写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

キュウリのつる

2008年07月09日 | 季節・自然・植物
 まもなく夏休みがやってくる。子供よりも一足早く夏休みに入った積もりになって自由研究をやってみた。

 菜園に出てみた。キュウリやゴーヤが立ててある支柱に沿って今を盛りに葉を茂らせている。支柱と茎をひもで結び付けているわけではないのに、倒れることもなく垂直に伸びている。

 よく見ると、茎から出た細いつるが巧みに支柱に巻きついている。長いものは20センチあまりも水平に伸びた挙句ようやく支柱にたどり着いている。

 どこまで伸びれば支柱にたどり着けるか分からないまま伸びたのだろうが、つるの不思議な形態に驚いた。

 巻きついたつるの中間あたりは、くるくると10回転くらい回っていて螺旋状になっている。これを巻きひげという。巻きひげは、何かに触れるとその先端で巻きつくと同時に、螺旋の力で植物体を引き寄せる。

 形の通りばねのように働いて、緩やかに本体を固定する役割を果たす。それだけではない。この螺旋をよく見ると、途中で向きが反転している。

 つるが支柱にたどり着いた後に螺旋状になり始めるが、両端が固定されてしまっているのでこのまま巻き続けるとつるはよじれてしまう。そこで、途中から逆巻きになるという。

 こんな知恵は一体キュウリのどの部分が考え出したのだろう。まるで頭脳を持っているようである。

 周りにはまだ支柱にたどり着いていないつるが沢山あった。それぞれが思い思いのほうに向かって伸びてはいるが、中には当てのないほうに向かっているものもある。

 それでは人並みの役目を果たすことは出来ないだろうが、必ずカバーしてくれるつるがある。決して本体が倒れるようなことはなさそうだ。

 つるはつるでも、どこかの先生方のようにあくどく手づるを頼っての教員採用とは違って、キュウリのつるには自力で生きようとするひた向きさと健気さを感じる。見習いたい。
  (写真は、自分で考え出したキュウリの「賢いつる」)

6 コメント

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つる学 (tatu_no_ko)
2008-07-09 23:21:10
先端に目があるかのように絡まるつる、お話の通り高等で不思議な植物に思えます。
教員採用試験につるの論文を出題したいです。
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tatu_no_koさん (ロードスター)
2008-07-10 09:21:40
みんなそれぞれが自分の力を頼りに考えて行動しています。安易に・不法に他人を頼ってはいけませんね。
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いただき (豚猫)
2008-07-10 09:49:30
この自由研究いいですね。
きっと、もう30年?若かったら夏休みの作品のなかで賞ものですよ。
孫に教えてやろーっと。
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豚猫さん (ロードスター)
2008-07-10 16:17:04
まもなく夏休み。お孫さんがやってこられるようですね。いい思い出を沢山作ってあげてください。菜園で、バラ園で……。
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Unknown (kanopin)
2008-07-11 22:11:32
僕も庭の一角に植えていますが、ツルの習性を初めて知りました。いつもボーっと見て・・・
今年も何だか分らないけど、上手く上に登れないドジがいるな、と麻紐で縛ってやります。
これ、親切のつもりです。
時には、全く地を這う、僕みたいなのも居ます。
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kanopinさん (ロードスター)
2008-07-12 10:12:04
暇していると身近なところにいろいろ新しい発見があります。わたしもこの年になるまでこんなことは知りませんでした。それぞれが考えて生きていますね。
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