写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

母の叱咤

2004年12月06日 | 生活・ニュース
 スイミング仲間の忘年会だと言って、久しぶりに着飾って美しくなった妻を、レストランまで送っていった。

 帰り道、国道沿いのラーメン屋に入った。私の夕食だ。カウンターに座ると眼の前に、調味料・割り箸が置いてある。

 割り箸が入っている竹筒の表面に、マジックで何か書いてある。「世の中万能な人はいない。だからこそ耳と体を使って学ぶのだ」と。

 30代半ばのマスターの母が創作で書いたと言う。他の竹筒にも書いてある。「『時々読め』と母が言う」といってマスターは笑った。

 まだ若いマスターを、母は割り箸の竹筒から応援していた。帰り際、もうひとつの句が読めた。
   「苦労人とは 真剣に努力した人のことをいう」と。

 レジの前で、果たして私は「苦労人」だろうかと、釣銭をもらう間考えてみた。
   (写真は、自作の割り箸箱)