写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

脱ぎ忘れ

2004年12月28日 | 生活・ニュース
 朝、着替えをしながらトーストを食べ、慌しく出勤した。会社のロッカーで、いつものように作業着に着替えた。

 車から自転車に乗り換え、500m先の構内事務所に向かった。風のある少し冷たい朝だった。前かがみになってペダルをこいでいた。

 目を落とすと、作業ズボンの裾から、何か白っぽいものが見え隠れする。よく見るとパジャマのようだ。直ぐに自転車を降りて、見えないように折り曲げた。
 
 ロッカーで着替えたときには気がつかなかった。事務所に着くや、会議室に隠れ、そそくさと生暖かいパジャマを脱いで丸めた。
 
 家庭のことを、厳に会社に持ち込まない主義であったが、一番家庭的なものを持ち込んでしまった。こっぱずかしい、若き日の朝だった。

 歳をとると、脱ぎ忘れではなく、はき忘れしないように注意しよう。ズボンもはかずに街に出ては、見るほうが恥ずかしくなるだろうから。