暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

秋時雨の茶会へ招かれて

2013年10月25日 | 思い出の茶事  京都編
            ニシキギ (写真は季節の花300の提供です)      

10月20日、茶友Sさまから茶会(茶事?)へお招き頂きました。

折からの秋時雨がしとしと。
S邸の町家建築、玄関への石組のアプローチ、待合から眺める露地の緑を
しっとりと潤し、美しさを引き立てていたように思います。
それで勝手ながら、秋時雨の茶会としました。

ご亭主お好みの置物がどれもステキで、珍しく目に飛び込みます。
玄関の侘びた大籠に入れられたホトトギス、
李朝・高麗の卓にさりげなく置かれた壷や人形、雅びな重香合・・・。

雨なので腰掛待合-露地-蹲-躙り口のルートを取らず、
室中を通って茶道口から席入するのも新鮮でした。
床には「明歴々露堂々」、紫野大亀和尚筆です。
一点の曇りもない明々とした満月をイメージして掛けられたそうです。
そういえば、10月20日は満月、しかも母の命日でした(いまだ涙っ・・)。

           
                  ムラサキシキブ

丸い扁壷のような掛け花入に秋草が入れられています。
矢筈ススキ、紅いニシキギ、白藤袴。
あとで伺うと花入は満月に見立て、庭にあった花です・・とのこと、
忙しい仕事の合間に庭掃除、苔の手入れ、そして丹精の花々
・・・茶の湯へ邁進するひたむきな姿が脳裏を横切り、ただ感謝です。

中置の点前座を拝見して思わず嘆声がでました。
古色溢れた四方の細水指が、中置にぴったりの風情です。
蓋上に謎の人物が居て、仏のようでもあり、豆男にも見えます。
あとで現代の女性陶芸家・脇山さとみさんの作と知り、びっくりでした。

           
                  フジバカマ

お点前が始まりました。
錦秋の山々が描かれた金茶色の着物がお似合いで、
ご亭主のしっとりした美しさを引き立てています。
美しく確かなお点前とともに一服の絵のように目に残っております。

熱い濃茶と薄茶が美味しゅうございました。
李朝の堅手も垂涎でしたが、瀬戸の肩衝はお茶をされていた母上、
さらに母上は叔母上から譲られ、稽古にも使われてきた伝来品でした。
今日一番素晴らしいお道具と、心して拝見させて頂きました。

           
                  ススキ

正客のYさま、次客のTさま、私の客三人はすっかりくつろいで、
しばしこの世の悲しみや小さな悩みを忘れさせて頂きました。
茶碗や茶杓の話しも盛り上がり、楽しゅうございました。
「秋の茶会」をまじかに控えているので、中置の点前、道具組、灰形など
いろいろ参考と刺激になり、有難かったです。

その後、待合へ移動して食事とおしゃべり。
この形式は最初に茶席を持ってくることでお茶の緊張感あり、
席を移しておしゃべりの愉しさありで、客としは嬉しいおもてなしです。
三友居のお弁当、ご亭主手づくりの汁椀・・・たっぷり頂戴し、
煎茶の一服も美味しく、一煎の甘味がやみつきになりそうです。

           
               心の中に月を描いて・・・

愉しい茶談義に去りがたく、つい長居をしてしまいました。
あまりの愉しさにまたおねだりしそうです・・・。        

秋時雨も上がり、おもてなしの数々に感謝しながら帰途につきました。

                                
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