ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

21世紀になっての米国大統領を選ぶ選挙は、民主党のほうが獲得票数は多い(が、双方とも3勝3敗で五分)

2021-01-20 00:00:00 | 社会時評

2021年1月20日、米国の大統領が交代します。今回は、いろいろ一筋縄でいかない政権交代となりましたが、まずは2020年の選挙での選挙人獲得の図をご覧ください。図は、Wikipediaより。

この図を、大統領選挙ごとにご紹介していますが、基本的に民主党が強いのは東部と西部、五大湖周辺、共和党は南部ほかが金城湯池です。民主党が勝った選挙でも、共和党の勝った州のほうが面積は大きくなります。下の数字は、同じくWikipediaからいただきました。

獲得選挙人 民主党:306        共和党:232
勝利地域数     25 + DC + NE-02      25 + ME-02
得票数       81,283,074         74,222,959
得票率       51.3%           46.8%

米国の大統領選挙は、原則各州の選挙人が、勝った候補に入れますが、Wikipediaの注釈を引用すれば、

>メイン州とネブラスカ州では、州全体での勝者が選挙人2人を獲得し、残りは州内の各下院選挙区に振り分けられ、選挙区単位での勝者が選挙人各1人を獲得する。

ということになります。上の図での、赤と青の地図の中の、青と赤の①とはそういうことです。

この選挙人制度というのも、さすがに時代にそぐわない部分が大きくなっていますので、廃止の動きというのもあるようです。こちらの記事を。

「選挙人」実質廃止の動き 得票総数で勝敗を―15州と首都が協定加入・米大統領選
2020年11月16日18時05分

 【ワシントン時事】米国で大統領選の勝者を州単位の選挙人獲得数でなく、全国の得票総数で決めようという動きが広がっている。これまでに全米50州のうち15州と首都ワシントンが賛同。トランプ大統領も2016年の大統領選で、全国得票で対立候補のクリントン元国務長官を下回りながら、選挙人獲得数で勝って当選を決めており、制度変更が実現すれば、大統領選の様相が一変することになる。

 西部コロラド州で大統領選と同じ今月3日に行われた住民投票で、同州の「全国一般投票州際協定」加入が正式に決まった。加入に関する州法は昨年成立していたが、多数の反対署名が寄せられたことから、改めて住民投票を実施。52%が加入に賛成票を投じた。
 協定に加わった州では大統領選で、州内の集計結果にかかわらず、全米の得票総数トップの候補がその州に割り当てられた選挙人を獲得する。ただし、発効するのは加盟州の選挙人の合計が、選挙人(538人)の過半数に当たる270人に達してからだ。
 協定の推進団体によると、ニューヨーク、カリフォルニア、イリノイなど大規模州も既に加入しており、コロラドを含めると、加入州の選挙人の合計は196人。加入州がさらに増えて発効すれば、全米の得票でトップの候補が自動的に選挙人の過半数を得ることになり、選挙人制度は実質的な意味を失う。
 ただ、共和党には慎重な声が強く、協定発効への道筋が見えているわけではない。NBCニュースによれば、反対派は選挙人制度が実質的に廃止されれば「候補者は(有権者の多い)都市部での運動に集中し、小規模州の声を届けられなくなる」と主張。都市部に強い民主党が結果的に有利になると懸念する。
 実際、今回の選挙戦でもトランプ氏とバイデン前副大統領は、支持が伯仲する「スイング・ステート(揺れる州)」での運動に重点を置いた。それでも推進団体幹部は「(制度を支援するのは)米国内の他の選挙と同様、最多の票を得た候補が勝つべきだという単純な理由からだ」と述べ、党派的な動きをけん制する。
 今回の大統領選では、勝利を確実にしたバイデン氏が史上最多となる約7900万票を獲得。得票率でトランプ氏に約3.6ポイントの差をつけた。

上の記事で

>ただ、共和党には慎重な声が強く、協定発効への道筋が見えているわけではない。NBCニュースによれば、反対派は選挙人制度が実質的に廃止されれば「候補者は(有権者の多い)都市部での運動に集中し、小規模州の声を届けられなくなる」と主張。都市部に強い民主党が結果的に有利になると懸念する。

