映画「単騎、千里を走る。」を観て、ふと思い出したことがあった。
あれはもう随分以前のこと、中国では行く先々で「没有」と言われ続けたあの頃、ある雑誌の仕事で上海に行ったときのことだった。
公園で、当時まだ取材慣れしていない上海の人たちに写真を撮らせてもらっていたとき、年配の中国人男性が流暢な日本語で話しかけてきた。
そして「ちょっと前まで日本語を話すだけで当局に通報されるので話せなかった時代が長 . . . 本文を読む
実は個人的には「幸せの黄色いハンカチ」以降の高倉健、つまり健さんのお行儀の良い演技には少なからず違和感がずーとあって、不器用で寡黙というひとつのパターンへ、いつの間にか世の中が健さんを追いやったような気がしてならなかった。
そんな中、その健さんも絶賛していたという「初恋のきた道」を撮った監督チャン・イーモウ、そう、あの張藝謀がそんな彼を起用してして映画を撮ると知ってどんな映画作りをするのか、想像 . . . 本文を読む
昨日久々「バルバール」http://www3.sppd.ne.jp/hirosaka/ikedamachi.htmのカウンターで飲んでいた時に面白いものを発見。
『チーズの盛り合わせ』のオーダーが入ったときのこと、カウンターの中で働く香奈ちゃんが見たことのない道具を手にしておもむろに廻し始めると、なんとなんとチーズがきれいに削りかつお状態というか、まるでひらひらな花びら状態に。
そこで、「こっち . . . 本文を読む
実は昨日、とある店舗で泥棒に入られてしまった。
たまたま前の日、そのお店の店長が風邪で休むという連絡を聞いていたので、どれどれ開店の準備の手伝いでもしようかとお店に行ったところ、従業員用のドアの鍵がかかっていなかった。
そこで、何だかんだ言いつつこの店の店長は元気になって出社したのかと思いドアを開けた途端、ジワ~ン、何やら不穏な空気感が。
具体的に何がどうのこうのではなく、あくまでも何となくでは . . . 本文を読む
いまのわたしは引退した警官だ。快適な引退生活を送るはずだった。ローンを払い終えた家があり、現金で買った車がある。生活費として必要とする以上の年金をもらっている。まるで休暇をとっているようなものだ。仕事はなく、心配事もなく、なんの問題もない。
だが、なにかが欠落しており、心の奥底で、わたしはその正体がわかっていた。わたしは演奏場所を与えられるのを待ち受けているジャズ・ミュージシャンのように暮らしてい . . . 本文を読む
完全数、素数、友愛数、そして「オイラーの法則」といった言葉だけ取るとチンプンカンプンな数学的要素と阪神ターガースのエピソードとが巧く心温まる物語に溶け込んでいて、読後なんともしみじみした思いに浸ってしまった原作を読んでから随分時が過ぎたような気がする。
その作品が映画化されると聞いて、何故か川上弘美の「センセイの鞄」が映像化されたときのことを思い出した。
出来が良いとか悪いとかといったことでは . . . 本文を読む
久々ジャケ買い&グループ名買いしてしまった『クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー』。(要するに“ フランキー・ゴーズ・トウ・ハリウッド”や“ エヴリシング・バット・ザ・ガール ”的なノリであります)
実は彼ら、アメリカはニューヨークのインディー・バンドであり、しかもイギリスではアルバムすら発売されていない(1/23発売)のに、BBCより毎年発表される今年注目の新人バンド・トップ10『Sound O . . . 本文を読む
ずいぶん以前から予告編はネット上で何度か観ていて、その出来がかなり期待感を煽る優れたものだったが故に、実は少なからず期待していたこの映画。
Uバーンのアレキサンダープラッツ駅での時系列を交互させる意味深なオープニングからテンポ良く進む中盤に至るまでは、期待通りの仕上がり。
思わせぶりな展開で主人公も何らかの形で加担しているのではと思わせるミステリー要素も加わり、その後の謎解きに大いに期待感が募っ . . . 本文を読む
「そうだ、これって学芸会よ。みんながみんな自分を演じているだけ」
ソニン扮する家庭教師が指摘するシーンがあったけど、映画全体すらもそう感じてしまった。
うだつの上がらないサラリーマンのように見えて何故か二人の愛人を持つちょろ助な父親。高校をさぼってラブホテルに住みたいと思っている娘。PCのバーチャルな世界に居所を見つける息子。そして不幸な(と自分で信じ込んでいた)過去を教訓に『家族に秘密は持たな . . . 本文を読む
夫の家庭内暴力から逃れるため子供を連れて故郷に帰ってきた主人公ジョージー。鉱山の町である保守的な町の住人たちは、10代で息子を産んでシングルマザーとなり、父親の違う娘を連れて戻ってきたジョージーに“身持ちの悪い女”と冷たい視線を向ける。そんな中、ジョージーは子供たちのために、自立を目指して、鉱山で働きだす。だが職場では、男性社会に進出してきた女性に対する会社ぐるみの厳しい洗礼と、屈辱的な嫌がらせが . . . 本文を読む
アクセスの多いブログをやってらっしゃる方から話は何となく聞いていたけれど、昨年の終わりあたりから当ブログにも無闇矢鱈と訳のわからない(英文もしくは解読不明の言語での)コメントが多数書き込まれるようになった。
通常は1日100数十人の人たちが見てくれている程度というこじんまりとしたブログなのに、一体何がきっかけでこうなったのか、その仕組みが無茶苦茶気になる。
コメントが寄せられる記事は新旧の区別 . . . 本文を読む
英国女流文学の代表的傑作だと言われているジェーン・オースティンの代表作「高慢と偏見」を、キーラ・ナイトレイ主演で映画化した18世紀のイギリスを舞台としたラブストーリー。
“ I do like him. I love him. ”
キーラ・ナイトレー演じるヒロインのリジーがドナルド・サザーランド扮する父親に伝えるシーンが好きでした。
そしてお金に対して異常に執着心の強い母親役のブレンダ・ブレ . . . 本文を読む
残念ながら1930年代のハリウッド映画『有頂天時代』も『グランド・ホテル』も未見ながら、キャスト一人一人の紹介ごとに緞帳が上がっていくオープニングシーンから、どことなくそうした時代の楽しげな雰囲気が漂ってきた映画「THE 有頂天ホテル」。
時は大晦日、迷路みたいなホテルを舞台に曰くありげな宿泊客とそこで働くホテル従業員や催事出演者たちが織り成すさまざまなドラマは、あたかもロバート・アルトマンばり . . . 本文を読む
正月映画の中で「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」に次いで第2位の興行成績を上げているという「男たちの大和」を遅ればせながら観てしまった。
角川春樹&佐藤純彌という80年代を彷彿させるタッグチームにさほど大きな望みはかけていなかったけれど、映画そのもの仕上がり具合は右とか左とかではなくただ単純に極めて口当たりの良い、どこか丸め込まれそうな雰囲気に満ちたちょっと危なさげな映画となっていて、これを良 . . . 本文を読む
昨年末から例年にない厳しい寒さが続いていて、氷点下になることは真冬でもそんなに数多くない金沢でも最低気温が0度を割る日が続いていた。
そんな中、今乗っているクルマは外気温が摂氏3℃を下回ると、一応警報音とともに注意のコメントがディスプレイに出てくるのだけど、この前早朝に出かけようとエンジンをかけて運転席の前にある温度表示を見て笑ってしまった。
なんと、なんと、そこには『 -40.0℃ 』の表示が . . . 本文を読む