ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

何の論証もなく勝手なことをほざかれていては、東洋医学全体も迷惑だろう(本多勝一『はるかなる東洋医学へ』)

2023-09-04 00:00:00 | 書評ほか書籍関係

このブログで複数回批判している本多勝一著『はるかなる東洋医学へ』は、ほんと真偽の怪しい、あるいは明確に間違っている意見を無責任に拡散している本と思います。たとえばつぎのような記述はどうか。


 そこで「面白い説」とは,こうです。いわく「人体に近い生物の蛋白質ほど人体に悪く,遠いものほど健康によい」。
 これは東洋医学系の分野で聞いた説ですが,これによると人体に一番近いのは人間,すなわち人肉ですから人肉が最悪となる。その次はサルなどの霊長類の肉が悪い。次いでは他の哺乳類だが,これも人間に遠いほうがいい。となるとウシやシカよりカモノハシやセンザンコウの方がいいかな。さらに遠くなると鳥類になる。つまりウシよりキジやカモの方がよろしい。そして魚類。これは脊椎動物の中ではとくによろしい。カニ類や貝類はもっといい。(文庫版p.161)

おいおいですよね。最初は


面白い説

だったのに、途中からそれが正しいものとして扱われてしまっている。そもそも


人体に近い生物の蛋白質ほど人体に悪く,遠いものほど健康によい

というのは事実なのか。なんら証拠を書いていない。これ、人肉食への嫌悪とたんぱく質の吸収の問題を(意図的に?)混同していませんかね。だとしたら非常に悪質な詭弁とデタラメということにならないか。だいたいこのような新説(珍説)を出していて、


東洋医学系の分野で聞いた説

などとその説の出所をあいまいにしているということ自体お話になりません。で、これは私の憶測でしかありませんが(ただし、これはかなり信憑性は高いと自分では勝手に考えています)、この説を唱えたのは、おそらく本多氏がやたら依拠するS氏(≒境信一氏)じゃないですかね。私がそう考えるのは、この説が、S氏(≒境氏)の他の言い草に酷似していると考えるからです。S氏(≒境氏)の主張する


「漢方薬には副作用がない」というヘンな神話がありますね。この”安全神話”をつくったのも西洋医学の側ですよ。もともと「副作用」という概念が漢方にはないのですから。あるとすれば「誤用」であって、病態(証)に合っていれば副作用的なものなどないし、合っていなければその薬の効果が別の形で出てきます。それは漢方薬の誤用ですから、副作用ではない。

とか


この心臓は決して心配するほどのことではないという。要するに、これはからだ全体の中における諸問題が、単に心臓という部分に対して警戒警報の信号を送ってきた「結果」であって、原因は心臓と関係ないというのである。


実に喜ばしいことに、わずか二回の治療によって、この不整脈は消えてしまった。しかしS先生は言う。―「これは私の力というよりも、患者たる本多さんの方によるところが大きいのです」

どういうことかというと、「信州の山ザル」たる私の身体はあまり「文明」に毒されていない。一種古代人に近い状態にあるので、東洋医学の側からすれば大変扱いやすく、単純だから効果も表れやすい、と。

あてにならない人間のデタラメな話を真に受けたり何ら批判しないから、こんな無様で無残な結果になる(本多勝一著『はるかなる東洋医学へ』)

といった言い草と、このようにこれといった証拠もなく奇怪な説を唱えるというあたりが非常に似ている。本多氏が、この説の出所をあいまいにしているのも、あんまりS氏(≒境氏)に依拠して書いていると、読者が明らかに不審に感じるからではないか。つまりは、高世仁のデマ自慢を補強するために、NHKが、故意に雑誌「AERA」記事や西村眞悟による国会質問を切り捨てたのと同じです。産経と「AERA」と国会質問が同日にあって、その日に韓国へ取材で渡航する高世がそれらの件を知って、急遽取材内容を変更したなんて、視聴者だって多少なりとも不審なものを感じるのではないか。それを防ぐための措置でしょう。どんだけ高世の愚劣な政治工作に協力をしているんだか。本多氏のやっていることは、この時のNHK並みの愚劣さではないか。仮にこれが全然関係ないところが出典だとしても、こんなデタラメな態度で書かれてはどうしようもない。

高世仁の幼稚なデマ自慢を平然と垂れ流すNHKの馬鹿さとクズぶりに本気であきれ返る

で、さらに珍妙なのは、次のような主張です。


‥健康−真の意味での「元気」のためには,必要なものは身体が自然に欲する,という原則が東洋医学的見地である。したがって,野菜に全く関心がない状態は,すでに身体に本来あるセンサーが狂ってしまった結果だ,とS氏は語る。だから例えば漢方薬にしても,薬草によって苦かったり渋かったりさまざまな味があるが,センサーの狂っていない人が病気でそれを飲むとき,身体が自然に欲しているので拒否反応を起こさない。拒否反応を示してどうしても飲めない人は,センサーが狂っているとみていいので,まずはそこから治すべく体質改善をしてゆく必要がある。(文庫版p.112~113)

