田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

暗殺の森(IL CONFORMISTA)

2023年11月30日 18時37分32秒 | 日記

Il conformista, Polish Movie Poster

The Conformist (Il Conformista) Movie Poster 1970 Italian 4

Poster Il conformista

 

1930年代末、イタリアのファシズム体制に安穏と追従する男性の悲劇を、華麗でスタイリッシュな映像美で鮮烈に綴った、B・ベルトルッチ監督の絶頂期を飾る傑作の1本。好奇の目にさらされながらも優雅に踊る女同士のダンスシーン、雪の降り積もった森での暗殺シーンなどベルトルッチと名匠ビットリオ・ストラーロのコンビが描く映像美も見どころ。日本では72年に劇場公開されており、ベルトルッチ作品の日本における初劇場公開作となった。

13歳の時、友人にいじめられているところを救ってくれた同性愛者の青年に拳銃を発射して逃げ去るという体験をして以来、罪の意識を抱いて大人に成長したマルチェロ。哲学講師となった彼は、けっして異端者になるまいと決め、祖国のファシズム体制に付き従い、プチブルの娘ジュリアと婚約を交わして平穏に過ごすが、ファシスト党から、かつての恩師でパリに亡命したクアドリ教授ら反ファシスト組織の動きを探るよう命じられ……。(wowow ウェブサイトより:一部書き加え)

 

 

<2023年11月12日 劇場鑑賞><午前十時の映画祭>

 ”名作の誉れ高いと聞いているけれども、実は見てない”の類の映画でした。少し長かったけれど、今回見る機会を得て本当に良かった。ジャン・ルイ・トライティニャンは、後から「男と女」を見たくらいで、若い頃をよく知らなくて、「トリコロール 赤の愛」の方が印象に残っていたりしたのですが、今回”常識”や”一般的”であることに囚われた男をうまく演じていて、哀惜を感じさせました。

 物語は上にある通り、少年だった主人公が、同年代の男の子たちにいじめられていて(多分男色を見抜かれていた?)、それを見つけた運転手の男性(憲兵かなにかだったかも)に助けられたまでは良かったけれど、この運転手さんも男色で、そこをわかったうえで助けたらしく、少年はそのまま個別の部屋に引き込まれ犯されそうになりました。咄嗟に近くにあった銃を手に取った少年、運転手さんを撃ってしまいます。当然一目散に逃亡。子供ゆえ、捜査の手も伸びず、大きなトラウマを抱えたまま大人になってしまった少年マルチェロ(ジャン・ルイ・トライティニャン)は、優秀ゆえ、世間から浮かないよう万全を期すようになり、体制になびき、世の中の”多数”に含まれることに必死です。それゆえ、ファシズム政権からも重用され、外目には”成功した人生”を送っています。良家の出の婚約者もいます。でも、必死に取り繕っているけれども、トラウマは大きく、また実は本当は男色であることも公にはしていません。でもそれはそれで、人生をそのように送るはずでした。しかし、大学時代の恩師を監視し、それ以上のことを依頼されるにあたっては、恩師の若き妻が魅力的だったこともあり、多少の迷いも生じます。

 物事は予想通りには進みません。しかし”普通”になるため政府に盲従しているマルチェロは、時として冷淡でもあります。そして、戦争が終焉を迎え、ファシストだった彼も問責を受けることなく安泰に過ごしていました。しかし

 

 

<ここはネバレ>

 久しぶりに友人と街を歩いていたマルチェロは、自分が長年殺したと思い込んでいた「運転手」が生きていて、再び少年を口説いている場面に遭遇してしまうのです。錯乱するマルチェロ。思わず、一緒にいたファシスト時代からの友人と「運転手」の二人を指さし、「こいつらはファシストだ!」と大声を出しまくってしまうのです。逃げる友人と運転手。騒ぐ人々。口説かれていた少年と一緒に座っているマルチェロ。映画はジ・エンドです。

 

<ネタバレ終わり>

 

 悲しいですね。少年マルチェロは悪くない。彼に手をかけようとした大人が悪いのです。かわいそうに。いっそバレて「君は悪くないんだよ」と言ってもらえた方が楽だったかも。彼は、父親が精神病院に入院しているとか、母親には情婦がいるとか、そういうバックグラウンドがあったから、「自分はおかしいのかも」と思ってしまったのかもしれないです。時代が時代だけに、そこに居場所を見つけてしまった。価値観揺らがないから、ある意味自分を偽りやすいでしょうし。こんなトラウマ、想像できないです。名作と言われるだけのことはあると思いました。

