写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

長距離電話

2006年06月27日 | 生活・ニュース
 病弱な母をひとり残して、横浜に住んでいた。会社からの帰り、東京駅の公衆電話から毎日、決まった時間に電話を入れた。

 「もしもし、元気? もう、夕飯食べた?」「じゃ、またね」と極めて短い通話で終わるものであった。

 こんなことが半年も続いたころ、母は入院し、電話をかけることはできなくなった。毎日どんな気持ちでベッドに寝ていたのだろう。

 それから数ヵ月後、電話も届かない遠くに逝ってしまった。老いた母をひとり置いていたことを、今でも申し訳なく思っている。

 色づき始めたアジサイを見る季節、私はいつもこのことを思い出す。
   (2006.06.27毎日新聞「はがき随筆」掲載)

6 コメント

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新聞掲載おめでとうございます (ba-ba)
2006-06-27 23:42:10
すごい確率ですね。

何時も我が家の新聞を見るのですが、乗ってなくて残念です。

こんな文章が書ける人、羨ましいです。
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ba-baさん (ロードスター)
2006-06-28 10:03:37
ba-baさんもいいことを書いておられますよ。是非投稿に挑戦してみてください。楽しみがひとつ増えますから。掲載されましたら、エッセイサロンに載させてください
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おめでとうございます。 (小鳥沢)
2006-06-28 23:44:55
新聞掲載、おめでとうございます。

親を思う気持ちに、じ~んと胸が熱くなりました。

情景が見えるようです。

また、新聞に掲載されましたら、ご紹介してくださいませんか。お願いします。
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小鳥沢さん (ロードスター)
2006-06-29 11:08:07
いつも読んでいただきありがとうございます。

そちらには「はがき随筆」の投稿欄はあるのでしょうか? 
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今晩は (小鳥沢)
2006-06-29 20:19:14
こちらには、「はがき随筆」と同じような「みんなの広場」の400字の投稿欄があります。

昨日、投稿しましたが掲載は無理と思います。

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小鳥沢さん (ロードスター)
2006-06-30 08:31:00
何度も挑戦してみましょう。

そのうちなんとかなるでしょう。きっと。

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