写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

草木染

2007年01月06日 | 旅・スポット・行事
 雪遊びに行った帰り道、西の軽井沢にあるイタリアン・レストランに入った。大きな嵌め込み窓は結露のため、外の雪景色がにじんで見える。

 2組の先客がいた。パスタランチを頼む。食後のデザートの生チーズケーキもアメリカン・コーヒーによくあって、おいしく頂いた。

 妻がレジで支払いをしている間、窓辺に陳列してある陶器や布製の小物を眺めていたとき、興味深い品物を見つけた。 

 薄茶、赤、薄緑、茜色など6種類の草木染をした手袋が並べてある。手にとってみると、「草木染・てぶくろ、広島ひかり園制作」と書いてある。

 よく見ると市販の軍手の裾を白いゴムでフレアー加工し、多彩な草木染をしたものである。1組数十円の軍手に大きな付加価値をつけて、つい買ってみたくなるような商品に仕立て上げている。

 値段を訊いてみると1組300円だという。私はセンダングサで染めたもの、妻はあかねで染めたものを買って帰った。

 家に帰り、ネットで「広島ひかり園」を調べてみた。廿日市市にある身体障害者が入所する授産施設だ。園庭の花を染材に使ったおしゃれな軍手「草木染てぶくろ」の製造に取り組んでいる。

 軍手は同園で二十年以上前から自主製品として製造している。今ある作業に一工夫加えた新しい試みができないかと模索していた職員が、園内の植物を利用して「軍手を染めることができるのでは」と思い立った。

 一日に十組ぐらいしか作れない上、「染めなので、同じ色のものを二度作ることはほぼできない」という限定品。いつもは真っ白な軍手と向き合い作業している利用者も「きれいな色の手袋ができるから楽しい」と評判が良いという。

 ちょっとした発想で、作業用の軍手がおしゃれな手袋に変身している。私はこれを買い物などの外出用に早速使おうと思っている。

 この授産施設ではまだ、色々な興味深いものを作っているようだ。入所者が丹精込めてこんないいものを作っている様子を、1度是非訪ねて応援してみたくなった。
 (写真は、あかね・センダングサ染めの「軍手」)