 しかし、これは私だけかもしれないけれど、今見ると、ジャン・ルイ・トライティニャンとマルチェロ・マストロヤンニって、雰囲気似てますね。そんなことないか(笑)。いつも帽子をかぶっていたのと、名前がマルチェロだったからかな。マストロヤンニの方が濃いかな。つまらないことをすみません(笑)。

 

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ドミノ(Hypnotic)

2023年11月28日 17時18分53秒 | 日記

Hypnotic (2023) – Review | Mystery Thriller | Heaven of Horror

写真【3/3枚】 ドミノ - ひとシネマ

Hypnotic (2023) Review - Voices From The Balcony

 オースティン警察の刑事ダニー・ローク(ベン・アフレック)は、最愛のひとり娘ミニーを失った悲しみから立ち直れずにいる。容疑者が逮捕されたにもかかわらず、彼は誘拐したことも、どこに連れて行ったのかもまるで思い出せないというのだ。そんなある日、ロークと相棒ニックス(JD・パルド)は、特定の貸金庫を狙った強盗が計画されているという匿名の通報を受け、銀行に向かった。
隠れて監視するロークが目を付けたのは、銀行の外にいたひとりの怪しげな男(ウィリアム・フィクナー)。その男が隣の見知らぬ女性に話しかけると、女性は突然奇怪な行動を取り始める。そんな様子を見たロークは急いで貸金庫に駆けつけ、男より先に到着。目的の金庫を開けると、中に入っていたのはなんとミニーの写真だった。写真には、「レヴ・デルレインを見つけろ」と書かれている。ロークはふたりの警官を伴って屋上まで男を追い詰めるも、警官は突然暗示をかけられたようになってお互いを撃ち殺し、男は屋上から飛び降りた。すぐに見下ろしたが、地面に男の姿はない。いったい、何が起こったのか。
この出来事がミニーの失踪に関係していると信じるロークは、匿名の通報者の居場所をたどりあてる。そこにはダイアナ・クルス(アリシー・ブラガ)という名の占い師がいた。人の心を操る能力を持つ彼女は、男の正体を教えてくれる。彼とクルスはかつて同じ秘密組織に所属していたというのだ。そこにミニーはどうつながるのか。次々に危険が降りかかる中で、ロークはその答を探そうとする。(「ドミノ」公式サイトより)

 

 

<2023年11月5日 劇場鑑賞>

 関係ないけど、かなり前に「ドミノ」というキーラ・ナイトレイ主演の映画がありましたね。キーラはまだ若く、とても美しくてカッコよかった。賞金稼ぎの話だったかな。もちろん今でも美しいのですが、ちょっと鼻っ柱が強そうな感じが好きで、若い頃はよく彼女の映画を見ていました。

 関係ないことをすみません。今回の映画は、予告がよくできていましたね。「どんな展開になるのか」と興味津々でしたし、監督がロバート・ロドリゲスだというのもとても意外でした。

 しかし、結論から言うと、平凡な話だった。確かにどんでん返しはあるのですが、そもそも話にかなり無理がある。原題が「Hypnotic」と言うだけあって、催眠術まがいのものが出て来るのですが、あまりに簡単だし、私たち観客は”ベン・アフレックはいい人”って知ってるからいいけど、劇中ベンアフに初めて会った女性が、簡単に洗いざらい大事なことを話してくれたり、「??」と思うことも多々ありました。それは後に理由があってのことだとわかるのですが、少なくとも”その時”は、ベンアフももう少し疑うべきだろうと思いました。世の中の人たちが、それほどみんな”自分側”になびく人ばかりではないはずです。

 で、ラストまで行きついた後も、「えぇ~っ」って感じではなくて、なんか既視感がある感じでした。残念です。役者としてのベンアフも好きなんだけどなぁ。個人的に一番好きなのは「世界で一番パパが好き!」。アホみたいな作品かもしれないけれど、ベンアフの必死さといい人らしさが出てて、私は好き。ロバート・ロドリゲス監督は、やっぱり片足マシンガンの女性の映画を作ってる頃が一番おもしろかったな。あの女優さんもあの頃はいくつか映画を見たけれど、足がマシンガンになってるあの映画が出色だった。懐かしい話ですみません。また、ロバート・ロドリゲス監督とベンアフの次回作に期待します。

