写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

同じ本

2005年06月29日 | 生活・ニュース
 私の本棚には、青春時代からの古びた本が大事そうに並べてある。学生時代には高い本を買う金はなく、文庫本が多い。

 セロファンのような半透明の薄いカバーが、陽に焼けてセピア色に変色している。

 時々、昔読んだ本をもう1度読んでみたくなることがある。私の胸の奥に、強く印象付けられている本である。

 今日も、その本棚の前に立ってみた。図書館のように作家別に並べてある。単行本の1冊を取り出した。

 そのまま隣に目を移すと、手に持っている本と同じものがもう一冊あった。その目で、違う棚の文庫本も見てみた。あった。またもや別の題名の同じ本が2冊ある。

 別々の本屋の、数ある本の中から、時を変えて同じ本を2度も買っている。余程気に入った本だったのだろうか。

 それにしても、こんなことをしていたとは、若い頃から既にボケていたのかもしれない。それにしては余り進行していないように思われる。

 しかしものは考えよう。「初めからボケている人は、年をとってからはボケない」という。今日は、ほんに良いことに気がついた。

 まてよ、結婚は確か1度しかしていないぞ。2度したかも知れない?奥さんはずっと今の奥さんだが・・・誰かに訊いてみよう。
  (写真は、山口瞳著の「2冊の江分利満氏」)