ある本に、ベッリーニの時代、テナーの超高音はファルセットが普通だった、ファルセットと実声をなめらかにつなげて歌うことが「技」だった、とある。これは、「半分ファルセット」の私にとってためになる話だ。今後テナーを歌うときの修行材料はこれにしよう。現代のテナーでそういう人は見かけない。実声で最高音まで出す人がもてはやされる。例えば「清教徒」の超高音。マテウッツィの実声FはCDで聴ける。アルベロの実声Fは生で聴いた(たまげた)。パヴァロッティのFはFァルセット(直前の高音を実声ではりまくってるからファルセットとの連続性はない)。このことで、良きにつけ悪きにつけ思い出すのはアグネス・バルツァ(ギリシャ(今世界が注目)のメゾ・ソプラノ)。この方、一時世界一高額のギャラをとってた名歌手だが上の声(頭声)と下の声(胸声)が完全に分離してた。まるで、男のファルセットと実声の違いのよう。つなぎ目(パッサッジョ)は二点レあたりのようで。それでも下から昇っていくときはかなり上まで胸声で、上から降りてくるときはかなり下まで頭声で出してた。パッサッジョのあたりって歌いにくい。この大歌手も一時不調の時期があって、初めてバルツァを聴いたときがその時期で、二点レから始まるハバネラ(カルメン)の音程がメロメロになった(因みに、このとき、素晴らしく歌ったホセ・カレーラスにブーイングが飛び、メロメロのバルツァにはブラヴァーの嵐だった。)。カラヤンのカルメンを降板したのもこの頃だった。そういうことからしてもテバルディはすごい。上から下までむらなく出る。さて、最後は私らしく締めよう。写真週刊誌F(今はない方)に、バルツァの歌ってる最中の「ぽろり写真」が載ったことがある。この雑誌は毎週一つはクラシック・ネタを掲載してて、「カラヤンの全裸写真」を掲載したこともあった。ちなみに、メルケル首相の「着替え写真」を掲載したのは英大衆紙だった。
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