田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

リトル・マーメイド(The Little Mermaid)

2023年06月29日 17時48分25秒 | 日記

LITTLE MERMAID, THE | LITTLE MERMAID, THE | Ster-Kinekor

The Little Mermaid' 2023 Review: It's Not Better Down Where It's Wetter -  Bloomberg

The Little Mermaid [Disney Live-Action] - IGN

 アンデルセン童話を原作とする1989年製作の名作ディズニーアニメを、「シカゴ」の名匠ロブ・マーシャルのメガホンで実写化したミュージカル映画。

海の王国を司るトリトン王の末娘で、世界で最も美しい声を持つ人魚姫アリエル。まだ見ぬ人間界に憧れる彼女は、嵐に巻き込まれた人間のエリック王子を救うため陸に上がる。人間界への思いを抑えきれなくなったアリエルは、海の魔女アースラに提案され恐ろしい取引を交わす。その内容は、3日間だけ人間の姿になる代わりに、美しい声をアースラに差し出すというものだった。

主人公アリエル役には新人女優ハリー・ベイリーを抜てきし、エリック王子を「ベラのワンダフル・ホーム」のジョナ・ハウアー=キング、魔女アースラを「ゴーストバスターズ」のメリッサ・マッカーシー、トリトン王を「ノーカントリー」のハビエル・バルデムが演じる。アニメ映画版も手がけた巨匠アラン・メンケンと、「モアナと伝説の海」のリン=マニュエル・ミランダが音楽を担当。(映画.comより)

 

 

<2023年6月25日 劇場鑑賞>

 今回の実写化は、新人女優ハリー・ベイリーが歌唱力で選ばれたと聞いていたので、何としても本人の声が聴きたくて、字幕版にこだわりました。そのため、なかなかうまく時間が取れず、今頃になってしまいました。田舎は吹き替え版が主流で。

 結論から言います。とてもよかった。王子さまは普通の男でしたが(笑)、アリエルはとてもキュートで、歌唱力はさすがの一言。こんなかわいらしい役は、本当に若い頃しかできないから、彼女はいい功績を残せましたね。お魚のフランダーを演じたジェイコブ・トレンブレイもとてもよかった。個人的には、人魚に男もいるのか、と単純な疑問を抱いてもいたのですが、海の王トリトンを演じたハビエル・バルデムはさすがの存在感。下半身が魚なのを見て「やっぱり人魚は女性の方が似合う」とは思いましたけどね(笑)。

 王には7人の娘がいて、会合の時は集まって来るのですが、みんなすごい美女ばかり。きっと皆モデルさんだな。息子がいないところは、やっぱビジュアル重視ですね(笑)。映画は娯楽ですものね。

 お話は、皆が知っている通り、王子様に憧れた人魚姫アリエルが、声と引き換えに3日間だけ人間になれる、そしてその間に王子様にキスしてもらえれば、永遠に人間になれるというもの。でも、そこはそれ、王子様がその気でも、魔女の妨害が入るというものです。

 しかし、今回改めて”3日間”って、せわしないなと思いました。ろくに知らないのに、王子は若くて美しいアリエルをガンガン誘うし、もう夜に連れ出して二人きりになるし、そこでキスしそうになるんだけれど、こちらはアリエルが姫だとわかっているからいいものの、展開が早すぎて却って軽薄な男に見えたような気もしました。

 ディズニーですし、当然ハッピーエンドなんですが、同じハッピーエンドでも、とても今風の”ポリティカル・コレクトネス”なエンディングでした。そうか、そういう展開があったのか!と思いました。素晴らしい。監督に拍手です。おすすめです。

 

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スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース(Spider-Man: Across the Spider-Verse)

2023年06月24日 23時19分00秒 | 日記

Delhi High Court Restrains Over 100 Rogue Websites From Streaming Sony's ' Spider-Man: Across The Spider-Verse'

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』はMCUとゆるくつながりながら自由を謳歌する:映画レビュー | WIRED.jp

Spider-Man: Across the Spider-Verse movie review - | Evening Standard

 ピーター・パーカーの遺志を継いだ少年マイルス・モラレスを主人公に新たなスパイダーマンの誕生を描き、アカデミー長編アニメーション賞を受賞した2018年製作のアニメーション映画「スパイダーマン スパイダーバース」の続編。

