「風吹南岸柳」(風は南岸の柳に吹く)
龍野から上洛し、4月21日に弘法さんと茶友Yさん主催の弘法茶会へ繰り出しました。
毎月21日は東寺の縁日で境内に市がたち、京都では親しみを込めて弘法さんと呼んでいます。
この日はあいにくの雨模様、出店も人の数も少なかったのですが、
傘をさしながらあっちの店こっちの店を覗き、3点ほどお買い上げしました。
弘法さんを楽しみにしていたFさんも数点ゲットしたようです。
播磨の茶会で刺激を受けたので、二人ともお茶関係に使えるものばかり気になります。
本当は見立てや掘り出し物をじっくり探したいのですが、雨が降り止まず、そうそうに御影堂へお詣りしました。
こちらで参詣人が唱える般若心経を聞きながら、心静かな時を過ごすのが好きです。
大クスノキの御神木・・・京都・今熊野神社
東寺西門から近い、Yさん宅の弘法茶会へ出かけました。
念願だった弘法茶会へ参加できて、嬉しく玄関を開けました。
お客さまは5名、お一人が顔見知りのMさん、Dさん、Tさん、暁庵とFさんでした。
Yさんが白湯を運んで来られ、
「暁庵さんにお正客をお願いしたいと思います」
茶友のご指名には逆らえず、喜んでお引き受けしました。
待合のお軸は、立ち雛と俳句の画賛、表装し直してから初めて拝見しましたが、
このお軸と再会できて嬉しいです。
もう一つ、茶室(四畳半)の床のお軸も以前お招きされた茶事を思い出し、懐かしかったです。
「風吹南岸柳」(風は南岸の柳に吹く)
建仁寺・益州和尚の筆です。この禅語は対句になっていて、
「風吹南岸柳 雨打北地蓮」
(風は南岸の柳を吹き 雨は北地の蓮を打つ)
「京都ではまさに風吹南岸柳の風情で、穏やかな日々ですが、
雨打北地蓮では地震に見舞われている熊本の方々の難儀を思わずにはいられません。
地震はいつどこで起こるかもわかりませんので、弘法茶会を行える幸せを噛みしめています・・・」
というようなYさんのお話を伺い、一同頷きながら熊本の方々への思いを馳せました。
禅語の意は深く、揚子江の南と北の様子を現した語句ですが、
この禅語は差別や違いを表現しているようで、そうではなく、
実は平等をあらわしていて、不変の真理が込められているとか。
クレマチスが咲きだしました
床柱に、花3種(オダマキ、尽抜忍冬・・・)が信楽の掛け花入に入れられています。
ご挨拶のあと、後炭から始まりました。
桜川の透木釜が上げられると、炭が佳い風情に流れています。
手早く炭が寄せられ、匙香(加寿美、松栄堂)、湿し灰が撒かれ、炭が置かれました。
透木の扱い、ヤカンが運ばれ、濡れ茶巾で浄められる一瞬・・・久しぶりに後炭を堪能しました。
ここで昼食、大徳寺縁高に手づくりの料理が品よく、形よく盛られています。
播磨のKさんに頂いたという筍が木の芽和え、煮物、炊き込みご飯に使われ、再度口福を噛みしめました。
いったん中立となり、気持ちを新たに席入すると、庭に面した窓が開けられて苔の緑が目に入ります。
前席と変わり、初風炉を思わせる清々しい気を感じながら席入りしました。
溜塗の誰袖棚にどっしりした染付の水指が置かれ、そして金輪寺の薄器です。
取り合わせがしっくりと美しく、心にいつまでも残りました。
薄茶を二服ずつ、お茶碗を変えて点てて頂きました。
みんなでいろいろな話を交わしながら、心満たされる弘法茶会のひと時です。
Yさん、さらさらと素敵なおもてなしをして頂き、ありがとうございました!
一人亭主でいろいろ大変でしょうが、心から弘法茶会へ応援のエールを送ります。
また必ず伺えますように・・・・