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南アフリカの通知表2018年

2019-06-02 00:04:25 | Weblog
世界の評価」から、「指標」を定めて、
日本の通知表 2018年」をみた。2018年6月17日。
https://blog.goo.ne.jp/mulligan3i/e/4d4f55b3981c559fcd25d9222e5c9c9d

同じ指標で、
南アフリカの通知表 2018年」は、どうなるだろうか?

通知表の「評価項目」は、つぎ。
1)学力は、  世界でどのくらいか?
2)開発力は、世界でどのくらいか?
3)創造力は、世界でどのくらいか?
4)芸術力は、世界でどのくらいか?
5)文化力は、世界でどのくらいか?
6)運動力は、世界でどのくらいか?
7)経済力は、世界でどのくらいか?
8)援助力は、世界でどのくらいか?

世界の表彰・評価から、「指標」を、つぎとした。
1)学力:   PISA、15歳の知識と技能の調査、
2)開発力: 国際特許
3)創造力: ノーベル賞
4)芸術力: カンヌ映画祭
5)文化力: 世界遺産
6)運動力: 国際フットボール連盟FIFA
7)経済力: 国内総生産GDP
8)援助力: 政府開発援助ODA

1)学力
世界の文教関係者が、
「自分の国の教育改革が、成果を上げているのか?
 生徒の学力のレベルが、世界のどの位置にあるのか? 国際比較を知りたい」
という要望に、経済開発協力機構(OECD)が応えて、PISAを開発した。
PISA(Programme for International Student Assessment)は、
義務教育が終わる15歳の生徒の学習到達度のプログラム。
科学、数学、読解力を調査する。
OECD加盟国を中心に、2000年から調査を始め、3年ごとに実施。
参加国は、OECD加盟国以外にも増えてきている。最新は2015年。

2)開発力
国際特許の出願件数。世界知的所有権機関WIPO。
出願後、1年以内に望む国に、審査請求ができる。
出願日を優先権主張することができる。

3)創造力
ノーベル賞の受賞は、国の底力、品格を示す。
自然科学分野の受賞数を見る。
恣意(しい)がからむ、文学賞、経済賞、平和賞は除く。

4)芸術力
カンヌ映画祭は、総合芸術である映画の表彰。
1946年以来、72年の歴史がある。
グランプリ、途中から代わったパルム・ドールの受賞作品数を見る。

美術や音楽分野では、スペイン、イタリア、フランス、オランダ、ドイツ、
オーストリアなどから、多くの天才・鬼才を生まれている。しかし、
天才・鬼才の世界的な表彰・評価や「天才事典」はなかった。

5)文化力
ユネスコ(UNESCO)が世界遺産を選定している。
文化遺産と自然遺産、これらを組み合わせた複合遺産がある。
人類の創造的な傑作で、将来的に遺したい文化遺産と複合遺産を採用する。

6)運動力
サッカーは、世界で行われ、競技人口が多い(野球の15倍)。
サッカーは、瞬発力、持久力、戦術、とっさの判断力を要する。
国際フットボール連盟FIFAが、ランキングを公表している(2018年5月)。
オリンピックは、競技種目に地域差があるために、採用しなかった。

7)経済力
国内総生産GDPは、国内で生産された付加価値の総額で、
国の経済力を示す。

8)援助力
政府開発援助ODAは、先進22か国から始まった、
発展途上国への援助を示す。

「指標」を「ランク」で示す。
ランクは、つぎを目安にした。
AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内 E=50位以内。

