写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

小春日和

2018年11月06日 | 季節・自然・植物

 暖かい日の続いた10月の末、庭仕事をしていた時、背中がぞくぞくっとしたようなことがあった。案の定というか、体力が低下したというか、久しぶりに風邪を引いてしまった。「バカ」ではないことが分かったが、熱はないのに咳が出て苦しい。肋骨のつなぎ目が外れるのではないかと思うほどになった。

 病院で処方された3種類の薬を飲み始めて2日目に、37.2~3度と、平熱の低い私にとってはやや高熱が出た。4日目が経った頃やっと、熱もなくなり、体の調子も戻ってきた。やれやれ、ちょっとした風邪であったが、寝ていることも苦しい毎日であった。

 夕方、久しぶりに表に出たとき、顔なじみの女性が散歩しているのにばったり出会った。我が家の玄関アプローチに植えている若い花水木を指さして「今年は紅葉がいちだんときれいですね」という。私も久しぶりに眺めてみたが、黒みがかった赤色が、今年は濃いい感じがする。

 ここ数日間、風邪で寝たり起きたりしている間に、季節は着実に巡っている。そういえば、明日7日はもう立冬である。ここ1週間は連日小春日和であった。向こう1週間も、こんな暖かい日が続くという予報が出されている。

 そんな中でも、鳥取県の大山の紅葉は、例年になく美しいと伝えている。「出かけてみるか」。病んでいる間の時間を取り戻すかのように、「蟄虫坏戸」(ちっちゅうはいど)していた私のお出かけの虫が、またぞろ這い出してきたようである。

*「蟄虫坏戸」;72候の一つで、活動していた虫たちが、冬眠するために掘った穴に入り、その穴を塞ぐという意味