写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

マイブック

2018年12月10日 | 生活・ニュース

 年末の本屋に出かけてみた。手帳売り場には、よくぞこれほどと思うくらい色々なサイズの趣向を凝らした手帳が並べられており、どれにしようかと迷いながら選んでいるお客さんも多い。私はというと、すでに先月末、毎年購入している日本能率協会が出版するものを買っている。

 いつ本屋に行ってみても、その都度新刊書が所せましに置いてある。「作家として食っていくのは難しい」とはよく聞く言葉であるが、これほどまでに次から次に新人作家が出版するのでは、本を書いて暮らすのは不可能に近いようである。

 そんなことを思いながら書棚を眺めていた時、面白い本を見つけた。タイトルは「マイブック」と書いてあるが、巻いてある帯には「自分の本」と大きく書いてある。興味を持って掲げてある本の説明カードを読んでみた。

 「1日1ページ、365日分の日付だけを入れました。手帳として使うか、日記をつけてみるか、使い方は無限大。1年後には、あなたの2019年がぎっしり詰まったマイブックが完成します。2019年がいい年でありますように。370円」と書いてある。

 その本を手に取ってパラパラとめくってみた。各ページには小さく年月日が印刷されているだけで、あとは何も書いてない。何ていうことはない真っ白い365ページの紙の束の本であった。

 カードに書いてある通り、2019年が終われば自動的に2019年の自分の本が1冊出来上がるという仕組みである。手帳にメモするよりは多くの文字を書き込むことができる。10年経てば10冊の「マイブック」ができる。これはいい。「愛されてロングセラー 230万部突破!!」と書いてあることも頷ける。

 こうしてブログを書くこともある意味ではこの本と同じで「マイブック」を作っているといえる。形式は違うが、何らかの方法で自分の人生の足跡を残す目的で「マイブック」や「ブログ」や「自分史」を作ることに挑戦してみるのもよろしいかもしれません。虎は死して皮を留め、人は死してマイブックを残す。「それがどうした?」なんて言わずに……。