1)学力: PISA、15歳の知識と技能。

日本の PISA2015は、3位→ランクAA。
南アフリカのPISA2015は、参加していない、→ランクF

2)開発力: 国際特許出願件数。

日本の2017年の国際特許出願件数は、3位→ランクAA。
南アフリカの2017年の国際特許出願件数は、30位→ランクC

3)創造力: ノーベル賞

日本のノーベル賞の受賞者23人は、5位→ランクB。
南アフリカのノーベル賞の受賞者1人は、21位→ランクD
突出している1位~3位→ランクAとした。

4)芸術力: カンヌ映画祭

日本のパルム・ドール受賞5は、5位→ランクB。
南アフリカのパルム・ドール受賞はない、→ランクF
突出している1位~4位→ランクAとした。

5)文化力: 世界遺産

日本の文化遺産17は、11位→ランクB。
南アフリカの文化遺産6は、38位→ランクD

6)運動力: 国際フットボール連盟FIFA

日本のFIFAのランキングは、60位→ランクF。2018年5月。
南アフリカのFIFAのランキングは、72位→ランクF

2018年のワールド・カップ、ロシア大会で、
アフリカからは、出場枠5を、53チームが競った。
南アフリカは、アフリカ代表になれなかった。

2010年のワールド・カップは、南アフリカで開催された。
エイズ、高い失業率を抱える中で、安全な試合ができた。
スペインの初優勝だった。オランダとの決勝戦は、1対0。
アンドレス・イニエスタが、決勝点をあげた。
イニエスタは、2018年に、FCバルセロナから、
日本のヴィッセル神戸に移籍している。

南アフリカは、ゴルフに偉大な選手がいる。
ゲーリー・プレイヤーに、アーニー・エルス。
ゲーリー・プレイヤーは、メジャーの4大会で優勝した。
全英オープン、全米オープン、マスターズ、全米プロで、
キャリア・グランドスラムの達成である。
メジャーでの9回の優勝を含めて、
163回優勝をしている(シニア・ツアーは除く)。

アーニー・エルスは、
メジャーでは、全米オープン2回、全英オープン1回と、
3回の優勝があり、メジャーを含めて、64回優勝をしている。

南アフリカは、ラグビーが強い。
ラグビーのワールド・カップは、これまでに、
8回開催されているが、南アフリカは2回優勝している。

7)経済力: 国民総生産GDP

日本の国民総生産GDPは、3位→ランクAA。
南アフリカの国民総生産GDPは、33位→ランクD

8)援助力: 政府開発援助ODA

日本の政府開発援助ODAは、5位→ランクA。
南アフリカの政府開発援助ODAはない、→ランクF

「指標」のランキングを「数値」で示す。
ランクAAとA ⇒ 5点、B ⇒ 4点、C ⇒ 3点、D ⇒ 2点、E ⇒ 1点、F ⇒ 0点。
数値で見る、「南アフリカの通知表 2018年」。
1)学力:   日本のPISA2015は、3位→ランクAA ⇒ 5点。
       南アフリカのPISA2015は、参加していない、→ランクF ⇒ 0点。
2)開発力: 日本の国際特許出願件数は、2位→ランクAA ⇒ 5点。
       南アフリカの国際特許出願件数は、30位→ランクC ⇒ 3点。
3)創造力: 日本のノーベル賞の受賞者23人は、5位→ランクB ⇒ 4点。
       南アフリカのノーベル賞の受賞者1人は、21位→ランクD ⇒ 2点。
4)芸術力: 日本のパルム・ドール受賞5は、5位→ランクB ⇒ 4点。
       南アフリカのパルム・ドール受賞はない、→ランクF ⇒ 0点。
5)文化力: 日本の文化遺産17は、11位→ランクB ⇒ 4点。
       南アフリカの文化遺産6は、38位→ランクD ⇒ 2点。
6)運動力: 日本のFIFAのランキングは、60位→ランクF ⇒ 0点。
       南アフリカのFIFAのランキングは、72位→ランクF ⇒ 0点。
7)経済力: 日本の国内総生産GDPは、3位→ランクAA ⇒ 5点。
       南アフリカの国内総生産GDPは、33位→ランクD ⇒ 2点。
8)援助力: 日本の政府開発援助ODAは、5位→ランクA ⇒ 5点。
       南アフリカの政府開発援助ODAはない、→ランクF ⇒ 0点。
合計(40点): 日本は32点。
         南アフリカは9点

レーダーチャートで見る、
南アフリカの通知表 2018年」。


南アフリカは、国土が日本の3.2倍、人口は5千600万人。
経済力/GDPの31位は、鉱物資源が寄与している。
金、ダイヤモンド、プラチナ、それと、
金の精製過程で見つかったウラニウムがある。

