんか留学していないし、風景画もみな他人の作品で、自分のサインを上書きしていたのです。実際、絵なんか描けない人だったのです。マーガレットが問い詰めるとなんと部屋に火をつけられます。身の危険を感じた彼女は娘を連れてハワイに逃げ出します。マーガレットがいなくなると、絵が生産されません。「離婚してやるから、絵を100枚描いてよこせ」と言われるに至って、さすがのマーガレットも友人たちの支援を受けて裁判を起こすのです。

おとなしいマーガレットをなめてかかっていたウォルターは、弁護士も雇わず自分一人で出廷します。しかし、裁判長に「持ち時間を1時間与えるので、二人とも絵を描きなさい」といわれ、きれいにビッグ・アイズを仕上げたマーガレットに対して、ウォルターは何も描けなかったのです。それでも自分の非は認めなかったですけどね。

しかし、絵を描く才能もないのに、なんで画家を気取ったのでしょうね。あれだけ口が回るのなら、ほかの種類の詐欺師をやればよかったかも。営業に向いてるかもしれないし。このウォルターにクリストフ・ヴァルツを持ってきたのが成功の鍵だったと思いますね。ものすごく調子者の、いいかげんな奴なのに、いやらしくない。憎めないというか。うまい役者さんですね、本当に。またエイミー・アダムスも儚げで頼りない感じが絶妙にかわいかったです。

マーガレットさんの場合はめでたし、めでたしで終わったけれど、案外こういう感じで埋もれちゃった女性って、いるのかもしれませんね。そんなことを考えた映画でした。

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ミスト(THE MIST)

2017年06月24日 15時49分59秒 | 日記

ミスト

 『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』のコンビ、原作スティーヴン・キングと監督フランク・ダラボンが描くパニック・ミステリー。霧の中に潜む謎の生物に恐怖し、常軌を逸していく人々の姿を描く。混乱する人々をまとめようとする主人公を演じるのは、『パニッシャー』のトーマス・ジェーン。『ポロック 2人だけのアトリエ』のマーシャ・ゲイ・ハーデンが、混乱をあおる狂信的な宗教信者の中年女を怪演。思わず目を疑うような、驚がくのエンディングが用意されている。(シネマトゥディより)

 

 

 

 あかんでしょ、こんな結末。映画は娯楽のはずじゃ?もうかなり前の映画で、ネタバレも出回ってるので、ここでは書かないですけど、あまりにも後味が悪すぎる。心臓の悪い人は要注意かも。

私、個人的には「ダンサー・イン・ザ・ダーク」が絶対に許せない人なので、まぁあの映画よりは故意や悪意がやむを得ないものになっているとは思うのですが、こういう結末の物はダメですねぇ。もちろん、いろいろ考えさせられる展開ではあります。今までもさんざん描かれていたものではありますが、追い詰められたときの人間の醜悪さ、自分勝手さ、さらにどうしようもなくなると何の根拠もない信仰にのめり込んでしまったりする、どうしようもない人間のサガなど。冷静に行動しているように見えても、果たしてそれが正しいのかは誰にもわからないし、後から「こうしていれば」というのは結果論であって、人生もそうだけど、そのときは先のことなど絶対にわからないし。

気色の悪い生き物も次々登場します。怖すぎる!マジでこんなのに襲われたくない。早々に死んだ方がマシ。スーパーに閉じ込められた状態でゾンビ系(?)異次元生物系(?)に襲われる、というのはありがちな設定だけど、この映画はそこじゃなくて、ラスト10分?15分?が他と違うのです。お金払ってこんなエンディング、個人的にはあり得ない。胸が痛すぎる、思わず叫びました。録画でよかった。

ともかく、女性や上品な人、心臓が弱い人にはすすめません。覚悟が必要です。

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さよなら、人類(En duva satt pa en gren och funderade pa tillvaron)

2017年06月19日 08時30分09秒 | 日記

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 スウェーデンの奇才ロイ・アンダーソン監督が「散歩する惑星」「愛おしき隣人」に続く「リビング・トリロジー」3部作の最終章として4年の歳月をかけて完成させ、2014年・第71回ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞した不条理コメディ。面白グッズを売り歩く冴えないセールスマンのサムとヨナタンは、行く先々で様々な人生を目撃する。ワインを開けようとした男が心臓発作を起こして絶命するが、妻はそれに気がつかない。また、臨終寸前の老女は宝石が詰まったバッグを天国に持って行こうとして手放さない。一方、18世紀のスウェーデン国王率いる騎馬隊が、現代のバーに現われる。ブラックでシュールなエピソードの数々が、細部まで緻密に計算され尽くした絵画のような39シーンで語られる。日本では、14年・第27回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で上映されている(映画祭上映時のタイトルは「実存を省みる枝の上の鳩」)。(映画.comより)

