写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

小銭一掃

2018年11月01日 | 生活・ニュース

 朝食もとらないまま免許証の更新に出かけた。無事新しい免許証をもらって警察署を出て、近くのコンビニに向かった。家を出るとき、奥さんに「ブランチには、コンビニの例のサンドウィッチを買ってくるから」と約束していた。

 最近売り出された、奥さんが好みのサンドウィッチである。店内に入ると、お目当ての品が1個しか並んでいないので、私用には違う種類のサンドウィッチを買ってレジに向かった。ポニーテールをした若くて愛想のいい女性店員が笑顔で対応してくれる。

 レジの左横には、買い求めた商品の合計額が客に見えるようにディスプレイで表示される。「合計643円」と出た。まずは千円札を出して「ちょっと待ってください、小銭があるかもしれませんので」と断って、小銭入れの中を見るとたくさん入っている。まずは1円玉がちょうど3個あったのでそれを出した。

 店員から「これでよろしいですか」と聞かれたとき10円玉を4個出した。またもや「これでよろしいですか」と聞かれた。再度小銭入れをまさぐると100円玉が1個あったので、それを出し「以上でお願いします」というと、即座にお釣りとして500円玉を手渡してくれる。

 「計算が早いですね」と愛想をいうと「レジが教えてくれますから」と笑顔で応えてくれる。そんなことは分かっているが、このように小刻みにお客が出す小銭に対し、いやな顔一つ見せずに、迅速に的確に、その上笑顔で対応してくれるコンビニの店員さんに感心しながら店を出た。

 年を取ると皆さんから優しく接してもらえるという大きなメリットがあるが、おっと、それに甘えてばかりではいけない。これからは、店員さんにこんな迷惑をかけないように、小銭は銭形平次よろしく片手に握りしめて、いかなる額でも即座に投げ出すことができるように準備しておきたいと心に決めた。