USGSがMinerals Yearbookとして、
鉱物の産出量の国別の資料を公表している。
の産出量のランキング 2018年を作成した。


2006年の調査では、南アフリカは、世界一であった。
2018年には、1位中国、2位オーストラリア、3位ロシア。
南アフリカは、9位に落ちている。
1970年代には、世界の70%を占めていた。
鉱床の金の含有率の低下や、採掘する深さが、
より深くなって、採掘コストが上昇して、落ち込んできた。

ダイヤモンド産出量のランキング 2018年。

USGSのMinerals Yearbookから。

2018年は、1位ロシア、2位オーストラリア、3位コンゴ。
南アフリカは5位で、2006年の調査と変わらない。

プラチナ産出量のランキング 2018年。

USGSのMinerals Yearbookから。

2018年は、1位南アフリカで、2位ロシア、3位ジンバブエ。
南アフリカは、2006年の調査でも1位だった。

1886年に、クルーガーズドープKrugersdorpで金が発見された。
このクルーガーズドープからジョハネスブルグにかけて、
金鉱(Gold Mine)やボタ山(Mine Dump)を見かけた。
金鉱。ジョハネスブルグ。

右のやぐらの下から、金を掘り出す。左端はボタ山。

スタンダード銀行。ジョハネスブルグ。

銀行近くの駐車場に止めた。
そして、足早に銀行へ向かいながら、
「一人歩きはしないほうがいい。夜は、近づけない」
と、南アフリカ人から警告された。

銀行での打ち合わせが終わると、
「スタンダード銀行の地下には、金鉱の遺跡がある」
と、言う。
「それは、見たい!
「銀行の地下が金鉱」とは、
金で富を築いたジョハネスブルグならではだ。

エレベータで地下に降りると、坑道が見えた。

坑道は、奥に見える手押し車が、やっと通れる巾だ。

砕かれた岩は、手押し車で運ばれて、
エレベータで地上に運び出される。そして、
金が取り出され、残渣(ざんさ)はボタ山となる。

大きいボタ山。ジョハネスブルグ。

クルーガーズドープ動物保護区から。手前は、カバの沼
ボタ山は、日本の果樹園のように、あちこちにある。

ジョハネスブルグ周辺は、
ダイヤモンドの発見、金の発見、
アパルトヘイト(人種隔離)の舞台だった。
ネルソン・マンデラと、ヘクター・ピーターソンが知られている。

南アフリカの入植は、オランダ人が最初だった(1652年)。
ケープタウンに入植した。が、あとから来たイギリス人に、
占領されて(18世紀)、オランダ農民の子孫ボーア人(アフリカーナー)は、
追われるように、内陸へ移動した。
トレッキング」は、牛車に乗って移動する様を指す。
今は、寝泊まりしながらの山歩き、に使われている。

ボーア人は、ジョハネスブルグにトランスヴァール共和国と、
その南に、オレンジ自由国を建設した。
そのオレンジ自由国でダイヤモンドが発見され(1867年)、
トランスヴァール共和国で金が発見された (1886年)。すると、
イギリス人と利権を争うボーア戦争(1899年~1902年)になった。
イギリスが勝って、トランスヴァール共和国、オレンジ自由国を含めた、
南アフリカ連邦として統合された(1910年)。

アパルトヘイト(人種隔離)政策を進め、
鉱山に白人の職場を確保し、黒人に土地の所有を認めず、
参政権を与えず、所定の地域に隔絶し、
外出には通行証の携帯を義務付け、
教育を施さず、白人との結婚を禁止した。
この人種差別政策は、イギリスから非難された。
1961年に、イギリス連邦から脱退して、南アフリカ共和国にしている。

そして、黒人居住区、ソウェトの蜂起があった。
ジョハネスブルグの市街から、南西14キロメートルのところ。
アフリカーナーの言語(オランダ語に奴隷の言葉が加わった)、
アフリカーンス語を授業に強制しようとした。
白人の言語の強制に、ソウェトの黒人学生が反対してデモをし、
制圧する警官の銃弾で、13歳の生徒、
ヘクター・ピーターソンが倒れた(1976年)。

世界を震撼させた。そして、非難された。
South Africa: History of Racial Conflictsから。
左は姉のアントワネットAntoinette Sithole。

