まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 1333  酷暑、猛暑の中、マツタケは、どんなストレスを受けているか?

2018年07月24日 |  マツタケの林地栽培 

 7月27日(金)は、646回の活動日です.本日は、メインシェフを内田 正明さんが努めます.体温を超える日が続く、耐暑能にすぐれた体を作る昼食を期待します.京都市左京区岩倉 村松138-20 香川山(自称:下記アクセス)にお集まり下さい.ブログ報告は、吉村です.当日夜、是非ご覧ください.
 
 連日35℃を超える炎暑~極暑が続いています.暑さがひどくなった7月14日~23日までの気温は、京都地方気象台のデータでは、最高気温の平均は38.5℃(最高は39.1℃、最低は37.7℃)、最低気温の平均は27.3℃(最低:25.4℃、最高:28.5℃)、その期間の毎日の平均気温の平均は32.3℃となっている.しかも1日の内、6時間は体温36℃を超えている.熱中症による死亡が続出するはずである.それをまぬかれても、一歩手前の状態だ.
 
こんな時、冷房のないアカマツ林で、マツタケはどうしているのか? 
 この答えには窮する.我々は、実験室内で菌糸だけの温度変化の様子しか、データを持っていない.野外で、今、マツタケは菌糸体単独で生活してはいない.アカマツ(寄主樹)との菌根状態で存在している.菌糸のみの環境耐性と共生体でのマツタケ菌糸の環境耐性が同じとは言えないからである.しかもどう異なるかも分かっていない.

 前置きいや弁解はこのくらいにして、マツタケ菌糸の温度適性を見てみよう.京都岩倉香川山アカマツ林土壌の温度(地表下10cm)を、30℃であると仮定(例年並みで推定.今年の7月気象データは8月初めに回収).岩手県岩泉町の向林試験林で採取したマツタケのデータは、平均的に低温を好む傾向にあるので、京都岩倉尼吹山で採取されたマツタケの様子を述べる.濱田先生のデータである(図 1).

図 1.マツタケ菌糸の生死曲線 点線より左は、生育曲線、右は死曲線である.

 図1は、マツタケ菌糸の生死曲線である.左縦軸は、マツタケ菌糸が1mm伸びるに要した日数.横軸は、生育曲線部分は培養温度を指す.死曲線はマツタケ菌糸の入った小試験管をこの温度の水槽にある時間つけ、その後取り出して24℃で培養し菌糸の生死を調べたものである.死曲線の縦軸は時間で対数となっている.
 
 5℃以下では、マツタケ菌糸が1mm伸びるのに無限に近い時間がいる、すなわち伸びない.18℃から26℃の間でよく伸びている.3日間で1mm伸びることになる.30℃になると85日を要すると読み取れる.31℃より高いと、菌糸の生長は止まる.一方、死曲線を見ると、35℃に3時間置かれると菌糸は死んでしまう.39℃に20分さらされると死亡する.41℃なら10分で死ぬ.野外では、水分ストレスも考慮せねばならないが、ここでは、それは充分に供給できる状態を前提として温度の影響を見ている.

 マツタケの分布は、北半球の中緯度帯から北極線付近に限られる.マツタケは暑さ嫌いである.チベット高原辺りに生まれたマツタケは、胞子の飛散(移動)によって世界に拡がった.マツタケの突然変異も、進化に中立に生じ、その結果が移動した環境に適していたならそこに定着しただろう.分布を決める因子は、今見た温度、他に寄主樹の存在と考えられる.

 さて、本題のマツタケが今受けている厳しいストレスで、どうしているのだろうか!夏期は、生物にとって厳しい環境にある.それぞれ相当なストレスとなっている.そんな刺激を受けて何らかの反応を示しているはずだ.野外のアカマツの根は、土壌水分減少のあおりを喰らって、今頃は伸びないと考えられている.地温30℃では、マツタケ菌糸も実質上伸びないと同じであろう(図1).すると新たな菌根形成は生じないはずだ.
 
 で、菌根は栄養生長から成熟期に入るものと思われる.地温が19℃を下回ると生殖生長に代謝が切り替わり、子実体原基が作られる.そして1週間から10日で、マツタケは頭を地上に出す.今年は、梅雨明けも早く気温も異常といえる高さで、残暑も厳しく長いとすれば、マツタケは成熟状態で異常に長くとどまることになる.このような状態は、共生体として、アカマツの根やマツタケは生理的な変化は受けないのか不明である.

 さて、今年の秋はどうなるのでしょう!!

 前回の龍谷大生の活躍は、三輪報告に詳しいが、活動の様子を写真で少し見ましょう! 龍大生は、「松茸山再生と岩倉焼」JIDFラボ(写真2)とマツタケ発生環境整備作業に積極的に参加.暑い中、お疲れ様でした.

10時頃に到着後、各施設を見学 菜園を移動中

除伐材を集積場所に運び出す.三品さんの姿が見える.

枝葉部は、材とは別に運んでいる.北村さんが見える.

地表の堆積物の掻き出しである.村岸さんから説明を受けている.藤井さんが向こうの学生の動きを見ている.

地掻をしている.

岩倉焼の本焼きを体験.アカマツの薪を窯に投入.内田さんが見守る.

そんな彼らに昼食を準備する仲間たち

作業が終わって カレーを食べる龍大生諸君 引率の岩堀さんが見える. 

