写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

片付け

2007年10月14日 | 生活・ニュース
 退職して1年が経ったとき、初孫が誕生することを知らされた。前々から、孫が生まれたときには、木馬を作ってやろうと思っていた。

 この知らせを受けてすぐホームセンターに行き、木材と丸ノコ・ドリル・カンナ・糸ノコ・ジグソーなどの電動工具一式を買い揃えた。

 それから2年間、趣味で色々なカントリー木工品を200個くらい作ってきた。その内百数十個は、インターネットのオークションに出して、見知らぬ人に買ってもらうという、わくわくときめき感も味わった。

 そんなことをしている時に、パソコンでブログというものを知り、興味がこちらに向いてきた。以来、木工の方は疎かになり、裏庭にある6畳の工房は当時のままの散らかし放題にしていた。

 ことあるごとに奥さんから「いい加減に部屋を片付けてください」と何度も何度も責められ続け、「やるやる」と言いながら2年は経ったかもしれない。

 1昨日のことである。秋晴れの日、奥さんが手伝ってくれるというので工房の片づけをした。大小長短の板切れが山ほど出てくる。部屋全体くまなくノコ屑が積もっている。工具類もあちこちに散らかり放題だ。

 午前中で片付け終るつもりが、半分くらいしか進まない。道路際の庭に広げたシートに、全てのものを掻き出して並べるも、要らない物が沢山ある。

 近所の人が興味深そうにそれらを見ながら通り過ぎていく。「要るものがあれば上げますよ」と言っても、私が要らないようなものを持って帰る人は誰もいない。

 午後3時、やっと片づけが終った。木工の道具をすべて押入れに収納したら、6畳の間が随分広くなり、大の字になって寝転んでみた。

 この離れは、私が結婚することが決まったときに、親父が作ってくれたものである。変色した天井を眺めていると、17年前に亡くなった親父のことをふと思い出した。「親父、元気にやってる?」しばらく会っていない親父に言ってみた。
 (写真は、シートに並べた「不要木工用品」)