マルチバースを自由に移動できるようになった世界。マイルスは久々に姿を現したグウェンに導かれ、あるユニバースを訪れる。そこにはスパイダーマン2099ことミゲル・オハラやピーター・B・パーカーら、さまざまなユニバースから選ばれたスパイダーマンたちが集結していた。愛する人と世界を同時に救うことができないというスパイダーマンの哀しき運命を突きつけられるマイルスだったが、それでも両方を守り抜くことを誓う。しかし運命を変えようとする彼の前に無数のスパイダーマンが立ちはだかり、スパイダーマン同士の戦いが幕を開ける。

オリジナル英語版ではシャメイク・ムーアが主人公マイルス、ヘイリー・スタインフェルドがグウェン、オスカー・アイザックがミゲルの声を担当。(映画.comより)

 

 

<2023年6月18日 劇場鑑賞>

 スパイダーマン、映画ありすぎ。私が見てきた範囲内でも3人のピーター・パーカーがいて(トビー・マグアイア、アンドリュー・ガーフィールド、トム・ホランド)、もちろんそれぞれにおばさんやおじさんがいる。しかも、他のマーベル映画にも出ているから、「こういうことをしていたのは、どの映画のどのスパイダーマンだったかな」と考えなければなかなか頭の中まとまらないのに、この映画の前作を見た時は、マルチバースが舞台なだけに、たくさんの(それらしくない)スパイダーマンが出て来て、混乱しまくりでした。しかも主人公はピーター・パーカーじゃないし。ピーターはとてもくたびれた大人になってて、そこからマイルスという男の子に、スパイダーマンが受け継がれるってことだったんだけど、その過程もあんまりわからなかった。

 ともかく、どうしてマイルスが選ばれたのかもう忘れてしまったけれど(今回明らかにされる)、前作では選ばれてしまったマイルスが、戸惑いながらもその役割を受け入れたので、今作ではマイルスがスパイダーマンとして、日夜活躍している設定で話が始まります。勉学も優秀なのに、まともに学校に行かなかったり、先生の言うことや親の言うことも落ち着いて聞くことなく飛び回っている彼をみんなが心配しています。そりゃそうです。世界を助けていれば、他はいい加減でもいいってことはありません。ヒーローになんか、なるもんじゃありませんね(笑)。

 何人かのスパイダーマンがやって来てマイルスを説得する前作と違い、今回はマイルスが能動的に行動するので、無限大(?)のスパイダーマンが出てきます。そこで登場するのが、いわゆる時空警察みたいな人たちです。スパイダーマンは「愛する人と世界を同時には救えない」という運命らしいのですが、マイルスはそれに公然と反旗を翻したため、彼らが追ってきます。そう言えば、今までの実写版でも、おじさんやメイおばさん、グウェン(エマ・ストーン)を亡くしたりしてましたね。でも、それに逆らいたくなる気持ちはわかります。

 この作品は続編ありきなので、少し中途半端に終わるのですが、それにしてもややこしいお話です。私は素人なので、ざっとしかあらすじを書いていませんが、本当はもっともっと複雑なお話です。でもそれは、元々コミックを知っているとか、それくらいのレベルでないと、映画を一回見ただけでは理解できないと思います。それぞれのバースにそれぞれのスパイダーマンがいるのはわかるとしても、ガジェットを持っているといろんなバースを行き来できたりするので、そうすると自分に遭遇することもあり得るわけですね。今公開されている「フラッシュ」ともかぶります。運命を受け入れないという面でも、かぶります。なんだかマルチバース花盛りですね。

 ところで、今回のヴィラン(と言っても、彼にも言い分があり純粋に悪人と言うわけではないが)はスポットという優秀な科学者で、諸々の事情が重なり、あらゆる次元を行き来できます。その彼が不意に実写の世界に迷い込んだとき、「ヴェノム」でおなじみの韓国食料品店の店主の女性に遭遇していました。ぬっと首だけ出した彼に全然驚かないおばさんに、スポットのほうが驚く、という設定でした。こんなサプライズが楽しかったです。

 そうそう、一言、経験のある女性として言わせてもらうと、妊娠している女性は、あんなに過激にバイクを乗り回してアクションしてはいけません。どれだけ安定期でも、子供が無事に生まれる保証はありません。万が一失ったら、一生心の傷となります。若い女性に誤ったメッセージを送ることにならないか、と真剣に危惧しました。まぁ人間じゃないのかもしれませんが。

