拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

「肉の弱きを強める」(バッハのモテット第2番)

2017-06-29 08:46:03 | 音楽
こないだブログにリンクさせたトマナーコーアによるモテット第2番(バッハ)の終曲コラールを何度も聴いている。いいなぁ。と思いつつ、気がついたこと。われわれは「t」の発音をしっかりと言うが、ドイツの男の子くんたちの「t」は全然聞こえない。歌特有の発音であって、日常とは違うことが伺われる(そんなことを言うと身も蓋もないが)。それから歌詞。こないだ、感涙にむせびながら書いた「Kraft」を含む「O Herr, durch dein Kraft uns bereit」の次の句、「Und stärk des Fleisches Blödigkeit,」。「bereit」と「keit」で韻を踏んでいるのだが、気になったのは訳。「肉(Fleisch)の弱き(Blödigkeit)を強めて下さい(stärk)」というのだが、まず疑問に思ったのが「肉」。「Fleisch」には「人間」の意味もあり、ここはそちらの可能性もあるのではないか。それから「弱きを強める」。「弱き」を強めると、強くなるのか、より弱くなるのか(マイナスに数字をかけるとより大きなマイナスになる)。「Fleisch」を「人間」とすると、弱い人間を強くしてくれ、と読めるが、「肉(欲)」とすると、肉欲をより弱く(愚鈍に)する(=精神性を高める)意味にとれてしまうのだ(私だけかもしれないが)。前者の方が自然。だったら、「肉」じゃなくて「人間」にすればよかったのに、と思う。因みに、ドイツ語で「AのB」という場合(vonを使わずAが男性名詞の場合)、現代では「B des As」が普通だが、バッハのテキストは「des As B」。日本語の語順と同じといえばそうなのだが、なかなか慣れない。いい加減、慣れろよ、と思う。 

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