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ダム

2023年08月05日 | 川を考える

「川と人類の文明史」(ローレンス・C・スミス著)を読む

ダムのことが書かれてあるの記します。

・米カルフォルニア州サリナスバレー・カーメル川、1921年32mのダムでスチールヘッド(魚類)が遡上できない魚道(急勾配)があり、さらに上流には2つのダム(魚道なし)があったため数を減らす。1年で2万匹もの成魚が遡上していたが、1960年には90%以上が減少し、現在も数を減らす。1997年には絶滅危惧種保護法により指定、2015年、サンクレメンテダムでわずかに7匹が確認されるのみになった。

 ダムができることにより水の流れが遅くなり、土砂が流れにくくなる。ダムにも土砂が貯まり安全上危険要因にもなる。(おそらくダムから流れる量が減り、水も汚れる)

 カルフォルニア安全局は、大規模な地震や洪水に耐えられないと判断。水産生物学者からは、川を塞ぐダムを批判される。

 改修するのではなく、アメリカ海洋漁業局と協力して撤去へ。メリットとして川の再生に有効、デメリットとして土砂の処理が問題(少しづつ流れるようにする)。

 撤去により、カーメル川では、1年もしないうちに堆積した土砂1メートル以上減らし、2年のうちに産卵床となる砂地が太平洋まで続くようになった。

・これまでは10m以下の建造物しか撤去できなかったが、64m、33mのダムが撤去できるような技術を持つことができるようになった。

・西ヨーロッパでもこの動きは起きている。フランス、スエーデン、フィンランド、スペイン、イギリスで小さな建造物5000個が解体される。(中には大型も)

・2018年、スペインのウェブラ川では22mのダムが解体。サルダ(小型の淡水魚)、カワウソ、ナベコウ(コウノトリの一種)が回復。フランスでは大規模な水力発電ダム2基とドイツ国境の巨大ダムが解体される。

・しかしその反面、3700基もの大型ダムが計画中。中国、東南アジア、中央アジア、アフリカなど。反対運動が弱い地域に集中する。

・巨大な貯水ダムの代償。川の生態系が破壊される。ダム下流では散乱場所への遡上ルートがなくなり、混乱した魚が集まる。ダムの内側では、水が淀み、温まり、酸素が失われる。貯水池に流れ込む汚染物質、土砂が沈殿する。ダム運営者と電力供給によって水量が変わる。土砂が下流に流れ込まないため、川岸や氾濫原を削り取る。

・中国三峡ダムでは1500万人を洪水から救うが、ダムを作るために100万人以上が立ち退き、コミュニティは湖底に沈み、伝染病が流行る危険が生じる。

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