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ゴジラ−1.0

2023年11月26日 17時51分02秒 | 日記

映画「ゴジラ−1.0」ゴジラが銀座を破壊し尽す8分間を心待ちに待ち続ける映画。|天豆 てんまめ

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 日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の生誕70周年記念作品で、日本で製作された実写のゴジラ映画としては通算30作目。「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズをはじめ「永遠の0」「寄生獣」など数々の話題作を生み出してきたヒットメーカーの山崎貴が監督・脚本・VFXを手がけた。

タイトルの「−1.0」の読みは「マイナスワン」。舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。

主演を神木隆之介、ヒロイン役を浜辺美波が務め、2023年4~9月に放送されたNHK連続テレビ小説「らんまん」でも夫婦役を演じて話題を集めた2人が共演。戦争から生還するも両親を失った主人公の敷島浩一を神木、焼け野原の戦後日本をひとり強く生きるなかで敷島と出会う大石典子を浜辺が演じる。そのほか山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、 佐々木蔵之介と実力派豪華キャストが共演。(映画.comより)

 

 

<2023年11月3日 劇場鑑賞>

 いろいろバタバタしているうちに、感想書くのがすっかり遅くなってしまった。反省。

 さて、この映画はいろんな意味で魅力的でした。まず、定型「ゴジラ」でありながら「戦後のすべてを失った日本に、さらにダメージを与えマイナス1.0にしてしまうゴジラ」という発想が斬新でした。主演の神木君もさすがのうまさ。また、戦後の荒れた日本の姿を具体的に描いていて、浜辺美波は、見知らぬ女性に赤ん坊を託され自分も戸惑っていたとは言え、強引に神木君につきまとった挙句に家に居座るし(「えぇ~」と思いました)、近所のおばちゃん安藤サクラは口が悪くて驚くし(いい人だったけど)、最近の映画を見慣れた私には、久しぶりに衝撃の光景でした。それを言うと、人並み外れた才能を持ちながら、助かるためにわざと特攻を抜け出す神木君の在り方に、最初から驚いてはいたけれど。そういうことは実際にあったのかな。バレたら処刑なんじゃないのかな。想像だけど。また逆に、整備士に言われてもゴジラを撃たなかった神木君が責められる場面では、「撃ってもムダだったからでは?結果は一緒だったのでは?」と思いました。そういう問題ではないのかもしれませんが。

 ともかく、そんな感じで、最初からわりと引き込まれて行きました。今まで何作も「ゴジラ」を見たけれど、今回ほど話の筋道がわかりやすかったことはなく、本当に楽しめました。背中から”輝く背びれ”が順番に出て来るゴジラも美しかった。どうせCG使うのなら、これくらい美しくないと。また、なんで戦後の今、ゴジラが出現したのかは説明されなかったけれど、その後の”倒し方”を論じる博士(吉岡秀隆)の説明もわかりやすく、特攻隊など「今までわが国は命を粗末にし過ぎてきました」という意見も、的を射て心動かされるものでした。

 また、私はその時はわからず後から知ったのですが、史実に基づいた「雪風」「震電」の描写などは素晴らしかったようで、私も勉強になりました。

 これって、続編ありますよね。個人的には人類とゴジラが利益を分け合って共存できれば一番いいと思っているので、そんな作品も見てみたいです。欧米のゴジラは”守護神”だったりするようですけどね。でもだからと言って、キングコングが小さくなって言うことを聞いてる、というのもどうかとは思いますが。

 ともかく、続編が楽しみです。

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パラレル・マザーズ(Madres paralelas)

2023年11月24日 14時57分25秒 | 日記

Madres Paralelas (2021): recensione, trama e cast del film

Parallel Mothers (2021)

Critique de Madres paralelas (Film, 2021) - CinéSérie

 スペインの名匠ペドロ・アルモドバル監督が、「オール・アバウト・マイ・マザー」「ボルベール 帰郷」など数々の作品でタッグを組んできたペネロペ・クルスを主演に迎え、同じ日に出産を迎えた2人の母親の物語を描いた人間ドラマ。

