まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 1407  まつたけ山再生作業で陥りやすい錯覚・誤解に気をつけたい!

2019年04月22日 |  マツタケの林地栽培 

4月26日(金)は、第682回活動日です.川﨑 泰弘さんがメインシェフを務めます.京都市左京区岩倉 村松138-20 香川山(自称:下記アクセス)にお集まり下さい.ブログ報告は、内田 正明さんです.当日夜、是非ご覧ください.

香川山北西斜面の、今の様子.まだ、なぜか殺風景

手入れ前は、ヒノキ混じりの照葉樹林だった.

コバノミツバツツジは、虫を待っている.

アカマツの発芽も見られる.地掻不十分と言われそう!

 香川山西北斜面(旧玉城氏の山)は、香川山南東斜面の開発以前の林を捨ておいた姿を呈していると思っている(開発の始まりは1975年と推測).元は、優秀な京まつたけを発生するアカマツ林であった(玉城氏談)が、放置されたためアカマツ林がヒノキ混じりの照葉樹林に遷移したのである.加えて、京都では1980年頃には、マツノザイセンチュウ被害も目立ち始めるが、このアカマツ林の衰退にセンチュウ病が拍車を掛けたものと思われる.
 もっとも南東斜面は住宅用地の後背地で重機を用いた地掻が行われている.その後に生育したアカマツ林、ただし放置林、となっていた(2005年5月現在).

 我々は、2005年6月に南東斜面の手入れを始めた.補整手入れを続けながら、ひたすら京まつたけの発生を待った.しかし、その姿は全く見られない.仲間の一人に「(京まつたけが)出たら死んでもいい」と言わしめるほどその発生はなかったのである.その言葉の時効の何倍もの時間が過ぎた2016年秋に待望のマツタケが発生した.

 ここで、なぜ11年後にしかマツタケが発生しなかったのかその理由を考えてみたい.まつたけ山再生を考えている皆さんにはお分かりと思う.答えに困るなら、マツタケ山づくりをもう一度勉強し直さないと、今の作業はマツタケにとっては全く無意味である.
 考えることは、高等植物の植生と地表の堆積物と土壌の質である.アカマツ優占林で不要な植物を刈り取り、地表の堆積物を掻き出すと見事なアカマツ林になる.僕は、まつたけ山復活事業を薦めている関係で、あちこちで作業後のアカマツ林を見る.そんな林を見るといつも、惚れ惚れする林になり、この秋にもマツタケが発生すると思えて来る.それは全くの錯覚である、僕には錯覚だが、多くの人は素晴らしい林と誤解する.これを誤解と理解できなければ、重大なミスを起こしている.あながち日本だけではなく、中国でも朝鮮半島でも同様だ.いってみれば、高等植物の整備や地表堆積物の調節は簡単にできるが、土壌の改善には時間を要するということだ.

 先ほどの誤解は、土壌の富栄養化の改善ができてないことを忘れているためだ.アカマツがそれなりに残っている照葉樹優占林では、通常の地掻は、土壌の富栄養化の源を取り去っただけである.通り一遍の地掻を実施したアカマツ林では、土壌が富栄養化しているため、マツタケは生活しない.どの程度の土壌条件が満足されたら マツタケは生活できるのか、まだその条件は定かではないが、一通りの地表堆積物除去では不十分であることは分かっている. 
 最近の日本の里山では、良いアカマツ優占林はほとんどない.すると、アカマツを残し皆伐、強度の地掻で、重機で地掻と伐根が望ましい、富栄養土壌を除去することを考える.その後、マツタケ胞子が飛んでくる.落ち葉をかいくぐって雨水等によりB層に至る.そこで発芽する.富栄養化土壌では周りの細菌・カビ・小動物との競争にあっさりと負ける.運良くアカマツ細根にであっても、アカマツに感染を拒否され、マツタケは絶命だ.従って、できるだけ強度に地剥ぎから地掻を行うことが肝要である.

 香川山南東斜面の話しに戻ると、手入れ後11年の間、マツタケの発生がなかった理由だが、ここは重機で母岩が見え隠れするほどに地表を掻いている.ということは富栄養化土壌は、限りなく削られている.では、もっと早くマツタケの発生が見られても良いはずだが、11年も掛かっている.かつては京まつたけの里であったが、最近は、ほとんど取れなくなってきていることから、秋にマツタケの胞子密度が我々の想像以上に低下していることを意味している.このため、11年目に発生を見たのである.近辺にマツタケの採れてる山があるかないかが重要な鍵となる.

