18世紀を代表する作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの姉、マリア・アンナ(通称ナンネル)の数奇な運命を描いたドラマ。3歳年下の弟が“神童”と絶賛される一方、14歳のナンネルも音楽の才能を開花させていた。ある時、ベルサイユ宮殿に招かれバイオリンを披露したナンネルは、皇太子ルイ・フェルディナンと出会い、恋に落ちる。皇太子に才能を認められ、作曲をすすめられるナンネルだったが、当時の欧州では女性が作曲家になることは許されていなかった。(映画.comより)
録り置きの映画です。といっても、そう古いものではありません。映画自体は2010年のものです。
世界中で知らぬものはない天才音楽家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトには実は才能のある姉がいた。しかし、時代が「女が作曲する」ことを許さなかった・・・そんなお話です。
ヴォルフガングの父、レオポルドも作曲家ではありました。少し教えただけでその才能を開花させた姉をかわいがりはしたものの、それは小さい頃だけで、ヴォルフガングが目の醒める神童性を発揮しはじめると、彼を溺愛するようになり、ナンネルにはヴァイオリンにさえ触らせないようになります。
裕福ではなかった一家。レオポルドも、貴族や王族などのパトロンを得ようと、才能のある子供たちを売り込むのに必死だったのでしょう。すべてにおいて、女に難しいことはできないとされていた時代、レオポルドがとった行動も当時としては当然のことだったのでしょう。
そしてこの映画では、フィクションとはいえ、時の王ルイ15世の私生児(女児)との交流や皇太子(つまりルイ15世の息子ね)との淡い恋が描かれます。女に許される行動は少なかった時代ゆえ、男装して皇太子に会ったり、(兄弟姉妹であるにもかかわらず)会えない皇太子と女児の間を行き来したり、色んな役目を勤めます。
そして、その才能を皇太子にも絶賛されながらも花開くことなく一生を終えるのです。
弟と違い長生きはしたようですが、父の晩年の看病などを一人で背負い、結婚も33歳で5人の子持ちの50代の男性と、など自分の幸せは追求しなかったようです。
ちなみにマリー・アントワネットで有名なルイ16世はこの皇太子の息子となるようで、件の皇太子は父より先に亡くなったので在位することはなかったようです。
同じ女として、いろいろ考えてしまいました。自分は才能ないので、特に悔しい思いはないわけですが、ナンネルの才能が花開いていればどうなっただろうか。そして、それは幸せだっただろうか、などとね。
今の女性たち(もちろん男性もですが)のように、選択肢が多すぎる(あるいは多いように見える)のも果たして幸せや充実につながるのかどうか。それは本人の心の持ちようもあるでしょうが、地位の高い皇太子でもすこぶる生きづらそうなその姿に、複雑な気持ちを禁じ得なかったわけです。
でも、結論から言うと楽しめました。モーツァルト家は家族愛にあふれる仲良し家族でしたし、皇太子もいい人でした。彼は、見たことあるような気がしたのですが、全然知らない役者名でした(笑)。