 

 

 

 やってしまった・・・。自分は超のつく凡人だとわかっていたのに、こんな突飛なものを見てしまった。

わからない・・・。一応、主人公は二人組のセールスマンだというのはわかります。彼らは、おもしろグッ

ズを売っています。が、誰が買うのかと思うくらい、気の効かない、しけたグッズを売っているのです。

よくまぁあれで生活が成り立つものです(笑)。で、時系列も話の流れもバラバラなエピソードが淡々と

羅列されてゆきます。また描かれる話も、よくわからないものばかり。いや、私がわからないだけかもしれ

ないですけど。三部作と聞いていますから、全部見ないとわからないのかもしれないのですが、私、多分

全部見てもわからないでしょう。

しかしながら、登場人物たちは、のほほんとしてかわいらしく、みな素朴で誠実です。悪い人は一人も

出てきません。だから、なんだかわからなくても、笑えたりホッとしたりするのです。これが北欧の味

なのでしょうか。独特ですね〜。真似できません。

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マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manchester by the Sea)

2017年06月15日 15時59分44秒 | 日記

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 「ジェシー・ジェームズの暗殺」「インターステラー」のケイシー・アフレックが主演し、心を閉ざして孤独に生きる男が、兄の死をきっかけに故郷に戻り、甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく姿を描いたヒューマンドラマ。「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本で知られるケネス・ロナーガンが監督・脚本を務め、第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。アフレックが主演男優賞、ロナーガン監督が脚本賞を受賞した。プロデューサーにマット・デイモン、主人公の元妻役で「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズ、兄役で「キャロル」のカイル・チャンドラーが共演。アメリカ、ボストン郊外で便利屋として生計を立てるリーは、兄ジョーの訃報を受けて故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。遺言でジョーの16歳の息子パトリックの後見人を任されたリーだったが、故郷の町に留まることはリーにとって忘れられない過去の悲劇と向き合うことでもあった。(映画.comより)

 

 

 

 

 つらい、つらすぎる。胸がつぶれそうでした。もちろん、ラストは少し希望が見えるものになっていましたが、話の展開がつらすぎました。「こんなにしてまで、人って、生きてゆかなきゃならないんだろうか」と、ごく最近も言ったような気がします。そう、マイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデル主演の「光をくれた人」です。あのときも「つらすぎる」と、息が止まりそうになりましたが、今回もやりきれなさで一杯になりました。これほど何を見てもつらいって、自分に原因があるのかもしれませんね。元来、映画って、嘘っぱちでも希望があるもの。心がけを変えなきゃですね。

マンチェスタ・バイ・ザ・シーは、実在の街だと聞きました。実際も、こんなにどんよりとした街なのでしょうか。最近見た「私は、ダニエル・ブレイク」でもつらそうな街だったし、映画の主人公たちって、みな大変そうで、どの街も住みづらそう。

そんな街でも、ケイシーは仲良しの兄(カイル・チャンドラー)と、その息子パトリックとともによく船を出して楽しんでいます。自分にも3人の幼子がいますが、まだ小さいのと、大きい方は女の子たちだということで、もっぱらパトリックと遊んでいます。兄は心臓の持病があったり、(兄の)妻が精神的に不安定だったりと、問題も抱えていますが、親もそばにいるし、裕福ではないけれどそれなりに暮らしていました。ところが、そんな平凡なケイシーに悲劇が襲うのです。ここはあえて書かずにいます。想像を絶する悲劇です。ちょっと耐えられないですね。それで、ケイシーは妻とも別れ、この町を出ることになります。もう、戻れない、戻りたくない。そんな感じだったはずです。

ケイシーは、ボストンの郊外で便利屋(何でも屋)をやっています。それなりに腕も立ち、仕事も切れずにあるのですが、時々態度や言葉遣いが悪いので苦情も入ります。まぁ見ている限り、客も悪いと思うんですけどね。そんななか、故郷の街から連絡が。心臓が悪かった兄がとうとう亡くなり、息子の後見人に弟である自分を指名していると言うのです。そんなこと、聞いてない。相談も受けてない。どうして兄はそんなことを?二度と帰りたくなかった街に、ケイシーは向かうことになります。

さすがにオスカーを貰っただけのことはあります。良くできた映画でした。静かに淡々と、でもどうしようもない日常を描いていて。でもやっぱり、人は一人では生きられなくて、どこかに希望もあって。