ソウェトの蜂起は、アパルトヘイト政策の撤廃につながった(1990年)。
ネルソン・マンデラは、アパルトヘイト撤廃運動のために、
27年間も投獄されて (1964年~1990年)、釈放された。
全部の民族による総選挙で、黒人初の大統領に就任した(1994年)。
1993年にノーベル平和賞を受賞者している。

政界を去って、エイズ撲滅運動466 64を精力的に進めた。
466 64とは、ネルソン・マンデラの収監番号で、
最初の466は囚人番号、最後の64は投獄された1964年である。
2013年12月5日に亡くなった、95歳。

クルーガーズドープは、野生動物の王国である。
スプリングボック。跳ねながら、逃げる。

クルーガーズドープ動物保護区。
▽オスは、振り向いて、群れを気遣っている。
ラグビーの南アフリカ代表チームの愛称「スプリングボクス」は、
このスプリングボックからきている。

ウォーターバック。のんびりしている。

ライオンは、鉄柵の中にいたから、襲うものがない。

アンテロープ

堂々としている。

眠れるサイ

木陰でのんびり。天国!
周りの白い鳥は、サイが目を覚ますのを待って、寄生虫を食べる。

ダチョウが遠くに一頭いた。
こちらに気が付いたのか、スタコラと寄ってきた。
みるみるうちに近づいてきて、くちばしで、突っつかれた。

窓ガラスで助かった。
餌になるところだった。オッカネェー! 
ダチョウは、襲うものがいないことを、知っている。
自分が一番強い! 縄張りを荒された!
「今後、気を付けます」

南アフリカへ行くと、イギリス連邦The Commonwealthだな、と感じる。
イギリスと共通するスポーツ、ゴルフ、ラグビー、クリケットが盛んである。
それに、コモンウェルス・ゲームズCommonwealth Gamesという、
4年ごとに開くオリンピックの大英帝国版に、南アフリカは参加する。
女王様の息のかかった53の国と地域から71チームが参加して、
メダル争いをし、友好を深め、結束を強めている。

南アフリカは、ラグビーが強い。
ワールド・カップの優勝国を見る。


これまでに、4か国が優勝している。優勝回数は、
1位が、ニュージーランドで、オール・ブラックスが3回。
2位が、南アフリカと、オーストラリアで、2回、
4位が、ラグビーの発祥の地、イングランドで、1回。
優勝の4か国は、イギリス連邦である。

1995年の第3回は、南アフリカで開催された。
第1回、第2回は、南アフリカは、参加ができなかった。
アパルトヘイトが、国際社会から非難されて、締め出されていた。

第3回は、アパルトヘイト政策が終わり、
大統領となったネルソン・マンデラは、
ラグビーで、国民を一つにするために、
南アフリカでの開催にこぎつけた。

そして、念願の初参加ができた。
第2回の覇者オーストラリアを破り、
準決勝ではフランスとの死闘を制し、
決勝では、第1回の覇者ニュージーランドの、
名門オール・ブラックスを延長戦で破った。
ネルソン・マンデラの要望に応えることができた!
南アフリカは、初開催で、初参加、初優勝である。

ネルソン・マンデラ大統領

「ネルソン・マンデラ氏 写真特集」から。
歓喜に湧く5万人のソウェトのスタジアムに、
白人のスポーツであるラグビーの、優勝チーム、
スプリングボクスの緑のユニフォームと帽子で登場した。
黒人が、決して身に着けることがなかった白人の衣装である!
主将のフランソワ・ピエナーに、優勝カップを手渡して、祝福した。
で一丸となった喝采は、南アフリカの人種差別の終わり、
虹の国」の結束を示す、劇的なできごとだった。

第9回のワールド・カップは、日本で開催される、2019年9月。
イギリス連邦、フランス以外では、初めてのアジアでの開催。
3勝目を目指す南アフリカの組み合わせはB組。ここには、
4勝目を目指すニュージーランドがいる。

南アフリカは、
金、ダイヤモンドの発見、ボーア戦争、
アパルトヘイト、ヘクター・ピーターソンの犠牲、
ネルソン・マンデラの27年間の投獄、初の黒人大統領、
ラグビーで優勝、人種と文化の「虹の国」に、
戦争を経て、融和した歴史がある。
それに、自然と動物王国。
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