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食うことと、飛ぶこと

『かもめのジョナサン』を訳した五木寛之氏は、解説で次のように語っている。

「この物語主人公であるジョナサンというカモメ君は、実際、相当の頑張り屋さんなのである。しかも頭もよく、向上心もつよい。おまけに「愛」することの意味までもちゃんと知っている大したカモメなのだ。そのジョナサンが、他の仲間のカモメたちを見る目に、どこか私はひっかかったのだった。ジョナサンにとっては、食うことよりも飛ぶことの方が大切なのである」(p.135)

僕も、ほぼ同じ違和感を覚えた。

食うこと」と「飛ぶこと」、どちらが大事なのか。

もちろん、世の中には、飛んでいる人もいる。芸能人、スポーツ選手、芸術家、小説家。みな、自由に飛んでいる(ように見える)人たちである。それに対して、毎日食うために働いている人がいる。

『かもめのジョナサン』を読むと、食うために働いている人を馬鹿にして、飛んでいる人を賞賛しているような気がしてくるのだ。

この小説を読み、食うために働く中で、いかに飛ぶかを考えることが大切なのではないか、と感じた。

出所:リチャード・バック(五木寛之訳)『かもめのジョナサン』新潮文庫

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