写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

紙相撲

2007年01月25日 | 生活・ニュース
 この4月1日で4歳になる孫息子が3泊して帰っていった。この春から幼稚園に行くと言う。

 3月31日ではなく、4月1日生まれが同学年の内で最も遅い生まれの子になるということを初めて知った。

 わずか4歳で幼稚園に行けば、5歳に近い子達とは体力・知力とも随分差があるに違いないが、これもいいように解釈すればいいと思う。

 直ぐに頭に浮かんだことは、大学入試で浪人しても、年齢的に余り損をしたことにはならないということであった。

 まあそんなことは、爺の立場としては関係ない。何があろうと強くたくましく生きていってほしいと願うばかりだ。

 孫と遊んでやるのも大変だ。夕食後の団欒で、用意しておいた折り紙とその本を取り出した。

 「これ折って、これ折って」と次から次へと注文が出る。あるページをめくった時「トントンずもう」というのが出てきた。

 相撲取りの形をしたものを、ちゃんと立つように折ることが出来る。赤と青色の折り紙で2つ作った。

 菓子箱を逆さまにし、白い箱の上に円く土俵を書いた。「ぼく、こっち」と言って、赤いほうを孫が手にする。

 土俵の中央で、両者向かい合わせ、人差し指で箱を軽く叩くと、相撲取りが小さく跳ねながら移動する。

 土俵を割って箱の上から落ちていく。箱の下に敷いた折り紙のせいで、少し傾いた方に移動していく。

 初めのころは、連戦連勝させていたが、これではいけない。人生、負けることも教えておく必要がある。

 箱の傾きを調整すると、爺が勝つことも出来る。お互いが勝ったり負けたりと良い勝負が続く。

 最初の内は負けたとき渋い表情だった孫も、負けても楽しそうな顔に変わっていった。これでいい。こうでなければとひとりにんまりする。

 勝ち組・負け組みとやらの活字が躍るこのごろ。人生で勝ち続けることなどありえない。一見、負けたやに見えたとき、そこからどう生きていくかが大切だ。

 未だかつて勝ち組を経験したことのない爺は、早くも3歳の孫に、負け組みの身の処し方を教授しようとしている。
   (写真は、孫と遊んだ「トントンずもう」)