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映画 ジョン・トラヴォルタ、ロバート・デュヴァル「シビル・アクション(’98)」

2007-01-26 13:02:20 | 映画
 ジャン・シュリットマン(ジョン・トラヴォルタ)の法律事務所は弁護士3人のささやかな事務所だ。それでもびしっと決めたダークスーツと真っ白なワイシャツに赤いネクタイ、乗るのはポルシェでその収入は“正直な話、重傷を負った原告の方が死人より価値がある。死に方も即死より苦しんだあげく死ぬ方が価値が高い。
 20代より中年で死亡する方が得であり、女性よりも男性、独身より妻帯者、黒人より白人、貧乏人より金持ち。一番条件のいい犠牲者は、稼ぎ盛りの40歳代で専門職の白人男性。一番損なのは? 傷害法による計算では子供が死亡した場合だ”

 これらを信条として同情や哀れみのかけらもなく稼いできたせいだった。そんなある日、ラジオの法律相談パーソナリティを務めていたとき、一人の女性アン・アンダーソン(キャスリーン・クインラン)からの電話が事態を一変させることになる。

 ボストン郊外のウーバンという小さな町では、15年間に白血病患者12名死亡うち8人は子供だった。信条に反する案件のためジャンが断りに出向き、帰路スピード違反で切符を切られた橋の上から見る川の流れに誘われるように周囲を見て歩いてみると問題の皮革工場の親会社が大企業であることが判明する。これは金になると宣戦布告する。

 しかし、決め手に欠け苦戦を強いられ事務所の財政状態も底をつく。そんな中、被告企業側の老獪な顧問弁護士ジェリー・ファッチャー(ロバート・デュヴァル)から2000万ドルの和解金の提示を受けるが、真実が必ず勝つと信じて拒否する。いよいよ窮地に立ち、同僚の弁護士たちはジャンを見限る。

 小さな事務所でただ一人細々と食いつなぐうちにも、最初会ったとき言ったアン・アンダーソンの言葉が頭から離れない。「私たちは、お金は要らない。謝罪が欲しいの」そして気がついたのは、“毒”を捨てるのを見たものでなく、痕跡を消した者だった。ある日、ジェリーのもとに一通の封書が送られてきた。発送者は、環境保護庁だった。

 映画の色調は全体に暗いトーンでまとめられ、人物が浮き立つような照明で効果を挙げている。特に印象深かったのは、評決を待っている裁判所の廊下で、ジェリーがジャンに和解金を提示する場面。
               
 映像的にも素晴らしいがジョン・トラヴォルタとロバート・デュヴァルの演技に魅了された。特にデュヴァルの老獪な弁護士役は異彩を放っている。
 そしてエンディングのジャンの申告財産確認認定で、判事が「17年間の弁護士業の末、現在あるのは銀行預金14ドルとポータブル・ラジオ? 一体どこへ? お金とか持ち物すべて」と問いかける。ジャンは暫らく考えていたが、しっかりと前を見つめ顔を上げた。そこには自信と誇りが満ちていた。

 監督 スティーヴン・ザイリアン1953年1月カリフォルニア州フレスコ生れ。
               
 キャスト ジョン・トラヴォルタ1954年2月ニュージャージ州イングルウッド生れ。
 ロバート・デュヴァル1931年1月カリフォルニア州サンディエゴ生れ。’82「テンダー・マーシー」でアカデミー主演男優賞受賞。
 キャスリーン・クインラン1954年11月カリフォルニア州パサディナ生れ。‘95「アポロ13」でアカデミー助演女優賞にノミネート。この映画でも出番は少ないが、抑えた演技が印象的だった。
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