拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

モーツァルトのハ長調は関ヶ原の薩摩軍

2021-02-20 09:00:03 | 音楽
いわゆる音楽通は口を揃えてモーツァルトは短調がいい、明るい中にちらっと光る悲しみがいい、と言う。そう言わねば音楽「通」ではない、と言わんばかりである。しかし、そう言う人達は自分が普段十分満ち足りてるから(リア充)、悲しみを見たいのである。私のような不幸な人間は一筋の灯りを見たい、だから、モーツァルトは断然ハ長調に限る、と思っている。モーツァルトのハ長調はいい!「ド」のオンパレード、ドードー正面突破の趣である。あたかも、関ヶ原で東軍の正面を突破してまんまと逃げおおせた薩摩軍のごとしである。だから、交響曲もよくぞ40番(ト短調)で終わらせずに41番(ハ長調。ジュピター)を書いてくれたと思う(交響曲は、底抜けに明るい変ホ長調の39番も大好き)。そして、オーボエ協奏曲!でだし、♪ドッドー、シドシドファッファー……いい♥ まさに正面突破、薩摩軍である。そして、私が「鳥のさえずり」と勝手に読んでる部分がくる(そう言い出したらもう鳥にしか聞こえなくなった)。♪ティー、ラリー、ラリ……ここ、オーボエのソリストって絶対狙ってるよね。特に二声目(短いラリ)。「ラリー」だったり「ラーリ」だったり、みんないろんな小細工をしてて面白い。なかには、ベーム&ウィーン・フィルのトレチェクみたいに普通に「ラリ」とやる人もいて、これはこれで新鮮である(ベームの影響?と思っちゃう)。そうそう、この曲はフルート用にもなっていて、幼なじみのフルーティスト(小中一緒)がまだ音大生だった頃、この部分は自然にやる方がいいと言っていた。いろんなこと(昔のこと)を覚えてる私。あの話だって覚えてるから。「あたしがあんたを男にしてあげる」と言った元祖美女(今でも十分お美しい)こそその彼女である。その約束はまだ果たされていない。私が実現を願っている期間の長さ第一位はこれである。もう半世紀である。第二位は持ち株の価格の上昇。20年ぐらいだろうか。半世紀越しの約束が守られて、晴れて童貞を卒業したら(童貞反応はときどき陰性に戻る)、そのときこそ私は「幸せな人」になって、短調のモーツァルトを愛するようになるはずである。

あとがき。予定では、オーボエ協奏曲の話の次は、コンヴィチュニーの話になるはずだったが、得たいの知れないモノが私を突き動かして「半世紀越しの果たされぬ約束」の話になった。毎回、書いてる自分ですらどう話が展開するか読めない。まさに気の向くまま筆のゆくままである。

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