写真家として成功しているジャニスと17歳の少女アナは、同じ病院の産科病棟で偶然出会い、同じ日に女の子を出産。ともにシングルマザーとして生きていくことを決意していた2人は、再会を誓って退院する。ところが、ジャニスがセシリアと名付けた娘は、父親であるはずの元恋人から「自分の子どもとは思えない」と言われてしまう。それをきっかけにジャニスがDNA検査をしたところ、セシリアが実の子でないことが判明。アナの娘と取り違えられたのではないかと疑うジャニスは、悩んだ末にこの事実を封印し、アナとも連絡を絶つ。しかし1年後、偶然アナと再会し、アナの娘が亡くなったことを知る。

ジャニス役を演じたペネロペ・クルスが、2021年・第78回ベネチア国際映画祭でボルピ杯(最優秀女優賞)を受賞。2022年・第94回アカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされた。アナ役はこれが長編映画出演2作目のミレナ・スミット。(映画.comより)

 

 

<2023年10月31日 録画鑑賞>

 あんまり書かれてないことが不思議なのですが、この物語には政治的な背景があります。スペインでは、第二次世界大戦に先立つ1936年から1939年にかけて、内戦が勃発していました。民主的な共和国政府と陸軍のフランコ将軍が率いる右派反乱軍との戦いです。結論から言うと、フランコ将軍が勝利し、スペインは、この後40年以上に渡って独裁体制が敷かれることになります。この辺を描いた映画も今までいくつかあったと思います。個人的には「ロルカ 暗殺の丘」が印象に残っています。独裁政権はいつの世もそうですが、文化人を厳しく管理します。詩人だったロルカも自由を謳っていたため、その対象でした。友人たちが再三逃げるように勧告したにもかかわらず、ロルカは踏みとどまり、殺されてしまうのです。

 さて、この映画では、主演のペネロペ・クルスが、考古学者に曾祖父の遺骨の発掘を依頼するところから始まります。彼女の曾祖父を始めその一家は、フランコ政権に殺され、他の人々と共に集団墓地に埋められてしまったために、どこに埋められているかの調査が難しく、お参りすることも、きちんと埋め直すこともできずにここまで来たのでした。

 そして、成功したカメラマンであるペネロペは、文字通りその考古学者(既婚)と恋に落ち、妊娠するのです。病弱な妻がいる考古学者は出産を望みませんでしたが、最後のチャンスと思ったペネロペは一人で出産します。

 ところで、入院した産婦人科で同室だったのはティーンエージャーの若すぎる母親でした。アナと言う名のこの女性もワケアリの妊娠で、母親が時々見舞いには来るのですが、母はどうやら父親ともうまく行ってないし、自分もまだまだ”夢見る女優”なのでした。ここは難しいと思いました。ティーンエージャーの子を持つ母親なんて、まだ若い。こんなことが起きるとは思ってなかっただろうし、キャリアの追及も当然だと思う。まだまだ子育てだけで終わる人生なんかじゃ納得できないだろうし。しかしながら、不運なハプニングで(荒れてた本人にも原因の一端はあるのかもしれないが、そこはまだ子供だし)予期せぬ妊娠をしてしまったアナは、本当に心身ともに彷徨っている。母親に近い年齢のペネロペは、自分のキャリアが安定していることもあり、アナとすっかり仲良くなります。

 そしてこの二人は、同じ日に産気づき同じ日に出産したのです。再会を誓って退院した二人。しかし、ペネロペは恋人に「いかにも似ていない」と言われてしまい、あらぬ疑いをかけられます。そう、結論から言うと、入れ替わっていたのですね。そして不幸なことに、アナが連れて帰った赤ちゃん(要するにペネロペの子)は、突然死していたのです。

 最初に入れ替わりの事実を知ってしまうのはペネロペ。でも、彼女もとても悩んだであろうことはわかるはずなのに、遅くに知ったアナは彼女を責め、子供を抱いてさっさと出て行ってしまいます。ここは、若くない私は「そんな言い方しなくても。”あなたも悩んだでしょう”って察するべき」と思ってしまいましたが、これこそ若さなのでしょうね。

