俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「となり町戦争」 三崎亜記

2006年10月23日 02時12分21秒 | 時系列でご覧ください
いつの間にか隣りの町と戦争を始めていたことを町の広報誌で知るという秀逸な出だしは、まるでかつての 筒井康隆ワールド。
行政がより良い街づくりのための「公共事業」の一環として戦争を行なってしまうという発想は、確かに面白いと思ったし、一気に読ませてくれるだけのチカラを持った小説だとは思う。

そして翻訳された外国小説的というか、村上春樹的言い回しも個人的には決して嫌いではなく、主人公の「ぼく」同様、この「見えない戦争」の実態を見届けるべく前半は興味ワクワクで読んでいた。

ところが、中盤あたりからそうした無自覚な主人公みたいな存在こそが、さまざまな出来事を誘発する、即ち消極的ながらも加害者であるということを、文脈の中から読む側に強いらせているような気になってしまい、後半での情緒過多な感傷的な描写とともに、まことに勝手ながらなんなんだかなぁ的世界に陥ってしまった。

多分とっても真摯にさまざまなことを捉えて、小説という枠の中に収めきった立派な作品であると思うし、読んでいて全く退屈しないのも事実だ。
ただ、もう少し趣きを変えて展開してくれたら、相当にぶっ飛んだ作品に仕上がっただろうと思うし、このお行儀の良さこそがいささか徒になったのではないかと思ってしまったのだけど、はてさて。

ちなみにこの小説、次男が通っている中学校の図書室から借りてきたものを借りて読んだのだけど、いまどきの中学生ってこんな本も読むんだと、ちょいと驚きだった。
とは言え、とりあえず読破した次男に言わせると本人としては「理解不能」だそうで、そりゃそうだわな。



今日の1曲 「君に会いに行きましょう with 斉藤和義」 : つじ あやの

今日の帰り道にふと見上げた夜空に月は全然かがやいていなかったのですが(苦笑)、何故かふと浮かんだのがこの曲。
斉藤和義が良い味を出しています。
ギターを弾きたかったけれど、手が小さかったためウクレレを始めたというあやの嬢、何故か最近になってこのあやの嬢のCDを俄然よく聴いてたりします。
7月に出たベスト盤の全曲試聴がコチラでちょこっとずつながら可能なので、興味のある人は是非。
癒されるなんて言い方は間違ってもしたくないけれど、何だかほっこりさせてくれる人ではあります。


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2 コメント

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失われた町 (AKI)
2006-10-23 02:50:32
というタイトルが三崎亜記の次回作で

11月下旬に出版されるそうです。



「町」シリーズ??



ということなんでしょうかね。



http//www.tonarimachi.jp





失われた時を求めて?



忽然と町ごと漂流教室してしまう話か、

忽然と町の人がいなくなってしまう話か、

あ、でもそれは、映画でありましたね。



主人公が起きたら、誰もいなかったと。

あとで生き残りのひとが見つかって、

敵のバンパイアみたいのと戦うという

ストーリーでした。



そのどちらでもないとしたら、

となり町を越えて、

また楽しませてもらいたいですね。



となり町戦争は後半の失速が、もったいないなぁ、と。設定はすごくおもしろいのに、



それにしても新作は気になります。



http://www.tonarimachi.jp
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町シリーズ (nikidasu)
2006-10-24 01:26:53
■AKI さんへ



はじめまして、コメントありがとうございます。

今日本屋に行って、初めてこの作品が映画化されるのを知りました。

香西さんをご贔屓、原田知世というのはまだしも、「僕」を江口洋介って!

間違いなくミスキャストだと思うのですが・・・。



生真面目過ぎるけれど、基本的に才能のある人だと思うので、

教えていただいた新作のほうも是非読んでみたいです。
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