やりきれないですね。こんなに平凡で欲もないような男に、神様はどうしてこれほどの試練を与えるのでしょうか。それでも、その「平凡さ」が、よくわかるんですよね。私は女だけれど、ミシェル・ウィリアムズに対する態度とか、言動とか、「あ~、きっとうちの主人でも同じこと言う。きっとおんなじなんだろうな」って、想像できるんですよ。

ちょっとしんどいけれど、体力のあるときに鑑賞してみてください。良作です。

 

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20センチュリー・ウーマン(20th Century Women)

2017年06月13日 14時07分50秒 | 日記

 

20th Century Women Movie Poster

 「人生はビギナーズ」で自身のゲイの父親をモデルに描いたマイク・ミルズ監督が、今度は母親をテーマに描いた物語。1979年のサンタバーバラを舞台に、15歳の少年ジェイミーとシングルマザーのドロシア、そして彼らを取り巻く人々の特別な夏を描いた。思春期の息子ジェイミーの教育に悩むシングルマザーのドロシアは、ルームシェアで暮らす写真家アビーと、近所に暮らすジェイミーの幼なじみのジュリーに、ジェイミーを助けてやってほしいと頼む。母ドロシアに扮した主演アネット・ベニングは、ゴールデングローブ賞の主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネート。ジュリーを「マレフィセント」のエル・ファニング、アビーを「フランシス・ハ」のグレタ・ガーウィグが演じた。(映画.comより)

 

 

 

次に見たかった「マンチェスター・バイ・ザ・シー」とうまくつながるから、という理由で鑑賞した本作。しかし、アネット・ベニングやエル・ファニング、ビリー・クラダップなどが出ていることもあり、「見応え有るかも」と思って行きました。

結論から言うと、15歳の少年の視点(監督の体験談らしい)から描かれる、ちょっと特殊だったかもしれない自分の環境(母親と母を取り巻く女性たちとの関係)を描いたもので、女の私にはちょっと共感しづらい内容でした。ああいうむずかしい年齢の男の子って、独特の感性があるのじゃないのかな。昨今のハリウッド大作も見ているからか、淡々とした作りの映画は、少し長くも感じられました。しかし、男性はおおむね高評価のようです。アメリカとの文化の差もあるかな、とも思います。

アネット・ベニングは、15歳の息子を育てるシングルマザー。難しい年頃になってきた息子を扱いきれずに悩み、彼女の家に下宿している一風変わったカメラマンの女性(グレタ・ガーウィグ)や、性に奔放な息子の幼なじみ(エル・ファニング)に「息子の相談相手になって」もらえるよう、頼みます。母としては、自分よりも少しでも年の近い女性たちに関わってもらったほうが息子もやりやすい、とか考えたのでしょうね。でも、息子にしてみれば余計なお世話です。女親には見えないかもしれないけれど、子供って放って置いても自分で少しづつ成長しているんだと思うんですけどね(ってそういう自分も母親だけど)。

まぁそうこう言いながらも、積極的に関わってくれる若い女性たちに悪い気はしないわけで。息子は、それこそ、母親とだけなら絶対経験しなかっただろうことをいろいろ経験してゆくことになります。

グレタは子宮の病気があるかも、って心配を抱えています。エルは、「セックスをすれば友人関係は終わり」とか言って、よく息子のベッドに潜り込んでくるくせに、毎夜何もなく添い寝するだけになっています。ある時それを知ったグレタが「セックスさせない女と一緒に寝ちゃダメ」と諭します。ある夜は、母に反発して友人とLAまで車飛ばしてロックコンサートを見に行き、ある時はエルと逃避行まがいのことをしてみたり。それこそ息子は「濃いひととき」を過ごしてゆきます。下宿人には味のあるおじさん、ビリー・クダラップもいたりします。何でも屋をやるみたいです。車を直したりね。

ともかく、雑多なことが次々起きます。一般的な解釈によると、息子はひと夏で濃く成長し、大人になってゆくのだそうです。また、アネット・ベニングは女優として最高の演技をしているのだそうです。

しかし、私個人的にはあんまり理解できなかったし、アネットも「バグジーで初めて見たときは、”こんなきれいな女優さん、今までどこにいたんだろう”と思うくらい綺麗だったのを覚えているけど、しかし老けたなぁ。役作りかもしれんけど」と正直思いました。ビリー・クラダップもなかなかにハンサムな俳優だったのに、おじさんになって!自分も同じだけ歳を重ねてきたことを改めて思い知らされ、なんだか複雑な心境です。彼らのように素晴らしいキャリアでも積んでれば、歳を重ねることも肯定的にとれたのかもしれませんが、私、なんにもしてないしなぁ・・・なんて、考えてしまった次第です。

でも、評判はいいようです。機会があれば、どうぞ。

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