ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

日本の自民党よりオーストラリアの自由党のほうが、よっぽどまともな政党だと思う

2015-09-16 00:14:55 | 社会時評

オーストラリアで首相が代わるそうです。

>アボット首相退陣=与党党首選でターンブル氏勝利―豪

時事通信 9月14日(月)20時59分配信

 【シドニー時事】オーストラリアの与党・自由党は14日夜、議員総会を開き、党首選挙の結果、通信相を辞任してアボット首相に党首交代を求めたマルコム・ターンブル氏(60)を新党首に選出した。
 国家元首である英女王の代理を務めるコスグローブ連邦総督の任命を経て、近く次期首相に就任する。党首を務めてきたアボット首相は支持率低迷が響き、就任から2年で退陣に追い込まれた。
 ターンブル氏は同日、「指導者交代が必要」と党首交代を突如として要求。アボット氏は求心力回復を狙って党首選に踏み切ったが、44対54で敗れた。
 アボット政権は2013年9月に発足。景気回復の遅れや緊縮財政策が国民の不評を買った。総選挙を来年に控え、アボット政権の支持率は低迷し、交代論が噴出した。
 同性婚の合法化に反対する保守派のアボット氏に対し、容認を訴えるターンブル氏はリベラル層にも人気が高い。「野党・労働党の支持層も取り込める」との期待感があり、支持が広がった。
 ターンブル氏は党首選後に記者会見し、「守りに入ってはならない」と述べ、経済回復に向け積極的に取り組む意向を示した。 

日本だったら国会で首相指名選挙を行うことになりますが、オーストラリアは最大与党党首がそのまま首相になるのが慣例ということで、氏がオーストラリアの新首相になります。

さてさて、この件で産経新聞が妙に残念がっているのが気になります。

>2015.9.15 01:29更新

【豪首相交代】
日本政府高官も「知らなかった…」と驚愕 安倍首相と「ウマが合う」朋友の降板に戸惑い

 オーストラリアのアボット首相が14日の与党党首選に敗れて退陣することになったことは、日本政府にとって“寝耳に水”だった。アボット氏の首相就任以来、安倍晋三首相とは個人的な信頼関係を深めてきただけに、今後の日豪関係への影響を懸念し、困惑の声が広がった。

 日本政府高官は14日夜、アボット氏退陣の一報に「辞めるのか。知らなかった」と驚きの表情を見せた。

 安倍首相とアボット氏は「ウマが合う」関係といわれ、安倍首相が昨年7月にオーストラリアを訪問した際、特別に同国の政府専用機で鉄鉱石の採掘現場を視察したほか、昨年9月の国連総会出席時には、米ニューヨークのすし店で首脳会談を行ったほどだ。こうした首脳間の親密な関係をもとに日豪は「準同盟関係」を宣言し、長年の懸案だった経済連携協定(EPA)も締結するなど、両国関係は飛躍的に深化しただけにショックは大きかった。

 次期首相のターンブル氏については「あまり情報がない」(官邸筋)のが現状。日本政府としては、当面ターンブル氏の政権運営の方針を慎重に見極める方針だ。

>日本政府にとって“寝耳に水”だった。

いや、前の時事通信の記事では、

>アボット政権は2013年9月に発足。景気回復の遅れや緊縮財政策が国民の不評を買った。総選挙を来年に控え、アボット政権の支持率は低迷し、交代論が噴出した。

とありますし、アボット氏のWikipediaの記事にも、

>2015年1月には旧宗主国に当たるイギリスのフィリップ (エディンバラ)への勲章授与を独断で決めたことをきっかけに党内の不満が噴出し、野党だけでなく与党内部からも「時代錯誤で権威主義」と批判を浴びた。経済政策や指導力へも疑問が高まり、2月6日に自由党党首からの解任動議を提出される。9日には動議を否決したものの、賛成39、反対61と賛成票が4割近くになったため求心力は低下した。

との記述があります(上の引用文は、リンクと注釈の番号は削除)。正直彼の党内基盤はかなりやばい状況だったと考えられます。いまさら特に困惑したりあせったりするようなことではないんじゃないんですかね。この政府高官氏の発言が事実だとして、単にこの人が嘘をついているか勉強不足なのかのどちらかでしかありません。