 ここで期待されることは、誰しも思う事だが、マツタケの播種法がないかということである.いままで、いろんなことが試みられている.胞子撒き、これもいろんな方法が試されたが、科学的に認められたものは岩泉まつたけ研究所の1例のみだ.成功例はないに等しい.他に、シロの移植、石突きの埋め込み、感染苗の移植などがあげられる.実生感染苗を用いた研究者の実験では、養分の持込除去、土壌微生物の攻撃を防ぐ手立てを施して、最長で5年の寿命である.幼苗アカマツはマツタケの寄生攻撃に耐えられない.なぜか二次感染も起こさない.マツタケ播種技術確立には、微生物の知識、植物の知識、土壌の知識を駆使する必要がある.

 林地栽培は、マツタケとアカマツの共生関係を利用する.そのために、アカマツがほぼ30年くらいにならなければマツタケの発生はないといってきたが、当ブログ1403号に書いたように、7年生アカマツ林にマツタケの発生が見られることが明らかになってきた.林づくりをきちんと、どこかで手抜きをするとマツタケはいつまでたっても現れないが、マツタケの生活をしっかりと見据えてつくりあげた林には、5-7年のアカマツ林に、マツタケが発生することが分かってきたと思う.まだ、マツタケの胞子は、1930年代に比べりゃ非常に少ないが、そこそこ飛んでいるだろう.

結論:照葉樹林は、皆伐・土壌の徹底的な改善作業が必要(重機による地掻/伐根が望ましい).寄主が感染されやすい状態を人為的につくる(アカマツ立木密度 高・細根密度 高). 周りにマツタケ発生林が必ずある(現認は難しいことがある).

 

【お知らせ】
1)きのこ観察会
 京都御苑きのこ観察会
【日時】5月12日(日) きのこ観察:午前9時30分~12時  
【場所】京都御所 堺町休憩所集合(間之町口 地下鉄烏丸丸太町駅下車、東へすぐ)
 主催者は京都御苑きのこ会(世話人・同定人:佐野修治氏)  HP(http://gyoenkinokokai.web.fc2.com/)参照下さい
 参加料は無料、事前申込不要.京都御苑は国民公園です.動物・植物・菌類の採集は禁止されています.

2)第一回JIDFラボ開催(共催:まつたけ山復活させ隊)
  まつたけ山再生と岩倉焼
 【日 時】5月18日(土)午前10時45分~午後3時30分
 【場 所】まつたけ山復活させ隊活動場所(下記:活動場所 アクセスをご覧下さい)
 【参加費】500円(当日いただきます.昼食代に充当)
 【定 員】30名
    今回は、アカマツ林再生マツタケ山づくり作業を楽しみます.
    問い合わせ・参加申し込み:まつたけ山復活させ隊代表・JIDFラボマスター吉村文彦(☎090-6227-4305)
    あるいはmiyakomatsutake@gmail.comまで.


【まつたけ山復活させ隊に参加するには!!】
 絶対的相利共生関係にある生物種間の深い絆も、いとも簡単に崩れることが普通にある.これを共生関係のタイプの進化要因と考える.ヒトとアカマツそしてマツタケの共生関係にも学ぶものがあるように思える.
Key words:相利共生(Mutualism), 共生体(Symbiont)、マツタケ、アカマツ
 
 この会は、個の能力を最大限に発揮でき、参加者の数だけ面白いことが創造できるように自由に主体的に活動できる.参加は誰にも開かれているが、施設の安直利用(いいとこ取りする参加)は、これを認めない.「香川山に来る」こと、それは、当然、マツタケ山づくりを共に楽しむことに共感を持ち、また、自らの能力をみんなのために提供することを厭わない.そうでなければならない.
 
 我々まつたけ山復活させ隊には、山づくりをすること、資材等を運ぶこと、薪をつくること、病害木を焼却すること、畑や水田を守ること、食事を作ること、道具類を整備すること、拠点を整備すること、道路を補修すること、バイオトイレを守ること、多機能窯を守ることなどがある.これらの作業実施に際して、すべての参加者は自らの体調・体力にあわせて、互いに支え合い助け合うことが必要である(応分の負担).


【まつたけ山復活させ隊の心得】
あせらず!むりせず!ゆっくり!とまつたけ山づくりを楽しみましょう!

暑さと寒さ対策を充分に致しましょう!!

1.熱中症に気をつけましょう!こまめに水分と日陰で休息をとりましょう.