【お知らせ】

1)京都御苑きのこ観察会 
【日時】8月5日(日) 午前9時30分~12時
【場所】京都御所 堺町休憩所集合(間之町口 地下鉄烏丸丸太町駅下車すぐ)
 主催者は京都御苑きのこ会(世話人 佐野修治氏)  HP(http://gyoenkinokokai.web.fc2.com/)参照下さい
 参加料は無料、事前申込不要.京都御苑は国民公園です.動物・植物・菌類の採集は禁止されています.


【まつたけ山復活させ隊に参加するには!!】
 ヒトとアカマツそしてマツタケの共生関係には学ぶものがあるように思える.Key words:相利共生(Mutualism), 共生体(Symbiont)

 この会は、個の能力を最大限に発揮でき、参加者の数だけ面白いことが創造できるように自由に主体的に活動できる.参加は誰にも開かれているが、施設の安直利用(いいとこ取りする参加)は、これを認めない.「香川山に来る」こと、それは、当然、マツタケ山づくりを共に楽しむことに共感を持ち、また、自らの能力をみんなのために提供することを厭わない.そういう同志の集いである.
 
 我々まつたけ山復活させ隊には、山づくりをすること、資材等を運ぶこと、薪をつくること、病害木を焼却すること、畑や水田を守ること、食事を作ること、道具類を整備すること、拠点を整備すること、道路を補修すること、バイオトイレを守ること、多機能窯を守ることなどがある.これらの作業実施に際して、すべての参加者は自らの体調・体力にあわせて、互いに支え合い助け合うことが必要である(応分の負担).


【まつたけ山復活させ隊の心得】
あせらず!むりせず!ゆっくり!とまつたけ山づくりを楽しみましょう!

暑さ対策を充分に致しましょう!!

1.熱中症に気をつけましょう!こまめに水分と日陰で休息をとりましょう.

2.チェーンソーで立木を伐る作業は、周りの人払いが必要です.取り扱いを習熟するまでこの作業は厳禁です.万が一事故の場合は自己責任とは言え、班の世話人はその責任を問われます.

3.伐木作業の『基本は忘れずに!』.掛られ木の伐採時に事故が発生します.作業は慎重に!

4.切り株を残さないように地際から伐りましょう! 急斜面に残された切り株につまづき小径木の切り株で顔面を怪我する大事故もあります.

5.脱いだ衣服やリュックなどは地面に置かないように習慣づけ、マダニ対策の常識としましょう! 
 イノシシやニホンジカの行動エリアが拡大し、マダニと接触するチャンスが飛躍的に増えている.SFTSウイルスの媒介、リケッチアの媒介、治癒しても後遺症の残るダニ媒介性 脳炎症も日本に存在する.

6.アシナガバチ・マルハナバチに刺されないように(アナフィラキシーショック)、オオスズメバチも活動が活発になっています.

7.食費の払い忘れなども時々あります.ご注意下さい.
 小物が時々なくなります.これも共有財産です.大切に使わねばなりません.
 使用した道具類は点検・掃除後、元に戻す、損壊した時には世話人にその由連絡する.
 ガソリン缶などの放置がときどき起こります.元に格納すること.
 用いたコップなどの洗浄・後片付けも忘れないように! 


【まつたけ山復活させ隊活動】

活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.

§参加費は無料;メンバー参加者には、食材費+消耗品費として現在400円を徴収.初参加者・見学者などは500円(二度目からは400円).ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.

§参加や見学希望の方は、参加日や人数などを主催者にメールもしくは電話下さい.また、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.

まつたけ山復活させ隊 活動日
回 開催日   報告担当者 男厨シェフ   特別企画 

646 07月27日(金) 吉村    内田
647 08月04日(土) 内田
648 08月10日(金) 宮崎
649 08月25日(土) 三輪
650 08月31日(金) 吉村    松本
651 09月08日(土) 内田
652 09月14日(金) 宮崎
653 09月22日(土) 三輪
654 09月28日(金) 吉村    川崎

 なお、やむを得ず担当などの変更が生じることがあります.お許しください!
 

§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山(自称)
アクセス:公共の乗り物利用を薦めます.自家用車駐車スペースも2台分はある(下記(a)をご覧下さい).

 京都バスの「岩倉 村松行き」終点(村松)が便利です.バスを降りたら、吉村まで電話下さい.
バスに乗車するには、
ア)阪急京都線 烏丸駅で市営地下鉄烏丸線に乗り換え、国際会館下車(ウ)に続く
イ)京阪本線 出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側)乗車 約30分
ウ)京都地下鉄烏丸線 国際会館下車 3番出口からバスターミナル1番 乗車 約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

a)車の方は、岩倉ゴルフクラブを目的地にすると便利です.ゴルフ場入り口の案内看板が見えると(ゴルフ場専用道路の右折はダメです)、左に大きな駐車場(松尾ガレージと小さく表示がある)が見える.その北側に道路(路面に滑り止め化粧)がある.その道路(住宅内道路に見える)を左折で進入、次いで右折、左折そして左にカーヴすると車止めが見えます.車止めの右側に入り口あり.不安な方は駐車場付近から電話下さい.

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§カンパありがとう!
 
   
§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173


§主 催

まつたけ山復活させ隊
Movement for Regeneration of Matsutake Forests
代表 吉村 文彦(微生物生態学)
090-6227-4305 miyakomatsutake@gmail.com
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27

香川山オーナー
 香川 晴男


§協 賛
澤田山オーナー
 澤田 幸雄

玉城山オーナー

コメント
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