だいたいアボットが安倍の「朋友」なんて、ほんとなんですかね(笑)。安倍や産経は本気でそう考えているのかもですが、アボット氏が本気で安倍みたいな人間を信頼しているとも思えませんけどね(笑)。

余談ですが産経は、最近の中国経済の減速を喜んでいる(?)かのような記事を載せていますが、当の産経に、アボット退陣の大きな原因が中国経済である旨の記事が掲載されています。

>2015.9.15 21:39

ターンブル豪首相が就任 経済政策立て直しが急務

(略)

豪統計局が今月上旬に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)は、前期比0・2%増と、1~3月期の同0・9%から減速が鮮明になった。失業率は6%台で高止まりし、労働組合が基盤の野党・労働党が支持を得やすい状況が続く。

 豪州経済の減速の主因は、最大の輸出相手国である中国が予想を上回るペースで資源需要を減らしていることだ。主力の鉄鉱石輸出価格は昨年、約50%も下落した。ただ、問題は中国経済にあり、「豪州の首相が何とかできるものではない」(英タイム誌)。

(後略)

産経が大好きである(らしい)アボット氏(もっとも先方は、日本の右翼新聞なんかから好かれても迷惑でしょうが)が、中国経済の減速で政権を失ったことを産経はどう考えるんですかね。これはこれで面白いところではあります。

それにしても、こういったことを産経が露骨に残念がるというのもなんとも面白いですよね。私みたいな個人ブログの管理人がどれくらい米国やフランスの大統領選挙、英国やドイツなどの総選挙の結果を喜んだり残念がったりしたってそれは個人の勝手ですが(だって、私はなんら影響力はないですから)、一応は日本という経済大国で全国紙であり、また現与党や現首相を絶対支持する姿勢を取ることで、部数はともかく独特の影響力を持つ新聞がこのような態度を取るのもどうかです。だって、外国で行われた、しかも政党内での党首選であり、これ日本がどうこうできることじゃないじゃん(笑)。

ていうか、産経新聞が外国の大統領や首相を評価する大きな基準というのが、「安倍晋三といい関係にあるか」とか「中国に強硬姿勢か」とかいうことですからねえ(苦笑)。安倍だっていつまでも日本の首相をしているわけではないし、中国への強硬姿勢なんて外国の知ったことじゃないしね(笑)。

いずれにせよ、ここで興味深いのが、オーストラリア自由党の議員たちの現在の党首(同時に首相)への態度ですね(笑)。過日の自民党の総裁選で、安倍に対抗する候補が出ませんでした。そこにはいろいろ理由がありますが、つまりは安倍に遠慮したとか、安倍とことを構えたくないとかいう話ですよねえ。まあ実際には、もう少し機が熟したら安倍下ろしをする、ということなのかもですが、ともかく本来なら立候補すべき候補者が出るにいたらなかったということは、やはり安倍やその周辺の連中の考えとしては、「我々に逆らうな」っていう考えがあるんでしょうね(笑)。

それに対してオーストラリアの自由党は、現党首・首相のやり方について、異を唱えて、それで引きずり落とすことも可能なわけです。しかしそういったことは、現自民党では考えにくい。もちろん安倍とアボットの党内での状況の違いもあります。しかしそれにしての安倍への遠慮がひどい。いまの自民党の議員たちが、安倍晋三のことをそんなに「優秀」だとか考えているわけじゃないでしょうけど(まあ馬鹿と考えている人が多いでしょう)、やはり安倍のバックにいる「日本会議」とかが自分たちの選挙の際に役立つとかいろいろ考えているんでしょうね。詳しいことは知りませんが。

それでそうこう考えると、オーストラリアの自由党のほうが、日本の自民党よりよっぽどまともですよね。少なくとも人気がない現党首(首相)に異を唱えて引きずりおろせるんだから。日本では、現段階では安倍に大してそのようなことは出来ないでしょう。安倍はまだ、それなりの内閣支持率はあるからアボット氏のように下ろされるということはないにしても、今後安倍に対してきっちり異を唱えることのできる自民党の議員がいつ現れるか、あるいは現れないのかどうなのか、いろいろ興味深いものがあります。いずれにせよ、野田聖子がろくに推薦人を集めることもできなかった日本の自民党よりオーストラリアの自由党のほうが、党内民主主義という観点から見てもよろしいのは疑いないところです。あらためて自民党とか日本とかのどうしようもなさにうんざりします。