 とにかく複雑なので、よほど詳しい人でもない限り、続編を見る時は、あらかじめ今までのネタバレを読んでから見た方がいいんじゃないかと個人的には思います。

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ザ・フラッシュ(The Flash)

2023年06月20日 16時36分39秒 | 日記

The Flash (2023) - IMDb

The Flash's First Full Trailer Shows Off Its Biggest Problem

The Flash' Review: Best DCEU Superhero Movie Can't Outrun Ezra Miller –  Rolling Stone


 地上最速を誇るヒーロー、フラッシュことバリーは母親の殺害容疑をかけられて服役中の父親の冤罪を証明したい、というバックボーンを抱えている。そんなフラッシュは、亡くなった母親を救おうと過去を変えてしまう。その影響で現在に歪みが生じ、かつてスーパーマンによって倒されたはずの敵、ゾッド将軍が大軍と共に襲来し、地球滅亡の危機が訪れる。

 DCヒーローたちが時空を超えて入り混じるタイムループ・アドベンチャー。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のアンディ・ムスキエティがメガホンをとり、地上最速ヒーローで、暗いバックボーンを持つ主人公フラッシュを「ファンタスティック・ビースト」シリーズのエズラ・ミラーが演じる。また、『ジャスティス・リーグ』にてバットマンを演じたベン・アフレック、同役を『バットマン(1989)』で演じたマイケル・キートンが出演。(movie walkerより)

 

 

<2023年6月18日 劇場鑑賞>

 おもしろかったです!過去を変えちゃダメだって、ありとあらゆる映画が示しているのに(また、手を尽くしても人の運命は変わらないって何度も描かれてるのに)、フラッシュことバリー君はやっちゃったのですね。

 気持ちはわかります。たった一つのトマト缶が足りなかっただけで、最愛の母は殺され、トマト缶を買って来た父親が第一発見者となり犯人とされてしまった。しかも、スーパーのカメラには、うつむいた父親しか写っていなかったため、アリバイも立証できなかった・・・。こんな不条理なことがあるでしょうか。今なら、たとえ後頭部しか写ってなくても解析できると思うのだけれど、違うのでしょうか。

 ともかく、正義のために戦うベン・アフレックのバットマン、スーパーマンやワンダーウーマンたちと一緒に世界を守っている(司令塔はジェレミー・アイアンズのアルフレッドだった)フラッシュですが、ある日、むやみに疾走しているときに、時空を超えれることを発見します。自分にそんな能力があったのか!驚くフラッシュ。そして、過去を改変してはいけない、辛い過去があるから今の自分たちがいるんだ、とベン・アフレックに諭されても、トマト缶を一つカゴに入れて帰って来るくらいなら大したことないのではないか、と思いつきます。その気持ち、わからなくもないです。カゴにトマト缶1個入れるだけですものね、母を失いたくない気持ちに比べれば、それくらいのこと大丈夫かなと思ってしまいますよね。

 そして、ほんの一瞬、トマト缶を入れてそのまま元の位置に帰って来る予定でした。ところが、です。その途中で何者かに弾き飛ばされ、少し前の過去に降り立ってしまいます。当然、その時代のフラッシュが存在します。母が殺されたときみたいに子供ではありません。高校生?大学生?それくらいです。フラッシュ二人。母はちゃんと生きていました。よかった!でも、やっぱり環境は変わってしまっていたのです。”現在フラッシュ”が特殊な能力を得る日だと気づいた”未来フラッシュ”は、ここでちゃんと能力を獲得しないと自分がフラッシュでなくなると悟り、自分と同じ経験をさせ、その能力を獲得させます。しかし、自分はそれを失うのです。そして、スーパーマンが倒したはずのゾッド将軍が現れ・・・。

 すべては変わってしまっていました。たった一つのトマト缶の改変でも。しかも、助けを呼ぼうと思っても、同志だったヒーローたちが存在しない!唯一存在したのは、改変してしまった過去より前に存在したバットマン(もちろんマイケル・キートン!)。ここは変わっていなかったわけです(当たり前だが)。

