写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

年末夜回り

2007年12月29日 | 生活・ニュース
 夜11時、パソコンに向かっているとき、外からカチッカチッという高く乾いた音がした。毎年この時期に聞こえてくる音だと、すぐに分かった。

 年末の3日間、地区の消防団が拍子木を打ちながら夜回りをしてくれる。3年前、このブログを始めた年の暮れにもこの音がした。

 その時デジカメを持って、あわてて外に出た。2人連れの夜回りを呼び止め、写真を撮らせてもらいブログに載せた。

 年が明け、ある会合で消防団長さんと話す機会があった。配下の団員の夜回りを、ブログに載せたことを話した。

 「あっ、あれはロードスターさんだったのですか。団員が夜回りしている時、寒いのにパジャマ姿で飛び出してきて、写真を撮らせてくれと言う変なおじさんに出会ったと言っていたのは」と笑われた。

 この後ブログを団員のみんなで読んでくれ、写真を撮った趣旨を理解してくれたことを聞いた。
 
 団長さんと話をする機会がなかったら、私は真夜中に徘徊する変なおじさんで済まされていたようであった。

 そんなことがあったことを思い出しながら拍子木の音に反応して、今年も又私はデジカメを持って飛び出した。

 暗い夜道、撮影モードを「夜景」にセットしながら夜回りの後を小走りに追う。100mくらい追ってようやく追いついて呼び止めた。

 「写真を撮らせてください。ブログに出してもいいですか?」と言うと、「僕は3年前に1度撮ってもらいました」と年配の団員が笑顔で答える。

 「あっ、あの時の方ですか。いつもご苦労様です。又ブログを見てください」と、再会の挨拶をして別れた。

 寒い真夜中の夜回りに対して、昔は町内で寄付を集めていたが今はそんなことはしない。どんな形で労をねぎらっているのだろう。

 変なおじさんは、そんなことを心配しながら家に帰ったが、今年もこんな地域の人に支えられて年が暮れようとしている。
 (写真は、年末夜回りの「消防団員」)

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ごくろうさま (豚猫)
2007-12-29 21:50:08
心強いですね。
年配の方は2年目の余裕でしょうか、ポーズがきまってますね。若い方は緊張気味。
失礼ながらも足幅見てしまいました。
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豚猫さん (ロードスター)
2007-12-30 10:27:48
観察が鋭いですね。さすがエッセイサロンの会員です!
1年間の活動、お疲れ様でした。
年が明けると、同人誌が出来上がっています。お楽しみに。いい年をお迎えください。
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ロードスターさん (オレゴンローズ)
2007-12-30 13:10:17
Dejavu!デジャブ!
懐かしいです!実は私が小学校高学年のころ、冬になると妹をはんてんで包み背中におぶって町内会の子供達とともに列を作り”火の用心”と声高らかに町内をねり歩いたものです。先頭に立った町内会の会長がうつ拍子木とともに雪のちらつく夜寒さを吹き飛ばそうと声を張り上げていたものです。今でも”火の用心”は継続しているのですね、懐かしい日本の雰囲気の漂う写真とともにフト昔の事を思い出しました。しかし、ハッピは実に日本的で素敵ですネ。
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オレゴンローズさん (ロードスター)
2007-12-30 16:20:34
子供の頃を思い出してくれたのですね
私も拍子木の音を聞くと、自動的に飛び出して行きます。懐かしい日本の音ですね。
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ロードスターさん (オレゴンローズ)
2008-01-01 01:46:03
実に繊細なきめ細かい暖かい日本の情緒がそちらのブログを通し伝わってきます、有難う!
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