memories on the sea 海の記録

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気候変動で運命が決まった   欧州北海マダラ

2009-09-22 14:57:38 | 水産・海洋
北海からマダラが消滅することが運命つけられた。その理由は乱獲の結果のみではなく、気候変動要因によることを研究者が発見した。(英Time online 10 日)

この40年間で北海の海水温は1度上昇、このことが繊細な生態系に壊滅的な影響を与える。マダラの稚魚が捕食するプランクトンの種類が冷水系から移動してしまった。マダラの資源減少は被捕食者であった蟹とクラゲの爆発的増加を招いている。食物連鎖の最上位にある捕食者(マダラ)の減少はヒラメやカレイ類などに影響を与えている。こうした魚の稚魚が蟹に食べられてしまうのだ。

北海の温暖化の蓄積的結果についての詳細が王立生物学協会から発表されている。プリムス大学の王立研究調査協会のRichard Kirbyとフランスの国立科学調査センターの Grégory Beaugrandは厳しい漁獲制限や操業禁止措置だけでは北海マダラの救済には不十分であるという。とはいえ、漁獲規制は魚を極力生きながらえさせるために必要と言う。研究者は表層にいるまだの餌となるコペポーダ・プランクトンの分布について研究している。過去40年間でコペポーダは60%以上減少しているという。Kirkby 博士は「マダラの子供が3月から4月に捕食するプランクトンは冷水を好み、北海の温暖化によりさらに減少して来ている」 「このコペポーダは年間に1200kmから30km移動する、それにかわりプランクトンがやって来るが今年はそれが遅い。これはマダラの稚魚にとってはよくない。マダラは単純にプランクトンを追って北上しない、それは水深が深いためである。

Kirkby博士は「最上位にある捕食者としてのマダラの減少が生態系にとって滝の流れのような影響を与えている」という。「温度上昇はプランクトンから魚やクラゲ、そして動物類も含めたすべての食物連鎖に影響している。このことはカニ、ウニ、二枚貝、ムール貝、ホタテガイにも及ぶ」  「ヒラメやカレイ類も減少して来ている。このことは食物連鎖網に間接的なつながりのあるものかもしれない」 「もし、地球温暖化が予測通りに進めば、マダラは北海の商業魚資源からは必然的に消滅するであろう。そして新しいマダラの住み家はバレンツ海という事になるかもしれない」と博士はいう。「だからマダラのような魚の生き残りのためには漁獲による死亡率を低減させる規制が必要だ」

英国政府の資源保護機構のNATURAL ENGLANDによるべつの報告では、四の3の消費者は環境破壊をしない形で漁獲された魚に支出したいという。 調査によれば英国の魚資源20種のうち、四分の1だけが持続可能漁獲であり、北海の四分の3の魚は廃棄されるという。その理由は目的以外の魚であったり、基準以下のサイズか漁獲枠を超えてしまったものであるという。漁獲方法によっては海の生物に影響を与えるという。しかし英国漁業の中には環境にやさしい方法で漁獲を行っているものもある。手釣りの場合は目的外の魚を釣ることもすくないし、漁具による衝撃を抑えることが可能である。 こうした漁獲による魚にあっては漁業者が高値で販売できるような仕組みがあれば、資源保護に有効ではないかとNATURAL Englandが論じている。同時に欧州水域全体にかかわるECの漁業政策が必要であるが、その対策がなされていないことに対する批判があがっている。