暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「雨月の茶事」・・・(4)薄茶と能談義と

2024年07月16日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

 

つづき)

後炭を省略し薄茶になりました。半東YSさんがお点前をつとめ、暁庵が半東です。

濃茶は蝋燭能の設えでしたが、雨戸を開け燭台を水屋へ下げて、明るい薄茶席です。

煙草盆、干菓子が運ばれ、薄茶点前が始まりました。

・・・ここで大失敗。お客さまにYSさんのお点前をゆっくり鑑賞して頂こうと思っていたら、席中へ入るのを遅刻してしまいました 

主茶碗はギヤマンで、銘「白雨」です。この茶碗はサプライズがあり、お出しするのが楽しみな茶碗です。

替え茶碗は仁清写し玉水文(桐鳳作)、銘「軒の玉水」です。この2碗を交互に使い、薄茶を楽しんいただきました。

 

薄茶の間、お正客様から順に感動したお能のお話、お能と言えば想い出すこと、お習いしていて思うことなど、何でも自由にお話して頂きました。

・・・・もうっ~!楽しかったです。お一人お一人のお話が皆さま我がことのように感じられたのではないでしょうか? 

   (国立能楽堂提供:『能狂言画帖』より「俊寛」)

それで熱弁をふるい喉が渇いたのでは・・・と思い、お代わり用の茶碗を2つ用意し、2服目をお楽しみいただきました。

能のお話は20分余だったと思いますが、いつまでもこのまま伺っていたい・・・と。

薄茶は金輪(丸久小山園詰)、干菓子は琥珀糖(桔梗屋)と和三盆糖のおちょぼ(万年屋)です。

薄器は、篝火蒔絵の中棗で作者は築城筑良です。薪能を連想しながらこの棗をお出ししました。

茶杓は銘「雲錦」、紫野・聚光院の雪山(隋応戒仙)師の御作です。

その日(6月30日)は夏越の祓でした。銘「雲錦」は、これからの夏の暑さを無事に乗り越えて、秋の月のさやけさや美しい紅葉を待つ心を表わしています。

こうして、「雨月の茶事」は終わりました。そして、昨年5月から始めた「立礼の茶事」(全10回)もこれにて無事に楽しく終了いたしました。

「立礼の茶事」に馳せ参じてくださったお客様、暁庵をしっかり支えてくださったスタッフの皆さまに深く厚く感謝申し上げます。

ありがとうございました!!       (後礼のお手紙へつづく)

 

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 「雨月の茶事」支度を楽しんで・・・