「私たちは今でも進化しているのか?」(マーリーン・ズック著)を読む
・人間以外の哺乳類は、乳の中のラクトース(乳糖)を消化する能力を失った。
・人間は短距離は苦手だが、補ってあまりある長距離の能力を備えている。体内のエネルギーを放出によるエネルギーを蓄える。数百万もの汗腺を持つ人間は史上最高の空冷エンジン。
・ガンは古代からあった。比率として現代と変わらない数だが、現代人は長寿になったためガンが増えた。サメはガンにならないらしいが(魚類は独特の免疫系がある)、チンパンジーもガンの発生率が低く、アルツハイマーにも苦しむことはない。
・2006年、日本のチームにより人間の耳垢のタイプを左右する遺伝的変化を特定した。耳垢には二つのタイプがあり、乾燥、湿ったものに分けられる。アメリカの先住民は乾燥タイプで、アジアからシベリアを通り、ベーリング海峡を渡って移住したという仮説と一致する。研究者は、耳垢のタイプは発汗量、体臭と関連していて、耳垢そのものは自然選択のターゲットではなかったと推測、アジア人はヨーロッパ人ほど汗をかかないので、ユーラシア北東部の住人にとって有利だったということ。
・自然選択によって寿命は伸びたがその代償もあった。人間の免疫系は何十年もの間、ウイルスやバクテリアの攻撃を退けてくれる。同時に、心臓や神経の病気、癌になりやすくなる。このようになる理由としては、免疫細胞が成長や炎症といった多くの違った細胞プロセスを調整していて、このような高度な能力が不調になると細胞が無秩序に成長して癌化したり、他の様々な病気を発症したりする。