これもねえ、確かに私も、肉を食べすぎたときは野菜を食べたくなるということはありますが、


センサーの狂っていない人が病気でそれを飲むとき,身体が自然に欲しているので拒否反応を起こさない。

とまで断言していいのか。断言できるほどのデータがあるのか(ていうか、そもそも苦くて飲めないというのなら、コーティングして飲めばいいじゃんと思いますが、それは「反自然」ということになるということか)。「そうあるべきだ」とか「そうであってほしい」というような話ならともかく、客観的にそういうことが言えるのか。いろいろな反例もあるはず。たとえば玄米と白米の関係はどうか。日本人が脚気に苦しんだのは玄米でなく白米を食べたからというのがもっぱらの原因であるようですが、だったら当時の日本人は、なぜそうだったのか。だいたい本多氏自身


塩分が強すぎるものを大量に食うために,信州人は脳卒中が全国で一,ニを争う死亡原因だったこと。しかし保健活動の減塩運動が奏効して脳卒中が減少し,それが平均余命の向上に大いに貢献したこと。(文庫本.p163)

と書いている。だったらつまりは、信州(長野県)の減塩は、保健活動というすぐれて近代かつ「反自然」な行政主導の運動で実現したわけであり、S氏(≒境氏)と本多氏が語る「センサー」なんてものは実体がないか、あったとしたって実に役に立たない代物であるということになります。なおWikipedia脚気には、


戦後になると、栄養改善政策による栄養状態の改善や保健薬としてのビタミン剤の普及などにより、脚気死亡者数は減少していった。1956年(昭和31年)に1,000人を下回り957人、1965年(昭和40年)に100人を下回り92人、1970年(昭和45年)には20人と特殊希少疾患以下となり、脚気は消滅状態となった。

とあり、脚気がなくなった理由として、社会政策とビタミン剤普及が挙げられているわけであり、本多流にいう「反自然」こそが、脚気を日本人から救ったことが指摘されているのは、本多氏のお考えとしてはどんなもんですかね? 詳細は「日本の脚気史」を参照してください。いずれにせよS氏(≒境氏)と本多氏が語る「センサー」などより保健活動のほうがはるかに役に立つし、頼りになるというものです。

で、私がこの本を読んでいて、「ひどいなあ」と苦笑したのが、こちら。本多氏のお孫さんの話です。


本来の健康な感覚などと言っても平凡なことです。変な食物で汚染されていない子どもなら、たいてい備わっています。第三章で紹介した「生まれたばかりの赤ん坊Mちゃん」の例を見ましょう。Mちゃんはいま(一九九六年現在)五歳。この夏、両親と三人で和歌山県の海岸へ遊びに行きました。旅館の夕食はごちそうです。初日はMちゃんも大喜びでみんな食べました。しかし二日目には、やはりごちそうでも半分ほど残した。三日目になると、ごはんと漬物ていどしか食べず、「ごちそう」的なおかずはほとんど残してしまいました。親が教えなくても、ごちそうばかりでは毒になることをセンサーが知っていて拒否したのです。(文庫本p.171~172)

いや・・・それ単に本多氏のお孫さんが、体調を崩しただけでしょう(苦笑)。単なる食べすぎとか、寝冷えとかの話です。だいたい5歳くらいの子どもが、連日そんなにごちそうなんぞを食べていては、胃腸にも負担でしょう。ともかくそんな程度のことに「センサー」なんてもったいぶる必要はない。子どもがよそに出かけて体調を崩すなんてのは、珍しくともなんともないことです。何をそんな程度のつまらんことにこんなことを牽強付会にこじつけて喜んでいるのか(呆れ)。はっきり言って本多氏は、「センサーキチガイ」と言われても仕方ないのではないか。こんなくだらない与太(はい、はっきり書きます。非常にくだらない与太です。デタラメにもほどがある)に付き合わされて、本多氏のお孫さんも、迷惑にもほどがあるというものです。現在お孫さんもすでに30歳を超えているはずで、さすがにこのくだりには閉口しているのではないか。いや、本多氏同様のセンサーキチガイになっているのか? その可能性は低いとは思いますが、どうか。それにしてもこんな話を本多氏に伝えたらしい本多氏の子どもさんたちも、どんだけセンサーキチガイなんだか。呆れ返るにもほどがあるというものです。まったくすべてS氏(≒境氏)の与太を真に受けているからこんな馬鹿げたことになるのです。

ほかにもこの本の内容は、ひどいにもほどがあるということが多々書かれています。それらは次以降にとっておきますので乞うご期待。ともかくこんな本まともな東洋医学の関係者からしても迷惑ではないか。大要東洋医学に副作用はない、なんて、まともな人間の主張ではないし、それを吹聴・拡散する本多氏の罪は重い。ほんとS氏(≒境信一氏)って、東洋医学者を名乗る詐欺師だと思います。S氏(≒境氏)といい、こんな愚劣な与太を拡散する本多氏といい、ほんと迷惑な人たちです。

なおこの記事は、作成中に間違えて途中でアップしてしまい、いつも拙ブログの記事に「いいね」などを押してくれるmamazones さん(みゆきな日々)がリアクションを押してくださいました。その後記事を一度閲覧できない状態にしてしまいましたので、ご迷惑をかけてしまいました。mamazonesさん申し訳ございません。遅ればせながらお詫びを申し上げます。


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