2.チェーンソーで立木を伐る作業は、周りの人払いが必要です.取り扱いを習熟するまでチェーンソー作業は厳禁です.万が一事故の場合は自己責任とは言え、班の世話人はその責任を問われます.

3.伐木作業の『基本は忘れずに!』.掛られ木の伐採時に事故が発生します.作業は慎重に!

4.切り株を残さないように地際から伐りましょう! 急斜面に残された切り株につまづき小径木の切り株で顔面を怪我する大事故もあります.

5.脱いだ衣服やリュックなどは地面に置かないように習慣づけ、マダニ対策の常識としましょう! 
 イノシシやニホンジカの行動エリアが拡大し、マダニと接触するチャンスが飛躍的に増えている.SFTSウイルスの媒介、リケッチアの媒介、治癒しても後遺症の残るダニ媒介性 脳炎症も日本に存在する.

6.アシナガバチ・マルハナバチに刺されないように(アナフィラキシーショック)、オオスズメバチも活動が活発になっています.

7.家庭廃棄物無断持ち込みは厳禁(問い合わせは吉村へ).
 食費の払い忘れなども時々あります.ご注意下さい.
 小物が時々なくなります.これも共有財産です.大切に使わねばなりません.
 使用した道具類は点検・掃除後、元に戻す、損壊した時には世話人にその由連絡する.
 ガソリン缶などの放置がときどき起こります.元に格納すること.
 チェーンソーなど機材保管庫の扉は最後の利用者が閉めること.
 用いたコップなどの洗浄・後片付けも忘れないように! 
 

【まつたけ山復活させ隊活動】

活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.

§参加費は無料;メンバー参加者には、食材費+消耗品費として現在400円を徴収.初参加者・見学者などは500円(二度目からは400円).ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.

§参加や見学希望の方は、参加日や人数などを主催者にメールもしくは電話下さい.また、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.

まつたけ山復活させ隊 活動日
回 開催日  報告担当者  男厨シェフ  特別企画 

682 04月26日(金) 内田    川﨑
683 05月04日(土) 三輪
684 05月10日(金) 宮崎
685 05月18日(土) 吉村        JIDFラボ1
686 05月24日(金) 内田    松本
687 05月31日(金) 三輪     開催日注意
688 06月08日(土) 宮崎
689 06月14日(金) 内田
690 06月22日(土) 吉村    内田
691 06月28日(金) 三輪
692 07月06日(土) 宮崎
693 07月12日(金) 内田
694 07月20日(土) 吉村    松浦 JIDFラボ2
695 07月26日(金) 三輪
696 08月03日(土) 宮崎
697 08月09日(金) 吉村
698 08月24日(土) 内田    松本
699 08月30日(金) 三輪
700 09月07日(土) 宮崎
701 09月13日(金) 内田
702 09月21日(土) 三輪    川﨑
703 09月27日(金) 吉村

 なお、やむを得ず開催日・担当などの変更が生じることがあります.ご了解下さい!
 

§活動場所:京都市左京区岩倉 村松町138-20 香川山(自称)
アクセス:公共の乗り物利用を薦めます.自家用車駐車スペースも2台分はある(下記(a)をご覧下さい).

 京都バスの「岩倉 村松行き」終点(村松)が便利です.バスを降りたら、吉村まで電話下さい.
バスに乗車するには、
ア)阪急京都線 烏丸駅で市営地下鉄烏丸線に乗り換え、国際会館下車(ウ)に続く
イ)京阪本線 出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側)乗車 約30分
ウ)京都地下鉄烏丸線 国際会館下車 3番出口からバスターミナル1番 乗車 約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

a)車の方は、岩倉ゴルフクラブを目的地にすると便利です.ゴルフ場入り口の案内看板が見えると(ゴルフ場専用道路の右折は行き過ぎです)、左に大きな駐車場(松尾ガレージと小さく表示がある)が見える.その北側に道路(路面に滑り止め化粧)がある.その道路(住宅内道路に見える)を左折で進入、次いで右折、左折そして左にカーヴすると車止めが見えます.車止めの右側に入り口あり.不安な方は駐車場付近から電話下さい.

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§カンパありがとう!
 
   
§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173


§主 催

まつたけ山復活させ隊
Movement for Regeneration of Matsutake Forests
代表 吉村 文彦(微生物生態学;マツタケ生物学)
090-6227-4305 miyakomatsutake@gmail.com

香川山オーナー
 香川 晴男


§協 賛
澤田山オーナー
 澤田 幸雄

玉城山オーナー
 玉城 一郎

 

コメント
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