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正しい物差しを選ぶ

先日ガンで亡くなった、ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が10年前に書いた論文「プロフェッショナル人生論」を読んでみたが、その深さに驚いた。

教授は、人生について、以下の3つの問いを出している。

①どうしたら幸せなキャリアを歩めるのか
②どうしたら伴侶や家族との関係をゆるぎない幸福の源にできるか
③犯罪者にならないためにはどうしたらいいか

クリステンセン氏が注意するように呼びかけているのは「近視眼的になるな」ということ。

人は、自分の時間やエネルギーを、無意識のうちに「最も目に見えやすい成果を生む活動に投資しがち」であり、「かつて一番大切だと言っていたものに、だんだんと資源を投じなくなっていく」という。

つまり、自分の仕事やキャリアに目が行き過ぎて、伴侶や子どもたちに目を向けなくなりがちなのだ。

また、善か悪かを判断する際に、「この状況なら一度くらい許されるだろう」と思いがちなことも指摘している。しかし、そうした例外的な状況は果てしなく続くと、クリステンセン氏は警告する。

そして、論文の最後には、自分がガンと診断されたとき(今から10年前)に感じたことが書かれている。

「自分がそれなりの影響力を持っていることを承知している。しかし、がんになってみて、その影響力がいまの私にとっていかに重要でないかがわかったのは興味深かった。そして、神が私の人生を評価する物差しは、お金ではなく、私が関わりを持った一人ひとりであるという結論にたどり着いた。

それは、我々みんなにいえることだと思う。自分がどれだけ高い名声を得られたかに気をもむことはない。そうではなく、どれだけ他者がよりよい人間になるように助けたかを気にすべきなのである」(p. 137)

クリステンセン氏がいうように「正しい物差し」を選びたい、と感じた。

出所:ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2020, April, 130-137.








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