とありますように、現状選挙人制度は非都会(≒田舎)に強い共和党に有利に働いているように考えられます。事実、これも私が大統領選挙のたびにお見せしている表をご覧になってください。

20世紀最後の選挙、21世紀最初に就任する大統領を選ぶ選挙である2000年の選挙から、昨年2020年の選挙まで、6回の大統領選挙が執行されまして、民主・共和両党とも3勝3敗の五分の勝敗ですが、共和党の候補が得票数で民主党候補を上回ったのは、実は2004年の選挙しかないわけです。実に2回も、総得票数で下回った共和党候補が選挙で勝っているという事態になっている。

1980年代までは、相手候補に10ポイント以上の差をつけて勝利する、私の言葉でなら「一方的勝利」の結果がありましたが、現在は時代が違うので、そのような選挙は成立しにくくなっています。5ポイント未満の勝利である「僅差の勝利」、あるいは総得票数では下回る「論外の勝利」も複数回出ています。ここ最近の米国は、議会の選挙はともかく、大統領選挙では、わりとリベラル系、民主党系が、僅差ではあっても多くの票を集めてはいるようです。

それにしても上に記した確定票数を見ても、なんだかんだいっても現職大統領であるトランプ氏は、7400万票を超える票数を得たわけです。これは馬鹿にしたものでもありません。実際、これは日本の安倍晋三も似たようなものでしょうが、はたして新型コロナウイルスの関係がなければ、トランプ氏はより有利に選挙戦を戦えたのではないか。勝ち負けはわかりませんが、バイデン氏がより苦戦したのは間違いないところだと思います。あれだけ無茶をしても、これだけの票を獲得できる力があったと解釈すべきだと私は考えます。

ところでバイデン氏は、ジョン・F・ケネディ以来のカトリックの大統領ということになります。非白人の大統領が誕生したり、あるいは女性候補が落選したとはいえ勝った候補よりたくさんの票を得た歴史がすでにあるのですから、カトリック、あるいは非キリスト教徒や無神論者が大統領になったっておかしくはない・・・いや、カトリックはともかく非キリスト教徒や無神論者の大統領というのは当分不可能でしょうが、ともかくこれも(少しは?)歴史が変わったということなのでしょうね。ちなみにバイデン氏はアイルランド系で、その関係でカトリックということのようです。ロナルド・レーガンもアイルランド系で、父親はカトリックでしたが、母親の影響でプロテスタントの信仰を選びました。これが、彼が大統領になれた淵源だったということでしょう。

なおレーガンと同じカリフォルニア州知事というと、アーノルド・シュワルツェネッガーやジェリー・ブラウン、シュワルツェネッガーの前の知事であるグレイ・デイヴィスらもカトリックです。オーストリア出身のシュワルツェネッガーは大統領になる資格がないし、デイヴィスは大統領にはなろうとは思わなかったかもですが、ブラウンは数回大統領選挙の民主党候補にチャレンジしました。彼が大統領になれなかった理由の1つは、あるいは彼がカトリックだったこともあるかもしれません。これからの米国は、スパニッシュが人口を増やしていくでしょうし、彼(女)らはその多くがカトリックであるはずで、そのことは今後の米国の政治の動向にも少なからぬ影響があるでしょう。このあたりはこれからも私も見守っていこうと思います。いずれにしても、白人もプロテスタントも、以前と比べると我が物顔をする余地は今後小さくなっていくのかもですが、といって黙っているわけでもないはず。トランプ的なものは、今後もまた大きくなっていくかもしれません。そういったことも、ますます注視しなければいけないと思います。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ソウル・大田・扶余・釜山の... | トップ | 塚本幼稚園が休園(事実上廃... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (破れかぶれ)
2021-01-21 01:05:24
ヤフーコメント欄は「アホ」「ウソっパチ」「ネトウヨの願望」ばっか。
「暴徒どもの議事堂乱入で、トランプ側近が次々にトランプ弾劾に走る様」全世界に晒されているのに。
ヤフーコメント欄のアホ共は「暴徒どもの議事堂乱入」予備軍だ。
返信する
>破れかぶれさん (Bill McCreary)
2021-01-22 20:32:26
まあ仰せの通りなんでしょうね。まったく頭の弱い連中です。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。