ベイビー(アンセル・エルゴート)。その天才的なドライビング・センスが買われ、組織の運転手として彼に課せられた仕事―それは、銀行、現金輸送車を襲ったメンバーを確実に「逃がす」こと。子供の頃の交通事故が原因で耳鳴りに悩まされ続けているベイビー。しかし、音楽を聴くことで、耳鳴りがかき消され、そのドライビング・テクニックがさらに覚醒する。そして誰も止めることができない、追いつくことすらできない、イカれたドライバーへと変貌する―。組織のボスで作戦担当のドク(ケヴィン・スペイシー)、すぐにブチ切れ銃をブッ放すバッツ(ジェイミー・フォックス)、凶暴すぎる夫婦、バディ(ジョン・ハム)とダーリン(エイザ・ゴンザレス)。彼らとの仕事にスリルを覚え、才能を活かしてきたベイビー。しかし、このクレイジーな環境から抜け出す決意をする―それは、恋人デボラ(リリー・ジェームズ)の存在を組織に嗅ぎつけられたからだ。自ら決めた“最後の仕事”=“合衆国郵便局の襲撃”がベイビーと恋人と組織を道連れに暴走を始める―。(公式サイトより)
うほ!こんな映画が田舎で上映されていたなんて!新聞折り込みの地方版を見るまで知らなかった私の不覚でした。でも、県内でたった1館の上映なんです。まぁ元々映画館自体が少ないわけですが。
両親を交通事故で失い、孤独なベイビーは優しい養父と暮らしています。養父は年配な上、身体障害者で車いすを手放せず、しかも口がきけないようです。でも、いつもベイビーのことを気遣い、心配してくれてます。ベイビーも手話を使って話しながら、この養父にだけは心配をかけてはいけないと思っています。養父もベイビーが堅気でないことはうすうすわかっているようですが、いつも彼を見守っています。
そんなベイビーは、上にもあるように天才的なドライビング・テクニックで、銀行強盗などをしでかしてる奴らの「逃し屋」をやってます。このドライビング、確かに早いしすごすぎるのですが、ドリフトしすぎ(笑)。あれではタイヤがもたないのではないかとも思うのですが、まぁ特別仕様かもしれません。日本のスバル・インプレッサも登場しますが、あり得ない偶然が起きたりして(上から見ると同じ車に見えるものが3台並ぶ、とか。頼んであったのかな?)、まさに「見せる」ためのシーンです。おもしろいですねぇ。
仕事中は寡黙でイヤホンを耳から離さないベイビーですが、女の子にはなかなか積極的です。彼女のためにも人生をやり直さなければ、と思っていますが、こういう稼業ですから他の仲間が黙っていません。重ねて、今回組んだジェイミー・フォックスがうるさい奴だったのです。行く先々で、すぐに銃をぶっ放して人を殺すし。こんな奴が混じってると、やがて行き詰まります。敵・味方が入り乱れてのチェイスとなってしまうわけです。
さて、ベイビーは愛する彼女の手を取って、無事に逃げ切ることができるのか。自分では動けない養父はどうなるのか・・・そんな映画です。もちろん、基本は娯楽ですからそんなにシリアスな映画ではありません。主人公は主人公なのですが、なかなかおもしろい映画でした。ただひとつ、アメリカの音楽をリアルに知らないので、ベイビーが聞いている音楽とそのバックグラウンドを知ってれば、もっと楽しめたんだろうな、と残念に思いました。