シュッツを歌う会で歌ったメンブラ(ブクステフーデの「我らのイエスの四肢」)、思った通りの面白さ。音は鳴るし音楽はよく流れる。ということで、今回の「脚」に続けて次回は「膝」。さて、春一番が吹いたので同じ会で余興で歌ったマレンツィオの「Zefiro torna」。歌い出しは第三音が♭で今でいう短調風。でも歌詞は「西風戻った(春が来た)、いえーい」って感じだから辛気くさく歌ってはいけない。じゃないと、後半、場面が暗転してホントに暗い話になったときに対比がつかない。大体、この当時、「長調」「短調」なんて概念はなかった。だから、短調っぽくても(短調じゃないんだから)明るい顔をして歌う。笑いながら怒る竹中直人さんの芸のごとし、はたまた笑うように泣く若い頃の大竹しのぶのごとし(例が逆の感じもするが)。思い出すのは、オルフェオ(モンテヴェルディ)のアーノンクール指揮、ポネル演出の映像。冒頭、現代の感覚からすれば哀愁漂う歌をトゥルデリーゼ・ビジン・シュミット(ミドルネイムは私の命名)が妖しいまでの笑顔で歌ってる。考えてみれば、この時代の作曲家は偉かった。「長調」「短調」なんて飛び道具がなくてもちゃーんと喜怒哀楽を音楽で表していた。マレンツィオの「Zefiro」も第三音の♭はつきっぱなしなのに、物語が暗転するところで見事に音楽が切り替わっている。
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初めて買った30cmLPレコードにこの曲が入っていて何度も何度もききました。長調、短調以外の音階にはは何とも言えない風情がありますね。