拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

免疫

2018-03-24 08:55:02 | 日記
猫が容器からこぼして床にちらばったフードを食べているのを見て思い出した。私の実家の家訓は「落ちた物は拾って食べろ」であった。父はこの「家訓」を人類普遍の絶対真理のごとく言っていた(そのときの父の偉そうな顔が今でも目に浮かぶ)。だが、私が長じて外界と交わるうちに、この絶対真理は非文明的な蛮行であることが分かってきた。そして絶対真理の伝道者である父は私の中で野蛮人に格下げになった。ところがだ。格付変更から大分たってどっかのお医者さんが書いた本を読んだら「清潔すぎる環境で育つと免疫が発達しない」とある。はたと思い当たった。私は賞味期限が過ぎた物を食べてもお腹をこわさない。これはもしかしてわが家の「家訓」の賜物なのだろうか。そういえば、野良猫は「落ちてる物」を食べるのが当たり前。それでいちいちお腹をこわしていたら野良猫稼業は務まらない。人間界にも「3秒ルール」なるものがある。一度落ちたなら3秒だろうが3時間だろうが同じだと思うのだが、要はもともとへっちゃらなところにあえて「言い訳」をしているのだろう。畑にうわってる野菜の泥の付きようは落ちてる物の比ではないが、とれたては旨いと言って引っこ抜いた物をばりばり食べる人もいる。ただし、父が家訓を言ったのは免疫のことを考えたからではなく、単に食べ物を粗末にしてはいけない、との思いからだったと思う。そういえば、修行僧はおひつの中にうっすら白いものを残すだけでも許されないと聞いた。では修行僧も「落ちた物は拾って食べろ」と言われているのだろうか。さて、現在の私。父が反面教師になったせいもあり、猫がテーブルの上をべたべた歩き回ってることもあり、以前はテーブルの上に落ちた物も食べられなかった。だが、最近は「努力して」食べるようにしている。それでも床に落ちたら無理だ。落ちた瞬間、猫の毛とほこりでまっしろけっけになるから。すると、私の実家の床は綺麗だったんだなぁ。母が掃除をしてたんだなぁ。

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