 そうこうしているうちに、無事に発掘が始まることになり、妻と正式に別れて彼女の元にやって来た恋人と共に、発掘に立ち会うペネロペはじめ親族一同。この頃はアナとも和解し、アナもペネロペを気遣っています。立ち合いにはなぜかアナも一緒です。そして、例の赤ん坊はペネロペがしっかりと抱いているのでした(写真3枚目)。

 個人的には、この二つの話を並行させる必要はあったのかな、と少し疑問に思いました。スペインの人々にとって、フランコ独裁時代は特別な意味を持つでしょうから、ここを描きたかった意図はわかりますが、それに赤ちゃん入れ替わりを絡める必要が?どちらか一方の話だけでよかったような気もします。でも、映画は終始ドキドキ、見応えがありましたし、アナ役の新人女優さんはとてもかわいかった。ミレナ・スミットさん、覚えておきます。

 

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SISU シス 不死身の男(Sisu)

2023年11月19日 22時21分22秒 | 日記

Sisu (2023) – Gateway Film Center

REVIEW: “Sisu” (2023) | Keith & the Movies

Sisu auf DVD & Blu-ray online kaufen | Moviepilot.de

 第2次世界大戦末期のフィンランドを舞台に、不死身の老兵とナチス戦車隊の死闘を描いた痛快バイオレンスアクション。

1944年、ソ連に侵攻されナチスドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。老兵アアタミ・コルピは掘り当てた金塊を隠し持ち、愛犬ウッコとともに凍てつく荒野を旅していた。やがて彼はブルーノ・ヘルドルフ中尉率いるナチスの戦車隊に遭遇し金塊と命を狙われるが、実はアアタミはかつて精鋭部隊の一員として名を馳せた伝説の兵士だった。アアタミは使い古したツルハシ1本と不屈の精神を武器に、次々と敵を血祭りにあげていく。

タイトルの「SISU(シス)」とはフィンランドの言葉で、日本語への正確な翻訳は難しいが、すべての希望が失われたときに現れるという、不屈の精神のような意味合いを持つ。「レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース」のヨルマ・トンミラが主人公アアタミ、「オデッセイ」のアクセル・ヘニーがヘルドルフ中尉を演じた。監督・脚本は「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」のヤルマリ・ヘランダー。(映画.comより)

 

 

<2023年10月29日 劇場鑑賞>

 最近割と多い「年寄りだと思って油断していたら、実はものすごく強い人でした」系のお話。こういう類のおじさんたちは、攻撃されない限り普段は普通の人だし、バカにしてくる若者たちはアホと相場が決まっています。それゆえ、理不尽な暴力を非力に見える”普通人”がやっつけることで、観客はスカッとします。どれだけ時代が変わっても、根強く支持されるゆえんですね。

 しかしながら、今回はおじさんの相手はナチス党のメンバーです。まったくの素人と違って武器も半端ないし、上官はそれなりに強くて頭も切れます。それゆえ、不死身のおじさんも苦戦するわけですが、そこは映画ですから、「不死身なんじゃないのよ。死なないだけ」といわれるおじさんは、「マッドマックス」並みに捕えられ凌辱されていた女性たちを解放し、その女性たちが一丸となって仕返しをかける、という美しい見せ場も作っています。

 なお、R15+が示す通り、かなり残虐な場面もあります。馬も地雷によってバラバラになりますし。首をつられ動かなくなるまで見られていても実は死んでいなかった、など、あり得ない展開もあるわけですが(笑)、やっぱり観客としては(女性としても)おじさんを応援してしまいました。しかし、個人的には、おじさん、金鉱を掘り当てて金を持っていたわけですが、ナチスの上官が言った「この戦争は、どうせ負ける。負けた後の我々には、ろくな人生は待ってない。罪にも問われるだろうし。今のうちに金を頂いて逃げるが勝ちだ」という理屈は、わからんでもなかったです。一世を風靡していても、時代が変われば追われる身となる悲哀を感じて、むしろかわいそうに思いました。彼らは彼らで、上の命令には逆らえなかっただろうし。

 と、深読みする必要もないのでしょうが、しかし、銀行で金をぶちまけ「換金してくれ。かさばるからなるべく大きなお金でな」と言い放ったおじさんに、「そんなこと公の場でやらかしたら、次なる追っ手がまたやって来るんじゃないの」と、いらぬ心配をした私でした。

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