 話は少し複雑ですし、今はやりのマルチバース(というよりあらゆる時間軸)が描かれるので、誰が誰かとか、いろんな映像も入り乱れるのですが、ファンサービス満載の映画に仕上がっています。また、エズラ・ミラー君の個性がとても生かされている映画だと思いました。やっぱり彼でないと描けなかった世界じゃないかな。また、マイケル・キートン版から欠かさず「バットマン」を見てきた身としては、とてもうれしいグッズ(車とか)の数々に狂喜でした。好きだったなぁ。カッコいい!すごく乗りたいと当時も思っていました。できれば、マイケル・ガフのアルフレッドがチラっと映ればよかったかな。大好きでした。

 続編も来るのかな。エズラ君、真摯に反省して、好印象を与えてくれたらあり得るかな。不快な思いをされた人には申し訳ないけど、やっぱり見たいです、彼のフラッシュ。

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クリーン ある殺し屋の献身(Clean)

2023年06月19日 22時58分18秒 | 日記

映画『クリーン ある殺し屋の献身』物語エンディングまでネタバレと感想 - EIGASKI

クリーン ある殺し屋の献身_舐めてた清掃員が凄腕の殺し屋だった【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説) | 公認会計士の理屈っぽい映画レビュー

クリーン ある殺し屋の献身 – アップリンク京都

 「戦場のピアニスト」のオスカー俳優エイドリアン・ブロディが主演するアクション。

凄腕の元殺し屋で、いまは孤独なゴミ清掃員として暮らす男が、心を通わせた少女を助けるため戦いに身を投じる姿を描く。深夜の街でゴミ回収車を走らせ、廃品や廃屋の修理を趣味にしている寡黙な男。「クリーン」と呼ばれる彼は、孤独な日々の中で隣人のディアンダという少女と心を通わせていた。ある時、ディアンダが街のチンピラたちに目をつけられてしまい、クリーンはディアンダを救うためチンピラたちを打ちのめす。しかし、その中に街を牛耳る麻薬ギャングのボスの息子がいたことから、クリーンはギャングから追われる立場となってしまう。

エイドリアン・ブロディが主演のほか製作、脚本、音楽も手がけた。(映画.comより)

 

 

<2023年6月11日 録画鑑賞>

 この映画は駄作の誉れが高く、都会でしか上映されていなかったことも相まって、鑑賞せずに来たのでした。それが、どうでしょう!自動録画されてたのです。そういえば、エイドリアンだったかブロディだったかのどちらかを娘がキーワード登録していたような気もします。ともかく、これは縁だと思い、どれだけ駄作かと言う興味も手伝って、鑑賞することに。

 結論から言うと、ごくごく普通の映画でした。確かに名作ではありませんが、駄作でもなかったと思います。話は上にある通り、ジョン・ウィック並みの経歴を持つ男が、過去を隠してゴミ収集人として生きているのだけれど、失ってしまった娘代わりに面倒をみていた近所の少女が、チンピラたちに巻き込まれたとき、思わず無謀な行動を取ってしまったのです。いくらいたいけな少女を守るためとはいえ、人を殺してはいけません(最初はぶちのめしただけだったかも。もはやわからなくなってます)。チンピラにだって、家族や仲間がいるのです。ここから壮絶な殺し合いが始まります。

 ブロディは「ペン1本で3人殺した」とは言われてませんでしたが、それとよく似た逸話が語られていて、ジョン・ウィックを参考にしたのかと思いました(笑)。単に、強い男は似た逸話を持つだけかもしれませんが。

 私が若い頃は、エイドリアン・ブロディというと、細身な見かけも手伝ってか、優男の役が多く、「サマー・オブ・サム」でジョン・レグイザモに面倒をみてもらっていたり、「スプライス」では妻に圧倒されっぱなしの学者だったり、「ヴィレッジ」で少し知能に問題がある青年だったりと(「心霊ドクター」なんてのもあったね、かわいそうな役だった)とにかく”強い男”には程遠いイメージだったから、最初に「プレデター」に出演と聞いたときには、きっと”アパム”の役どころなんだろうと思っていました。主演で眼光鋭い男として出てきた時は、心底驚いたものです。細身の体があれほど強く見えるとは。役者って、すごいですね。

 それからは、時々強い男も演じてますね。もちろん、ウェス・アンダーソン監督の映画では飄々としていますし、ウディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」ではダリの役がめちゃめちゃハマってましたけども。今回、ちょっと久しぶりに”強い男”のブロディを見た気がします。

 でも、はっきり言って、人が死に過ぎ(笑)。まぁやたら人が死ぬ映画は結構あるわけですけど、やっぱりブロディは優男が似合うんじゃないかなぁ。

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怪物

2023年06月15日 15時32分23秒 | 日記

監督・是枝裕和×脚本・坂元裕二、夢のコラボレーション実現!新作映画『怪物』2023年6月公開決定 - SCREEN ONLINE(スクリーン ...

