残酷なまでにリアルでスケール感のある戦闘シーンがたびたび描かれながら、そこから伝わってくるのはとても静かでクールにすら感じられる問いかけ。「戦争とは」「英雄とは」そして「誰のために戦い、そして死ぬのか」。
太平洋戦争における最も象徴的な写真のひとつとして知られる「硫黄島の星条旗」にまつわる実話の映画化であるこの作品、ここには戦争映画にありがちの声高な主張もヒステリックなメッセージも一切見受けられ . . . 本文を読む
一昨日の夜、とあるお店のパーティの打ち合わせにピーク時間をずらして出かけたのだけど、さすが繁盛店、遅い時間にもかかわらず相変わらずの盛況ぶり。
打ち合わせどころか話すことすら不可能な忙しさで、それはそれで結構なことながら、一人寂しくカウンターに佇むのもなんなんだかなぁと思い、3ヶ月ほど前、とある映画館の支配人から30歳を過ぎて芸子というか芸妓に転職(と言うのか?)した友達にメールしたところ「今終わ . . . 本文を読む
まずはともあれ、予告編でも充分伝わってきたフィリップ・シーモア・ホフマンのカポーティへの成りきりぶりは、ある程度予想していた言え、やはり驚嘆もの。
独特の甲高く特徴のある話し方、ゲイならではの身のこなしとファッションセンス(特に衣装は抜群でした)、さらには人を小馬鹿にしたように見えるちょっと頭をそらしたポーズなどなど、カポーティはきっとこんな人間だったに違いないと思わせる説得力充分なそっくりさん . . . 本文を読む
ごく日常的な任務。たった15分で終わる簡単な仕事のはずだった ・・・・・。
残された時間は2時間。移動距離はわずか約1マイル(1.6Km)。
証人を裁判所まで護送することになったしょぼくれ刑事が警察の不正事件もみ消し工作に巻き込まれ、同僚刑事のみならず警官隊までをも敵に回して、命がけで任務を遂行しようとするアクション作。
予告編を観てないどころか、誰が主演なのかさえ館前のポスターを見るまで知ら . . . 本文を読む
いつの間にか隣りの町と戦争を始めていたことを町の広報誌で知るという秀逸な出だしは、まるでかつての 筒井康隆ワールド。
行政がより良い街づくりのための「公共事業」の一環として戦争を行なってしまうという発想は、確かに面白いと思ったし、一気に読ませてくれるだけのチカラを持った小説だとは思う。
そして翻訳された外国小説的というか、村上春樹的言い回しも個人的には決して嫌いではなく、主人公の「ぼく」同様、こ . . . 本文を読む
今回の映画化を機に遅ればせながら今年の夏にようやく読んだ40年代にロサンジェルスで実際に起こった有名な猟奇殺人事件を基にしたジェイムス・エルロイの原作はとてつもなく面白く、かつ味わい深くてまさに傑作と呼ぶに相応しい作品だった。( → 感想はこちらで )
そんな原作をかつて独特の演出で多くの映画ファンを幾度となく唸らせてくれたブライアン・デ・パルマが、ジョシュ・ハーネット、アーロン・エックハート、 . . . 本文を読む
ここ数ヶ月、本来なら早い目にし終えていなければならなかったのにもかかわらず、ついつい先送り、先送りにしていた仕事がここにきてドカッと圧し掛かってきて、実は今月に入って身動きが取れないというか、取りづらい状態が続いている。
おかげでこんな時間(やがて午前2時であります)でも事務所で黙々とキーボードを叩いているのだけど、一人寂しくポツンとこうして作業していると、これはこれで妙な開放感があったりして、 . . . 本文を読む
空高く晴れ渡った秋の日曜日。
朝起きて空の青さを見た途端、今日は毎年春と秋にそれぞれ執り行う( ← 何と大袈裟な)コンテナや鉢の花々の総入れ替え日に急遽決定。
ということで、近くの大きなガーデンショップでMGの助手席に乗り切らないくらい秋から春に向けての花を大人買いというか、まとめ買い。
例年ならある程度買った後に少しずつ買い足していくのだけど、今年は最近のちょっと身動きがしづらい仕事の忙しさを . . . 本文を読む
ウッヒョー! 「期待に違(たが)わず」という言葉があるけれど、ようやく、ようやく観ることが出来たこの映画の感想がまさにそれ。
ポリティカル・ポップカルチュア・ファンタジック・ハートウォーミング・ドラッグクイーンムービーとでも言ってしまいたくなるこの映画、背景に重いテーマを背負いつつ、その描き方のなんと軽やかなこと!
幾多シリアスなシーンがあろうとも、テイスト的には一見まるで絵本から飛び出してきた . . . 本文を読む
「老いぼれて、しょぼくれて、ひとりぼっちのいま、来し方をふり返ってみると、ぼくの人生はまるで他人の人生のように見える。ぼくの愛した人たちはもう誰もいなくなった。ひとりまたひとりと、年月に呑みこまれてしまった。ぼくに残っているのは思い出だけ。でもその思い出だってぼやけてしまって、ぼくの記憶力では、かつてのように鮮やかには浮かんでこない」妻を亡くし一人暮らしの中、脳血栓によって半身不随となり、やむなく . . . 本文を読む
東京で写真家として成功した弟の猛(オダギリ ジョー)と地方に残り実家の家業のガソリンスタンドを継ぐ兄の稔(香川照之)。二人は幼なじみの智恵子(真木よう子)とともに懐かしい渓谷へと足をのばす。そこで起こったひとつの出来事。事故なのか、事件なのか。その出来事をめぐって、弟と兄の人生がゆれ動く……。何度か観た予告編から受けた印象では、もしかして観念的な思い込みの強い映画なのではといったお節介極まりない危 . . . 本文を読む
昨日、金沢でもようやく公開が始まった西川美和監督作品「ゆれる」(← びっくりするほどよく出来た作品です、必見!)を観にシネモンドまでスタコラとクルマで出かけていった時、久しぶりに自分で引き起こした思わぬアクシデント(!?)に遭遇。
そりゃあ、100円パーキングにクルマを停めた時点で上映開始まであまり時間がなく無意識のうちに焦っていたこともあっただろうさ、
だからと言って、ショートカットするために . . . 本文を読む
随分以前に原作は読んでいたこともあってストーリーそのものは承知していたため、物語の展開そのものに対する個人的な面白みには欠けていたのは事実だ。
加えてもともとの話自体、残念ながらさほど心惹かれるものではなかったので、正直言ってさしたる期待はしていなかった。
それにしてもだ。それが青春だと言ってしまえばそうかも知れないけど、主人公二人が頑なにこだわった他人に明かさない関係性もお互いの親に対する思い . . . 本文を読む
秋と言えば、秋刀魚。秋刀魚と言えばまずは塩焼きというのが定番だったけど、いつの頃からか刺身で食べる機会も多くなった。
それにしても秋刀魚とか鰯とか皮はぎを刺身で食べるようになったのはいつからだろう?
昔はそれらの魚は決して刺身では食べなかったものだけれど、いつの間にか回転すしのメニューにまで加わるようになって、改めて物流革新の進行の速さを実感したりもする。
そんな中、最近繁く通うようになったと . . . 本文を読む