そもそも論として、アボット氏もターンブル氏も、安倍晋三なんぞよりはるかに優秀ですよね(当たり前)。そんなのは、日本語版Wikipediaの、彼らの経歴をざっと読むだけでわかります。安倍が岸信介の孫でなくて日本の首相になれる人物だと本気で考える人はあまりいないでしょうが(岸の孫で安倍晋太郎の息子でなければ、安倍なんて単なる馬鹿です)、アボット氏もターンブル氏もそういう基本的な点で全然違います。そう考えると、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ的などうしようもない人間です、安倍は。ブッシュだって、親父がジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュでなければ大統領なんかになれるわけがない。しかし米国だってブッシュの息子の次は、オバマとか優秀な人間が大統領になりましたが、安倍の次は・・・。安倍よりははるかにましでしょうが、あまり人材はそろっていないなあと思います。そう考えると、オーストラリアやオーストラリアの自由党のほうがやはり日本や日本の自民党よりだいぶましなようです。もっともこれは、安倍晋三のような人間を再度首相にする日本が異常なだけですが。

今日の記事も、bogus-simotukareさんの記事を参考にしました。感謝を申し上げます。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 認知症あるはそれに近い状態... | トップ | 大して話題になっていないが... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
脱 国民洗脳なら副島隆彦の学問道場 (脱 国民洗脳なら副島隆彦の学問道場)
2015-09-16 16:11:42

日本はアメリカの属国、つまり家来国家である! アメりカの洗脳広告代理店、電通による、テレビ、新聞、週刊誌、ラジオ等の、マスコミを使った偏向報道で、見事な国民洗脳をされ続ける日本人は、自分自身の脳、すなわち思考そのものを点検せよ! さらにネット洗脳システムのツイッターやフェイスブックの利用、まとめサイトには注意が必要である。 我々はハッ、と気付いて、常に注意深く、用心して、警戒し、疑いながら生きれば、騙されることはない。 すべてを疑うべきなのだ!
返信する
イギリス労働党もまともでした (晩年維新)
2015-09-16 17:39:20
コービン圧勝に正直驚きました。ブレアライトの常軌を逸したコービン批判で最終的には右バネが効いてバーナム辺りに落ち着いちゃうのかなと思ってましたから。イギリス労働党もようやくニューレイバーの呪縛から解き放たれて、より平等に根ざした本来の左派政党の姿に戻りそうです。左派色が出てくることをマイナスと捉える向きもあるでしょうが、ニューレイバーの中道路線が行き詰まってるのだから、より右に行くか左に戻るかで、党員、支持者が左を選択したということでしょう。物凄くまともな判断だと思います。右翼野田のあとにこれまた右派の岡田しか選べない民主党っていう政党との懐の深さの違いを感じました。
返信する
名前が… (反維新)
2015-09-16 17:41:38
入力ミスで晩年維新になってました。反維新です。失礼致しました。
返信する
>晩年維新さんじゃなくて反維新さん (Bill McCreary)
2015-09-17 06:09:02
あ、すみません。タイトルは気になさらないでください(笑)。

ブレアは、これでは労働党は沈むといっていますね。まあどうなるかは今後ですよね。まえにも記事に書きましたように、スコットランドは労働党が強くて、そこでスコットランド国民党が圧勝したことが前回選挙での労働党敗北の大きな要因ですから、ここをどうするかが労働党の試金石だと思います。

>ニューレイバーの中道路線が行き詰まってるのだから、より右に行くか左に戻るかで、党員、支持者が左を選択したということでしょう。

中道路線で戦えると考えればそっちを選んだでしょうからね。おっしゃるように、辻元清美が日本の民主党のトップになれるかというと現段階慣れなさそうですから、そのあたりは労働党のほうが選択肢の幅が広いということでしょう。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。