『怪物』大切なことは沈黙のシーンにある 是枝監督が見た坂元脚本の魅力 (シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース

映画『怪物』是枝裕和×坂元裕二が初タッグ、2人の子供たちが紡ぐ物語(ファッションプレス) - goo ニュース 

 「万引き家族」でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督が、映画「花束みたいな恋をした」やテレビドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」などで人気の脚本家・坂元裕二によるオリジナル脚本で描くヒューマンドラマ。音楽は、「ラストエンペラー」で日本人初のアカデミー作曲賞を受賞し、2023年3月に他界した作曲家・坂本龍一が手がけた。

大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。そんなある日、学校でケンカが起きる。それはよくある子ども同士のケンカのように見えたが、当人たちの主張は食い違い、それが次第に社会やメディアをも巻き込んだ大事へと発展していく。そしてある嵐の朝、子どもたちがこつ然と姿を消してしまう。

「怪物」とは何か、登場人物それぞれの視線を通した「怪物」探しの果てに訪れる結末を、是枝裕和×坂元裕二×坂本龍一という日本を代表するクリエイターのコラボレーションで描く。中心となる2人の少年を演じる黒川想矢と柊木陽太のほか、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子ら豪華実力派キャストがそろった。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され脚本賞を受賞。また、LGBTやクィアを扱った映画を対象に贈られるクィア・パルム賞も受賞している。(映画.comより)

 

 

<2023年6月11日 劇場鑑賞>

 この映画、評価高いですね。確かによくできていると思います。ただ、難しい。物事と言うのは、いろんな側面があり、据える視点によってとらえ方は万華鏡のように変化してしまう・・・そういうことだと思うのですが、またマイノリティに対する考え方の相違・無意識の刷り込みなど、本当にいろんな要素を奥深く組み込んであると思うのですが、如何せん、それが深すぎて難しい。私も「話をこれほど複雑にする必要があったのか」と素朴に疑問を感じたので、鑑賞後にネタバレ考察をいくつか読ませてもらったのだけれど、なるほど、本当に深い洞察力が必要だったようです。私なんか、ほとんどわかってなかったから「話が複雑すぎる」と感じてしまったようです。これ、私のレベルだと、ネタバレを読んでからもう一度鑑賞する、その後もう一度ネタバレ記事を読む、それくらいでないとすべてを理解することはできないと思いました。

 是枝監督の言わんとすることはわかります。ヒトは皆、自分の価値観に従って生きているし、そこから外れる人たちを非難してはいけないこともわかってるし、多様性を認めなければいけないこともわかっています。また、寛容であらねばならないと自分に言い聞かせ、価値観を固定化してはいけないこともわかっています。それでも、無意識に働くバイアス、刷り込まれた価値観、自分を追い込んでしまう世間の目、そういうものからヒトは逃れることはできない・・・そういうことだと思います。ヒトは皆、どれだけ気をつけていても「怪物」なんだと。

 でも、映画は「見せる」使命を負っている以上、仕方がないとは思うのですが、やっぱり表現が少し極端だったような気もします。いくら悲劇の後だと言えども、校長先生の”資料棒読み”の態度はあり得ないと思うし、安藤サクラ扮する母親に抗議されてる最中にあめ玉をなめ始める担任教師や、訪ねて来た担任にいきなり「大学どこ?」と尋ねる中村獅童も、いやもちろんそんな父親もいるんだろうけれど、前半はあまりに極端な人々にちょっと戸惑ってしまいました。

 しかし、後半でぐんと話は展開します。結局は、そんなに悪い人はいなくて、みんな独自の価値観こそあれ、いい人なんです。誠実に生きてるし、子供のことも真剣に考えています。お互いに分かり合えば、それで済んだ話かもしれません。

 最後はちょっとファンタジーな感じで終わります。嵐(台風?)の後、子供たちはどうなったのか。あの背景は何を意味するのか。そこは観客に任せているようです。そういうところも難しく感じる由縁かもしれません。しかし個人的には、同じ是枝監督なら「空気人形」の方が好きかなと思いました(笑)。

 

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