いまごろすみません。なにぶん、上映館が都会だけだったもので、見逃してました。
しかし、聞いてた批評通りでしたね。よくできてました。物語としては、よくある感じ。世間知らずなteenagerが、背伸びしたいばっかりに、怪しげな年上男のいいなりになり、人生を見失ってしまう話。もちろん、もともと聡明な女性ですから、がんばって持ち直すんですけどね、でも、失ったものも大きいけれど、得た教訓も大きい、そんな話です。
しかし、アジアの人間が憧れてやまないヨーロッパの国が、ほんの60年代はまだあんなに女性の地位が低くて、社会進出もままならなかった、というのがちょっとショックでした。日本はまだもっと遅れていると思うから、日本の60年代なんて推して知るべしですね。
なんで、「紳士と淑女の国」「クイーン・イングリッシュを話す国」のイギリスがあんなにフランスに憧れてるのかな。自分の国だって、貴重な伝統や文化もあるし、逆にフランスにだって不自由な部分はあるに決まってるのに。
ともかく、上昇志向のマセた女生徒は、口のうまい年上男にコロッと騙されてしまいます。しかし、彼女の両親、充分な年月を経験してきてるはずの両親も、一緒になって騙されるのです。
かのビートルズが出てくるほんの少し前、60年代初頭の、あわよくば上を狙おう、という「中の下」クラスの大人たちは、なんとか上に食い込むためだけに「オックスフォードに入れ」といい、羽振りのいい男が現れると「大学は行かなくていいから、さっさと結婚しろ」と言います。
悲しいですね。この時代は離婚とか、不倫とかは一般的ではなかったのでしょうか。だって、いい歳をした男がこんな若いteenagerに手を出したんですもの、少し歳をとれば同じことをするに決まっています。そんなこと、若い娘は仕方がないとして、両親はどうして推測できなかったのでしょう。一時のことに浮かれて学校をやめたり、受験をやめたりしたら、男に捨てられたときはどうやって生きて行くの?
それとも、その時代は、一度結婚すると、妻としての強固な権利が得られたのでしょうか?
女は教育をつけても、公務員か教師になるしかない・・・映画の中でもそう言ってましたけど、それだけ女に活躍の場がなかったってことは、浮気されても黙っているしかなかった、でも、我慢さえすれば、生活は保障されてた、そういうことなのでしょうか?
働けないのなら、結婚によって生活を保障されるしか、生きてゆくすべはないですものね。
(相手の男の妻も、すべてをわかっていても、何度も浮気されても、妻でいたみたいですから、結局はそうやっていきてゆくしかなかったのでしょうね。)
それにしても、年上男のピーター・サースガードはうまかったですねぇ。怪しげな商売をしてそうな雰囲気はムンムンだけれど、言動は誠実で、彼女に対しても、本当に紳士だった。あれなら信用しちゃうかな、って思うほど。多分、いちいちの恋愛に対して真摯なんでしょうね、それがいけないことであっても。
役者陣も、みんなうまかったですねぇ、こんなありがちな物語なのに、見応えのある作品に仕上がってるのは、みんながうまいから。エマ・トンプソン、太りました(笑)?名優だから、役作りかな。
そうそう、それから、私は女子校ってものに通ったことがないから、よく知らないけれど、みんなすごいあけっぴろげなんですねぇ。年上の人とつきあうのも、フランスへ行くのも自由だと思うけれど、親しい友達だけでなく、学校中に広まってるのはwhy?すごいのね。
ともかく、いつの時代も、女性の地位に関しては考えさせられます。