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三転、四転の面白さ「覇者」!

2005-01-13 15:22:30 | 読書
  七歳の子供が誘拐され、水槽タンクに手錠でつながれて、注入される水で二時間もすれば溺れ死ぬという局面に直面するFBI捜査官タズ・ファロン。子供の父親は犯人の言う通りに、大型ごみ容器に身代金25万ドルの入ったブリーフケースを投下する。周囲にはFBIの車八台が包囲して監視体制を敷いていた。ようやく現れたのは、ゴミ回収トラックだった。トラックはごみ容器を空けて走り去った。そのとき、ごみ袋一個が引っかかってトラックに落ちなかった。FBIの車はトラックを列になって追っかける。五分後、犯人の車が現れ、出てきた男がごみ容器をたたく。中から25万ドルを入れたビニール袋を持って、もう一人の男が現れた。二人はFBIの車とは反対方向へ走り去った。犯人は大成功と思っただろうが意外にも、その様子を見ていたFBI捜査官ファロンが追跡を開始する。

  こんなのが随所に溢れかえっていて、予測が外れっぱなしだ。物語の本筋は、ナチが略奪した名画シスレー、ドガ、マチス、ルノワール、ピカソなどの絵画を取り戻すというもの。ファロンと国際美術財団のユダヤ系アメリカ人で美人のシヴィア・ロスが共同で絵画をさがす。この二人がいつベッド・インするかと思わせながら、やっとそのときが来るがフランス料理のような濃厚さはなく、和風料理に似てあっさりとしたものだ。

  ある映画監督が言っていたが、暴力シーンとセックスシーンは、誰が描いても同じようになるので、新味を出すのが難しく頭を悩ませると。私は思うのだけど、エベレストのテッペンでセックスシーンを撮るのはどうだろう?何はともあれ、この本はユーモアやウイットに富み大変面白い。

  著者は元FBI捜査官で、「覇者」は四冊目にあたる。ポール・リンゼイ講談社文庫2003.5刊
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