ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

想像をはるかに超える悪い事態だ

2012-01-14 02:53:00 | 社会時評
非国民通信さんで興味深いデータを知りました。

>糖尿病:中小企業、患者割合高く 経過観察、約7割「何もせず」--調査
 従業員300人未満の中小企業に勤める人ほど、糖尿病患者の割合が高く、企業側から従業員に対する検査や指導などの働きかけも少ないことが、独立行政法人労働者健康福祉機構の研究班(班長=佐野隆久・中部労災病院副院長)の調査で分かった。企業の規模や取り組みによって、有病率に差があることが判明したのは初めて。研究班は「勤務と治療の両立を後押しする仕組みが必要」と話す。

 調査は、昨年から今年にかけて愛知県内の企業323社に実施した。従業員が50人未満の小企業、50~299人の中企業、300人以上の大企業に分けて解析した結果、1000人あたりの糖尿病の従業員の割合は、大企業39・4人、中企業47・0人、小企業63・0人と企業規模が小さいほど高かった。また、大企業の約6割は、定期健診で経過観察が必要になった従業員に定期的な検査や指導をすると答えたものの、中小企業の約7割は「何もしない」との回答だった。

 労働安全衛生法に基づき、大企業の多くは産業医が常勤する一方、中小企業の大半は、非常勤か不在だ。中小企業では、平日は受診しにくいなど治療継続が難しく、勤務と治療の両立に苦労する人が多いとみられる。【永山悦子】

毎日新聞 2011年12月31日 東京朝刊


専門家さんの間では常識なのかどうか知りませんが、

>調査は、昨年から今年にかけて愛知県内の企業323社に実施した。従業員が50人未満の小企業、50~299人の中企業、300人以上の大企業に分けて解析した結果、1000人あたりの糖尿病の従業員の割合は、大企業39・4人、中企業47・0人、小企業63・0人と企業規模が小さいほど高かった。

というのは個人的にはとてもおどろきました。かつて、糖尿病とは「贅沢病」なんてことも言われ、wikipediaにも

>歴史上著名な人物にも、晩年糖尿病を患ったと思しき記録が残されている人物が散見される。中国史においては唐代に反乱を起こした安禄山が反乱の最中に失明などを引き起こしたのが糖尿病によるものではないかとする説がある。また日本史上では藤原道長の晩年の健康状態を記した記録(藤原実資の日記「小右記」に見られる)が糖尿病の病態と酷似しており、糖尿病の日本での最古の記録に相当するのではないかと言われている[12]。また、道長の一族には「飲水」と呼ばれる病気が原因で死去するものが多かったと伝えられており、詳細は不明であるが患者はしばしば水を飲用したがる病状が見られるという記録からこれを糖尿病であると考えて、藤原摂関家には糖尿病の遺伝的要因があったのではとする学者もいる。

とありまして、何かで世界最初の糖尿病患者は、エジプトのファラオではないかという説を聞いたことがあります。真偽はいざ知らずですが、たぶんあたらずとも遠からずでしょう。つまり昔は、それなりの権力者こそ糖尿病に罹患したのですが、今日では(少なくとも日本では)そういった構図が当てはまらない、ということです。大企業と小企業で、従業員の遺伝子にとくに後者の方が糖尿病になりやすい因子があるってこともないでしょうから、つまりは小企業のありかたが大きな要因であるということです。

上の記事にも指摘がありますように、大企業とちがい中小企業は産業医がいないか不十分な指導しかしていない、小企業の人は受診すら難しく、継続も困難、そしておそらく、中小企業の従業員は大企業以上に多大なストレス、厳しい勤務実態による心身負担が糖尿病へのなりやすさをさらに助長していると推測されます。

これは大企業と中小企業の実態を如実に語っているように私には思えます。つまりは、大企業に勤めるということは給料以外にも福利厚生(だいぶ崩れているのかもしれませんが)の面でもここまでプラスになっているということです。

とくに糖尿病の治療なんて、ひたすら継続ですから、そうすると医療機関が充実している都市在住者、そして休みもとりやすい人たちが圧倒的に有利になります。そしてこれは、糖尿病に話は限りません。

いろいろな意味で非常に心配です。貧困の連鎖とか負のスパイラルの問題点が日々指摘される昨今、この中小企業に勤める糖尿病患者たちの子どもたちは、どうなっていくのでしょうか。

なお、この記事をご教示くださった非国民通信管理人さんにお礼を申し上げます。
コメント (2)
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